30日、サッカー日本代表は東京・国立競技場でボスニア・ヘルツェコビナ代表と対戦。3−0で勝ち、岡田武史監督就任後の初勝利を挙げた。

◇1月30日、東京・国立競技場
日本代表 3−0 ボスニア・ヘルツェコビナ代表
【得点】
[日] 中澤佑二(68分)、山瀬功治(83、87分)
 前半、日本は主導権を握り、積極的に攻撃をしかけたが、相手の堅守に阻まれ、ゴールを割ることはできなかった。
 スコアレスで迎えた後半23分、日本が均衡を破った。後半23分、MF遠藤保仁のコーナーキックをペナルティーエリア外で受けたMF山瀬功治がダイレクトでシュート。芯に当たり損ねたボールをゴール前に詰めていたDF中澤佑二が押し込んで岡田ジャパン初ゴールを決めた。

 これで波にのった日本は後半38分、最終ラインをフリーで抜け出したMF山瀬がゴールキーパーとの1対1の勝負に落ち着いて決めて、2点目。その5分後、MF大久保嘉人とMF羽生直剛が交代したところで素早いリスタートから、DF今野泰幸がゴール前に走りこんだFW播戸竜二にパス。FW播戸がヘッドで落としたボールを山瀬が蹴りこんで、ダメ押しの3点目を入れた。

 最後までボスニアにゴールを許さなかった日本は3−0の快勝。2月6日に行なわれる南アフリカW杯アジア3次予選初戦でタイと戦う。

【3ゴールも岡田監督は攻撃に不満】

 3ゴールを奪い、就任以来初の勝利を挙げたが、岡田監督に笑顔はなかった。
「前半は相手のペースに合わせてテンポが遅くなっていた。それに綺麗な形をつくることばかり意識していたように思う。ハーフタイムには『それでは点が獲れない。もっとゴールへ向かう意識を出すように』と選手へ伝えた」

 前半、チリに比べてプレスが甘いボスニアに対し、日本はボールを支配しながらもネットを揺らすことができなかった。5分、PA内でパスを3本もつなぎ、最後のFW大久保嘉人のシュートはゴール右へそれた。34分には、MF中村憲剛のスルーパスに右サイドバックのDF内田篤人がPA右でフリーになったが、パスを選択して絶好機をモノにできず。中村憲は「結果的に3−0で勝てたが、前半はチャンスがいくつもあった。そこで決めておきたかった」と悔しがった。

 後半で3ゴールを奪ったとはいえ、手放しで喜べない。ボスニアのメホ・コドロ監督によれば、ボスニアの選手たちは冬休み明けでコンディションが整っていなかったという。後半に入ると、足がとまり、防戦一方だった。その相手から点を獲れたとしても、生き馬の目を抜くW杯予選で通用するとは限らない。

 やはり、課題として残るのはシュート意識だ。先の内田のシーンをはじめ、形をつくりながらも、フィニッシュに持ち込む強引さが足りない。「ワンタッチじゃなくていいところまでワンタッチでプレーし、ミスをする。泥臭くていいから、点を獲りにいかなくてはいけない。結局、『絶対に入れてやる』という気迫がないと、なかなかゴールは入らない」とは岡田監督。FW大久保も「課題? パスばかり選択するのではなく、もっとゴール前で仕掛けなければ、怖くない」と反省の弁を並べる。

 タイ戦までに特にコテ入れしたいのは、ミドルエリアでのシュートの意識だ。引いて守る相手を前に引き出し、大久保や山瀬など裏への飛び出しに特長のある選手を生かすために、中距離でも積極的に狙いたい。

 タイ戦では勝ち点3が求められる。そのためには、守備に徹するであろう相手を崩さなければならない。
「おそらく、タイは組織的に守備をしてカウンターを狙ってくる。その守備をこじあけるのは簡単なことじゃない。こちらもリスク冒して勝負にいかないと。少々カウンターを受けても攻めに行くというスタンスでいかないと点は獲れない」(岡田監督)

 肉を斬らせて骨を断つ――。相手を圧倒する気迫が今の日本に欲しい。

<日本代表出場メンバー>
GK
楢崎正剛
DF
中澤佑二
阿部勇樹
駒野友一
内田篤人
MF
鈴木啓太
中村憲剛
⇒今野泰幸(78分)
遠藤保仁
大久保嘉人
⇒羽生直剛(88分)
FW
高原直泰
⇒播戸竜二(82分)
巻誠一郎
⇒山瀬功治(34分)