31日「バレーボール世界最終予選」(男子)が東京体育館で開幕した。初戦でイタリアと対戦した日本はフルセットの末に敗れた。
 第1セットを先取された日本だったが、第2、3セットを連取し王手をかける。ところが、第3セットは7点差をつけてマッチポイントを迎えながら、7連続ポイントを奪われて並ばれると、タイブレークの末に、このセットを落としてしまう。最終セットもイタリアがとり、日本はセットカウント2−3でイタリアに敗れ、初戦を白星で飾ることができなかった。
(写真:強豪・イタリアを苦しめた植田ジャパンだったが……)

イタリア 3−2 日本
(25−20、28−30、28−30、35−33、15−7)
 白星発進でこの後の試合に弾みをつけたかった植田ジャパンだったが、強豪・イタリアを相手に勝利をつかむことができなかった。

(写真:強烈なジャンプサーブで会場を沸かせたWS越川)
 第1セット、動きがかたい日本に対してイタリアは高さをいかした攻撃とブロックで主導権を握った。中盤以降、身体がほぐれると、日本もサイド攻撃が機能し始める。WS石島雄介のスパイクが連続で決まると、それに感化されたのか序盤はブロックにつかまっていたWS越川優がバックアタックをきれいに決めた。さらには越川は得点源のWSアレッサンドロ・フェイをたった1枚のブロックで止めるなどの活躍を見せる。しかし、イタリアが日本の猛追をかわし、この第1セットを先取した。

 第2セット、序盤は日本がミスを連発し、1−7と大きくリードを広げられた。なんとかリズムを取り戻そうと、植田辰哉監督はWS石島に代えてキャプテンのWS荻野正二を投入した。すると、流れが日本に傾き始める。スーパーエースのWS山本隆弘、WS越川が躍動し、日本は18−18と追いついた。ここから互いに一歩も譲らず、タイブレークに突入する。イタリアが何度もセットポイントを迎えるも、その度に多彩な攻撃で凌いだ日本。最後は山本、越川、石島と期待のサイドアタッカー陣3人が連続でスパイクを決め、30−28で日本がこのセットを取った。

 第3セットも粘りのバレーで奪い取った日本は、セットカウント2−1とし勝利まで王手をかけた。第4セットは、日本が序盤から主導権を握り、なんと強豪・イタリアに対して7点差をつけてマッチポイントを迎えた。

 ところが、信じられない出来事が起こった。日本は自らのミスで7連続ポイントを奪われ、24−24と並ばれてしまう。3セット連続でタイブレークの勝負となり、ここから一進一退の攻防が続いた。日本もWS越川が前後から強烈なスパイクを決めて必死で食らいついた。だが、そのWS越川がブロックでつかまり、イタリアが6度目のセットポイントを迎えると、最後は32歳、ベテランのWSフリスト・ズラタノフのスパイクが決まり、イタリアが大逆転でこのセットを奪った。

 第4セットを取れなかったショックが会場を包む。選手も気持ちを切り替えられなかったのか、最終セット、日本はスタートから5連続ポイントを奪われた。途中、WS荻野や現役大学生のスーパーエース・WS清水邦広、WS福澤達哉を投入するも最後まで流れを引き寄せることができず、日本は6−15と大差をつけられて敗れた。

「自分たちから勝ちを逃してしまった」
 試合後、会見場に現れた植田監督の第一声が全てを物語っていた。監督と共に会見に臨んだ荻野、山本、越川の3選手も口々に第4セットを勝ち取ることができなかったことへの悔しさをにじませた。

「日本はここ20年来、最高のゲームをしたのではないか」
 イタリアのアンドレア・アナスタジ監督もそう語るほど、第2セット以降の日本の動きはよかった。第2、第3セットは日本得意の粘りがあり、第4セットは高さとスピードのあるイタリアに対してブロックが機能していた。
「日本に24点目が入った時、イタリアは諦めていた」とベンチから見ていたキャプテンのアルベルト・チゾーラが言うように、会場の誰もが日本の勝利を確信したに違いない。そんな試合を落としてしまったショックはあまりにも大きい。

「今日みたいなゲームを落とすと、チームとしてはショックが残る。こういう時こそ監督が先頭に立って選手を引っ張っていかなければならないと思っている」
 自らのショックを隠しながら、必死にそう語る植田監督。果たして、日本は一日でこのショックから立ち直ることができるのか。明日からは同じアジア勢のイラン、韓国、タイ、そして豪州との試合が待っている。まずは明日のイラン戦で植田ジャパンの真価が問われることになりそうだ。
(写真:「明日からしっかりやっていきたい」と語る植田監督)

(写真・斎藤寿子)