国会では予算案の審議が続く中、メディアでは民主党内の“内輪もめ”が大きく報じられています。17日には衆議院議員16名が会派離脱届を提出しました。彼らは2011年度の予算案採決での造反も示唆しており、このままでは予算案は衆議院の優越で成立できても、関連法案が衆議院の3分の2の賛成を得られず、子ども手当の支給や赤字国債の発行に支障が出てしまいかねない状況です。
 この動きに対しては「予算案を人質に取るのは、与党議員として無責任だ」との声があります。今回の予算案には国民生活に直結する大事な政策が多数含まれていますから、それが遂行できない状態になるのは好ましいとは言えません。ただ、会派を離脱しようとしてまで16名の議員が訴えたかった思いは理解できます。

 16名は政権交代を果たした2009年総選挙の比例代表で選出された議員たちです。つまり、国民のみなさんから「民主党」と書いていただいたことで今の議席を得ています。その一票を投じる根拠となったのは、2009年版のマニフェストです。ところが、それから1年半、マニフェストに掲げられた政策はなし崩し的に変更が加えられています。もちろん政権を運営しているうちに、どうしても実行できない政策や、実施プランを変更せざるを得ないものは出てくるでしょう。そこは党内議論を経た上で、国民のみなさんにもご納得いただけるような説明が必要です。

 ただ、残念ながら現在の政府、与党の動きは党内での合意形成が不十分なまま、どんどん先へ進んでいる感が否めません。菅直人首相は昨年の代表選で民主党全国会議員による412人内閣を謳いました。ところが実際には多くの議員が政策決定のプロセスに携われないことへの不満を抱いています。党内にワーキングチームやプロジェクトチームは何百もあり、活発な議論が交わされながら、それがなかなか現実の法案や施策に結び付かないのです。

 国民の皆さんの多くが感じているように、今は党内で“内輪もめ”をしている場合ではありません。菅首相はじめ執行部の方々には、どうすれば党内が一丸となって政策の実現に動けるかを考えていただきたいと思います。

 さて、今回の予算案には228億円のスポーツ関連予算が含まれています。どの分野も軒並み予算額が削減される中、前年度より枠が1億円増えました。地域スポーツ活性化を図るため、総合型地域スポーツクラブにトップアスリートを活用できるようにするものなど、新しい政策が入っています。とはいえ、まだ現状はこれまでと大きく枠組みは変わっていません。

 従来型のスポーツ政策を大きく転換するには、新しいスポーツ基本法の制定が必要不可欠です。昨年、文科省からスポーツ立国戦略が発表されましたが、それを具現化するためのスポーツ基本法制定はまだこれから。現在、民主党の文部科学部門会議スポーツ政策ワーキングチームとスポーツ議員連盟で、法案づくりの作業を進めています。先日はスポーツ関連の14団体から法案に関するヒアリング作業を行いました。

 今後、民主党内で法案を作成し、それを自民党などの野党とすり合わせて超党派で春には提出しようと考えています。与野党でいい法案をつくり、早期成立させるためにも、国会が安定することは必要不可欠です。政局絡みでせっかくのスポーツ基本法やその他の重要法案が先送りにならないよう力を尽くしていきたい。そのことを今、一番に考えています。


友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
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