IBLJは、現在、会社が直接保有している高知ファイティングドッグスの経営者を県内を含む全国から一般公募することを発表した。対象は個人、企業問わずに10月中旬ごろまで受け付けるが、見つからない場合は最悪、球団の活動を休止する可能性が出てきた。

 アイランドリーグでは創設2年目の06年から各球団を分社化し、地元企業に経営をゆだねている。ところが高知球団だけは買い手が見つからず、IBLJが直轄する状態が続いていた。

 高知球団はリーグ初年度に初代チャンピオンに輝き、昨季も前期優勝を果たした。今シーズンは前期で初めて3位に沈んだが、後期は3位ながら18日現在、首位・香川と1.5ゲーム差。元巨人・藤城和明監督の下、リーグ屈指の強豪として安定した成績を収めてきた。

 ところが、チームの強さとは裏腹に経営面では苦しい状態が続いている。ナイター設備がないこともあり、1試合あたりの平均入場者数は573人と、香川(1,553人)、愛媛(1,069人)に大きく水をあけられている。入場料収入の低迷に加えて、スポンサー営業も苦戦。球団の運営費が年間約1億円なのに対して、収入は約3000万円しかない。残りの7000万円はすべてIBLJが損失を補填している現状だ。

 今年6月に千葉ロッテのボビー・バレンタイン監督がアイランドリーグの球団を保有する構想を持ち出した際にも、真っ先に買収先として高知の名前が取りざたされていた。IBLJでは2年間で地元企業を中心に10社近くに球団経営の打診を行ったがいずれも不発。経営者を広く公募することで打開策をはかることになった。

 IBLJは3シーズン目を終え、今オフには多くのオフィシャルスポンサーの更新が控えている。今季もリーグ全体で2000万円の赤字が出る見通しで、黒字経営がままならないまま、1球団の損失補填を続けることに限界があるとの判断も働いたようだ。

 IBLJの鍵山誠社長によると、新経営陣には3000万円から4000万円の資金が必要。公募の結果、新経営者が見つかれば、細かい条件等を詰める作業に入る。見つからない場合は、もう1年、IBLJが保有する状態を維持するか、球団の活動を停止するかの経営判断を迫られることになる。

 もし高知球団が存続できない場合は、九州独立リーグの創設を目指し、一時的にアイランドリーグへの参入希望を表明している長崎セインツなど、中国、九州の新規球団を加えた4球団以上でのリーグ運営を目指す。選手やスタッフに関しても移籍などで対応する方針だ。

「4県の4チームがそろってこそのアイランドリーグ」
 鍵山社長は常々、4球団の共存共栄を口にしてきた。今回の決断も高知の存続を第一に考えてのもの。しかし、分社化したことでIBLJの負担が軽くなった反面、各球団の格差は広がりつつある。香川、愛媛は赤字額を圧縮し、今季はリーグからの支援金なしで運営することができている。一方で高知は赤字額が大きく、公募で名乗りをあげる企業、個人が現れるかは未知数だ。

 北信越BCリーグでは、群馬、福井の2球団が来季から新規参入するため、「北信越」をリーグ名からはずすことが発表された。来季から「ベースボール・チャレンジ・リーグ」と名称を変更し、リーグのネーミングライツも売却される。野球による地域おこしを目指す独立リーグビジネスは着実に広がりを見せている。

 奇しくも同時期に、伝えられた先輩格・アイランドリーグの危機。もし来季から「四国」をリーグの冠に付けられないのだとしたら、その理由が高知の消滅によるものだとしたら、四国にとっても日本の野球文化の発展にとっても、これほど寂しい話はない。

<高知球団、経営応募要項> 

【条件】 
 高知球団の株式を取得し、熱意と誠意をもって経営にあたれる法人、個人
(単独経営、共同経営どちらでも可。高知県在住の方、高知県出身の方、高知県内で事業活動を行っている方は特に歓迎)
【期間】
 9月19日(水)〜10月中旬
【問合】
 高知ファイティングドッグス球団株式会社
TEL:088-878-0775 FAX:088-878-0776

太陽石油はアイランドリーグのオフィシャルスポンサーです[/color][/size]