1+1が3にも4にもなる。それがプロレスのタッグチームの魅力である。
 相棒ディック・マードックとのコンビ“テキサス・アウトローズ”で一世を風靡したダスティ・ローデスが11日、急逝した。死因はアウトローらしく「自宅近くで転倒した」というものから「腎不全」まで報道によってまちまちだ。
 流血もいとわぬラフファイトとショーマンシップで日本でも人気を博したアウトローズを「外国人タッグチーム」の歴代10位にあげたい。

 あくまでも個人の思い入れによるものだが、9位から6位までは次のとおり。9位レイ・スティーブンス、ニック・ボックウィンクル組。8位ベンとマイクのシャープ兄弟。7位アブドーラ・ザ・ブッチャー、ザ・シーク組。6位ウィルバー・スナイダー、ダニー・ホッジ組。番外編としてジュニアヘビーのダイナマイト・キッドとデイビーボーイ・スミスの“ブリティッシュ・ブルドッグス”も書き記しておきたい。

 さて5位は。ドリーとテリーの“ザ・ファンクス”を推したい。冷静な兄とヤンチャな弟。ブッチャーの凶器攻撃に耐え、堪忍袋の緒が切れたと言わんばかりに鉄拳を見舞うテリー。悲鳴と歓声が最大値で交錯するなか、テレビ視聴率は天井知らずとなった。

 4位はアニマルとホークのロード・ウォリアーズ。2人とも単なるマッチョではなく、コスチュームもファイトスタイルも斬新で、これまでのヒールのイメージを一変させた。

 3位はブルート・バーナードとスカル・マーフィーの“怪奇コンビ”だ。幼少期の病により、全身無毛のマーフィーと奇声を発しながらリングサイドをうろつくスキンヘッドのバーナード。まるでヒッチコックの映画のようだった。

 2位はスタン・ハンセンとブルーザー・ブロディの“超獣コンビ”だ。冒頭で「1+1が3にも4にもなる」と書いたが、この2人の場合は「3+3が8にも10にもなる」というイメージだった。

 そして1位は。ディック・ザ・ブルーザーとクラッシャー・リソワスキーの通称“ブル・クラ”を推す。生傷男と粉砕者。少年の日に刻まれた忘れられない記憶がある。場外に落ちたジャイアント馬場を放送機材で滅多打ちにするクラッシャー。「この放送が、お茶の間に届いているかどうかわかりません」。絶叫する若き日の徳光和夫アナ。だが、放送が遮断されることは一度もなかった。

<この原稿は15年6月17日付『スポーツニッポン』に掲載されています>
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