南アフリカW杯3次予選グループ2最終戦が、埼玉スタジアム2002で行われ、日本代表はバーレーン代表と対戦し、1−0で勝利した。試合終了間際の後半45分、DF内田篤人がヘッドで前線に高く送ったボールがワンバウンドして相手GKの頭上を破った。日本はバーレーンを抜いてグループ首位で9月からの最終予選に進出する。

 日本、勝利も決定力に課題残す(日本・埼玉)
日本代表 1−0 バーレーン代表
【得点】
[日] 内田篤人(90分)
「かっこいい得点ではなかったが泥臭い点をとってくれた」
 試合後、岡田監督はホームで勝利したことに安堵の表情を浮かべた。ただし課題は指揮官も指摘するように「点を獲るところ」。攻撃の迫力不足は否めない内容だった。

 日本はここまでの試合でイエローカードをもらっているMF長谷部誠、MF松井大輔、DF駒野友一をメンバーから外し、代わりにA代表初出場の本田圭佑、安田理大の若い2人がスタメンに名を連ねた。また、2トップは岡田ジャパンになって初の代表入りを果たした佐藤寿人と、4戦連続のスタメンの玉田圭司がコンビを組んだ。右足首をケガしている中村俊輔も先発で出場した。

 一方、バーレーンは主力を呼ばず、ホームで勝利した試合から大幅に選手を入れ替えてきた。「目標は最終予選に進むこと。その目標が達成できて満足」(バーレーンのミラン・マチャラ監督)。試合への意気込みが全く異なる両者の一戦は、日本が立ち上がりからチャンスを迎える。

 前半5分、スルーパスに抜け出した佐藤がPA内で倒され、いきなりPKのチャンスを得る。キッカーは中村俊。ところが、一瞬にして歓声は悲鳴に変わる。中村俊の低い弾道のキックは相手GKにはじき出されてしまった。日本は絶好の先制機を逃す。

 前半14分には、若い左サイドコンビがチャンスを切り開く。20歳・安田の縦パスに同い年の本田が駆け抜ける。折り返し気味にクロスを入れると受けたのは玉田。振り向きざまに右でシュートを放ったが、相手GKにセーブされた。

 日本は続く18分にも遠藤保仁のコーナーキックから田中マルクス闘莉王のヘッド、20分にも玉田の左クロスから闘莉王が頭で落として、ゴールに迫るが得点には至らない。

 対するバーレーンの攻撃はカウンターとミドルシュートが中心。「バーレーンは雨が降らない。環境が悪かった」と敵将も振り返ったように、全般的に動きは重かった。多くの時間帯で日本はボールをキープするものの、雨で滑るピッチコンディションもあってラストの精度に欠ける攻めが続いた。

 ハーフタイム直前には、ペナルティエリア外から遠藤のフリーキックがバーを叩く。「下は抜けないと思ったので、上を狙ったが浮いてしまった」と残念がった。跳ね返ったボールを本田が追いかけたが、シュートは空振り。結局、前半は両チーム無得点。チャンスを活かせないまま試合を折り返した。

 後半に入っても日本ペースは変わらず。安田が左サイドから何度も切り込み、逆サイドの本田もクロスをあげる。しかし、中を固めたバーレーンの守りを崩せないまま、時間だけが過ぎていく。局面を打開したい岡田武史監督は佐藤に代えて山瀬功治、安田に代えて今野泰幸を投入。ラスト10分になったところでFW巻誠一郎を送り出し、点を奪う姿勢をみせる。

 その山瀬はピッチに立った直後、中村俊のスルーパスに抜け出すなど、攻撃を牽引。後半39分には、内田の右クロスに勢いよく飛び込み、ゴールを目指す。スライディングでピッチから激しい水しぶきが上がったものの、ボールにはヒットしなかった。

 その前には、内田のクロスに玉田の左足シュートがゴールの枠を外れたシーンもあり、徐々に場内からはスコアレスドローの雰囲気が漂い始める。もうロスタイムを残すのみとなった後半45分、突如として待望の1点は生まれた。

 中村憲剛があげたクロスを相手DFが頭でクリア。そのボールを内田がダイレクトヘッドでゴール前へ送り返す。高くあがったボールは相手ディフェンスの最終ラインを越えてワンバウンド。再び高く跳ねたボールを相手GKが手を伸ばしてセーブしようとするが、そのまま頭上を越えゴール内にすっぽりとおさまった。

 日本にとってはラッキー決勝点。相手を崩しての得点ではなかったが、3月にアウェーで敗れた雪辱は果たした。

「ボールをキープしていたけど、シュートは少なかった」
 試合後、遠藤が語ったように、日本のボール支配率は常に6割以上。しかし、シュートは13本(うち枠内8本)と決して多くはなかった。日本代表として26試合連続出場を続ける司令塔は「意外性のある動き、精度、1人1人の調整が必要」と最終予選に向けてのテーマをあげた。

 日本に戻って約1カ月間、ジャパンのユニホームでプレーした中村俊は、「つないでいるけど、遅攻だった」とより高い次元での攻撃を求めた。中盤でボールをキープしているときに反対側の選手が抜ける、ボランチからサイドハーフに斜めにすばやくサイドチェンジするといった動きが、まだまだ日本には足りないと話す。

 9月の最終予選まで代表に残された時間は、7月の2泊3日の代表合宿と、8月の親善試合のみ。「チームで劇的に変わることはできない。選手選考も含めて、どんな組み合わせがいいか考えたい」(岡田監督)。最終予選では韓国、オーストラリアといった強豪とのマッチアップが予想される。組み合わせ発表は27日。課題をひきずったまま、岡田ジャパンは決戦に挑まなくてはならない。

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
安田理大
→今野泰幸(73分)
田中マルクス闘莉王
中澤佑二
内田篤人
MF
中村俊輔
遠藤保仁
中村憲剛
本田圭佑
→巻誠一郎(80分)
FW
玉田圭司
佐藤寿人
→山瀬功治(65分)