17日、サッカー日本代表は東アジア選手権初戦で北朝鮮代表と戦い、1−1で引き分けた。開始早々に失点したが、後半24分に途中出場のFW前田遼一のゴールで追いついた。

◇2月17日、中国・重慶
日本代表 1−1 北朝鮮代表
【得点】
[日] 前田遼一(69分)
[北] チョン・テセ(5分)
 FW高原直泰ら主力に離脱者が相次いだ日本は、代表戦初出場のFW田代有三、GK川島永嗣をはじめ、6名が岡田体制で初の先発。右サイドが本職のDF加地亮は左サイドバックに入った。対する北朝鮮は川崎のFWチョン・テセの1トップ。

 日本は開始早々の隙を突かれる。前半5分、ゴール前で反転したチョン・テセに左隅へグラウンダーのシュートを決められ、先制点を奪われた。

 その後、ボールを支配するもゴールが遠かったが、後半24分に同点弾を叩き出す。MF安田理大が左サイドで思い切って仕掛けて、山なりのクロス。GKがこぼしたボールを前田が頭で押し込んだ。後半20分にピッチに入った2人が決定的な仕事をした。

 1−1に追いついた後は、互いに決め手を欠いた。第2戦の中国戦は20日に行われる。

<“テスト”組の明暗分かれる>

 2月6日の南アフリカW杯アジア地区3次予選タイ戦からスターティングメンバーを7名入れ替えた。優勝がかかる大会とはいえ、岡田監督はこの試合に“テスト”の意味合いを強く込めた。
「バックアップの選手を色々と試すことができた。『(この選手は)これぐらいできるんだ』と、ある程度の見当をつけられたと思う」
 
 チャンスを生かした選手、うまく生かせなかった選手の両方がいた。
 前者の代表格はゴールにからんだ前田、安田の両名だろう。
「周りのおかげです。ミチ(安田)が突破して、田代がつぶれてくれて、おいしいところにボールがきた」
 前田は謙虚にそう語ったが、ゴール前の巧みなポジショニングが光った一撃だった。このワンプレーの他にも、低い位置でポスト役としてボールをさばき、攻撃を落ち着かせた。安田も豊富な運動量で、足がとまりがちのチームにリズムをもたらした。

 その一方、先発で起用されたDF水本裕貴やFW播戸竜二、MF山岸智らは持ち味を存分に発揮したとは言いがたかった。水本は屈強なテセにことごとく圧倒された。失点の場面では、テセにワンタッチで振り切られたことが響いた。播戸、山岸も周囲との連係に苦しみ、後半20分に交代を余儀なくされた。

「1人1人の意思統一ができていなかった」とMF鈴木啓太が語ったように、全体としては満足できる出来ではなかった。パサーと受け手の呼吸が合わず、効果的なポジションチェンジも数えるほど。北朝鮮が繰り出す迫力あるカウンターにも苦しめられた。

 しかし、初先発の選手が多かったことを考えれば、仕方のない面もあるだろう。問題は、この“テスト”を次の中国戦、そして南アW杯3次予選第2戦のバーレーン戦(3月26日)に如何につなげるかだ。

<日本代表出場メンバー>
GK
川島永嗣
DF
中澤佑二
水本裕貴
加地亮
内田篤人
⇒駒野友一(77分)
MF
鈴木啓太
遠藤保仁
山岸智
⇒安田理大(65分)
羽生直剛
FW
播戸竜二
⇒前田遼一(65分)
田代有三