7日、日本サッカー協会(JFA)は東京都内で記者会見を行い、急性脳梗塞で倒れたイビチャ・オシム日本代表監督の後任として、98年W杯フランス大会を指揮した岡田武史氏の監督就任を正式に発表した。
(写真:がっちりと握手をかわす川淵三郎キャプテンと岡田武史新監督)
 岡田氏は9年ぶりの代表監督復帰。「(代表監督就任のオファーの)話を受けた時、考えれば考えるほど受けてはいけないように思えたが、『挑戦しなければいけない、逃げてはいけない』という気持ちがふつふつと湧いてきた」と語り、「理屈じゃなくて感覚的なもの。周りを見ると登ったことのある山ばかりだったが、ふと横を見ると断崖絶壁の山があった」と独特の表現で就任にいたった経緯を説明した。「どうしても挑戦しようという気持ちが湧いてこなかった」と1週間前にJクラブのオファーを断っていたことも明かした。

 今後のチームの強化方針については「オシムさんのサッカーはオシムさんにしかできない。変えようと思わなくても、(オシム以外の人物が監督になれば)変わらざるを得ない」としながらも「『人もボールも動くサッカー』というコンセプトは変わらない。今までの土台の上にチームをつくる。自分の色を出して引っ張っていくのは得策ではない。(オシム体制で)招集されていない選手を1、2人呼ぶつもりだが、当然、今まで選ばれた選手が中心になる」と路線継続を明言した。

 南アフリカW杯3次予選の開幕が08年の2月と間近に迫っていることもあり、12月中に選手を一度集めて練習試合を行い、オフシーズンの過ごし方を指南する。年初は15日から10日間の合宿でスタート。1月末のテストマッチ2試合を経て、2月からの南アW杯3次予選に臨む。

 志半ばで退任したオシム前監督に関しては「オシムさんの中では日本代表は過渡期だったと思う。同じ監督として、その無念を思うと心が痛む」と気遣い、「W杯に向けて全力を尽くしていきたい」と強く意気込んだ。会見に同席した川淵三郎キャプテンは「W杯に出場して、1次リーグを突破できるチームをつくってほしい」と要求。オシム前監督の衝撃的なニュースから3週間。老将の意志を継いだ岡田ジャパンが南アフリカW杯に向けて、力強く発進する。

★日本代表新監督・岡田武史 プロフィール★
1956年8月25日、大阪府出身。早大を経て、80年に古河電気工業(現ジェフ千葉)に入社。DFとして日本代表に選ばれ、国際Aマッチに26試合出場、1得点。90年に現役を退いた後、古河電気工業のコーチに就任した。ドイツへのコーチ留学を経て、94年に日本代表コーチとなり、97年10月にW杯フランス大会アジア最終予選途中の加茂周監督の退任に伴い、代表監督に昇格した。11月にアジア第3代表決定戦でイランを破り、日本を初のW杯出場に導く。98年6月のW杯フランス大会では3戦全敗で、大会後に退任。99年、J2のコンサドーレ札幌監督に就任し、2年目にJ1昇格を果たす。03年から指揮を執った横浜F・マリノスでは同シーズンからリーグ2連覇を達成した。06年に同監督辞任後は、日本サッカー協会特任理事となり、環境プロジェクトのメンバーとして各種活動を進めていた。