FIFA女子ワールドカップカナダ大会は日本時間17日、グループCのなでしこジャパン(日本女子代表、FIFAランキング4位)が、エクアドル女子代表(同48位)と対戦した。既に決勝トーナメント進出を決めているなでしこは、スタメンを大幅に入れ替えて試合に臨み、前半5分、FW大儀見優季の今大会初ゴールで幸先良く先制する。その後もメンバーチェンジを行い、追加点を狙ったが、得点は生まれず、立ち上がりの1点のみで勝利した。3連勝でグループ1位通過となったなでしこは24日に決勝トーナメント1回戦を行う。

 23名全員起用も消化不良(ウィニペグ)
日本女子代表 1−0 エクアドル女子代表
【得点】
[日本] 大儀見優季(5分)
 3連勝の勝ち点9。申し分ない結果ながら、連覇を狙うチームとしては、やはり物足りなさが残った。
「出来はもうひとつというところ」
 試合後の佐々木則夫監督の表情もスッキリとはしていなかった。

 相手は2試合で16失点を喫し、2連敗。実力からいえば、なでしこの勝利は確実視されていた。佐々木監督はGKに今大会初出場の福元美穂を起用。センターバックも入れ替え、DF北原佳奈とDF川村優理が初めてスタメンに入った。ボランチは同じく今大会初出場となる田中明日菜と澤穂希がコンビを組み、ピッチ上のメンバーは前戦から大幅に変わった。

 決勝トーナメントへ調整の意味合いも含まれた一戦、なでしこは開始早々に先制する。5分、MF宮間あやの左サイドからのクロスに、ニアでFW菅澤優衣香と相手GKが競り合い、逆サイドへ流れたボールを大儀見が蹴り込んだ。
「外からいいクロスが来て、中で優衣香がつぶれてくれたので、後は押し込むだけだった」
 エースに待望の今大会初ゴールが生まれ、日本が主導権をつかんだ。

 その後も、なでしこはボールを支配し、幾度となくチャンスを演出する。だが、得点には至らない。「しっかりボールを動かす時と、テンポの速い攻撃を仕掛けるところが課題になった」と佐々木監督が指摘したように、守りを固めた相手を揺さぶりきれず、決定機に持ち込めなかった。

 後半に入ると、佐々木監督はDF上尾野辺めぐみを左サイドハーフを投入。田中をセンターバックに入れるなど大幅なシフトチェンジを試みる。さらには途中からMF永里亜紗乃、右ひざを痛めて出場がなかったFW岩渕真奈をピッチに送り出し、これでグループリーグ3試合で23選手全員を起用したかたちになった。

 だが、大胆な交代が連係面で悪影響を及ぼしたのか、逆に後半は相手に押し込まれる時間帯もあった。
「中は相手の枚数が多いので、クロスからのサイド攻撃で中に入れたらいいかなと思ったんですけど、味方とぶつかってしまった」
 試合後、澤も認めた通り、なでしこは思うようにボールがつながらないシーンが少なくなかった。結局、後半はスタンドを沸かせる回数も少なく、3試合連続の1点差勝利でグループリーグの戦いを終えた。

「この大会のピッチに触れて雰囲気にも慣れたでしょう。層が厚くなってきた」
 全員に出場経験を積ませつつ、目標の1位通過を果たし、佐々木監督は一定の収穫を口にした。とはいえ、よりレベルの高い相手と激突する決勝トーナメントへ宿題は残ったままだ。

 特に3試合で4得点だった攻撃陣のテコ入れは不可欠だろう。決勝ゴールを決めた大儀見は「(得点を)どうやって奪ったかが大切。その点ではまだまだ納得できないところがある」と笑顔はなかった。
「なかなかスイッチが入らない状態が多かったので、そういった回数を増やしていかないとチャンスも増えていかないし、得点も増えていかない」

 各チームがなでしこ包囲網を敷く中、いかに打ち破るか。連覇へ文字どおり、負けられない試合となるトーナメントで、明快な回答が求められる。