開幕前、優勝の最有力候補と言われながら、スタートダッシュにつまづいた巨人。ようやく明るい兆しも見え始めている。坂本勇人、亀井義行といった若手の台頭だ。中でも注目を浴びているのがプロ2年目、19歳の坂本である。開幕直後の低迷時期にも孤軍奮闘し、一時はリーグトップの得点圏打率5割を誇るなど目覚ましい活躍を続けている。その坂本選手に当HP編集長・二宮清純が直撃。スター候補生の本音に迫る。
二宮: プロ2年目で開幕スタメン入りを果たしましたが、今年はキャンプの時から「一軍でやるぞ」という気持ちでやっていたんですか。
坂本: そうですね。開幕には必ず一軍にいたいなと。

二宮: それがいきなりレギュラーでスタメン出場したわけですよね。
坂本: 正直、スタメンということまでは全然考えていませんでした。ただ、バッティングについてはオープン戦で結構アピールできたという手ごたえは感じていました。

二宮: プロに入って一番驚いたことは?
坂本: フォークボールにはビックリしました。高校時代はそれほどキレのあるフォークを投げるピッチャーとは対戦したことがなかったんです。だから最初はファームでもフォークに三振することが多かったですね。

二宮: 誰のフォークに一番、驚きましたか?
坂本: 小野寺力さん(埼玉西武)ですね。188センチと身長もあって角度があるフォークボールだったので、すごいなぁと。
それから北海道日本ハムの武田勝さんや中日の岩瀬仁紀さんのスライダーにも驚かされました。武田さんのスライダーはヒューンと外に飛んでいくんですけど、それがガンって内に入ってくるんです。岩瀬さんのは外にグーンといったので「よし、これはボールだ」と自信満々に見逃したら、ギュンと曲がってきて余裕でストライクだったんです。

二宮: 曲がりが遅いわけですね。ギリギリでギュンと曲がってくると。
坂本: はい。そんなスライダー、今まで見たことがなかったですね。

二宮: 守備についてはどうですか? 
坂本: 神宮球場や横浜スタジアムなど野外球場のナイターでのフライに対しては、まだ不安はあります。

二宮: カクテル光線に慣れてないと。
坂本: はい、そうですね。高校時代はナイターでの試合経験がありませんでしたので。

二宮: ゴロに対してはどうですか? グラウンドの状態はもちろん、芝か土かで、打球の方向や速さが違いますから、いろいろと考えなければいけませんよね。
坂本: やはり東京ドームの芝には一番慣れていますね。ドームでは打球がすぐに死ぬんです。「あ、抜けた」と思った打球でも、意外に追いつけたりするものなんですよ。

二宮: 神宮の人工芝も相当深くなったようですが、どうですか?
坂本: ボールがパッと滑るときがあるので、ちょっと難しいですね。

二宮: 甲子園はどうでしょう?
坂本: 甲子園は土なので、イレギュラーを頭に入れながら守るようにしています。ボールが跳ねますが、それほど嫌ではないですね。

二宮: 広島市民球場の土は硬くて守りにくいという声をよく聞きます。特に雨が降ると、ひどくグラウンドが荒れてしまいますが、いかがですか。
坂本: 「守りにくくて嫌だ」という話は聞きますね。僕はそれほど……。まぁ、あまり深く考えすぎないようにやってます(笑)。

二宮: プロとしての実感はどういう時に一番わいてきますか?
坂本: ファームでは勝っても個人的な喜びでしかありませんでしたが、一軍ではたとえ自分の成績が悪くても、チームが勝つと喜びを感じます。そんな時、「オレも、ジャイアンツの一員として今、戦ってるんだなぁ」と感じますね。

二宮: 将来はどんな選手になりたいですか?
坂本: 僕はやっぱりホームランも打てて、率も残せるバッターになりたいですね。将来は3割30本打てるショートを目指しています。



<小学館『ビッグコミックオリジナル』6月5日号(5月20日発売)の二宮清純コラム「バイプレーヤー」にて坂本選手のインタビュー記事が掲載されます。そちらもぜひご覧ください!>