11日、北京五輪前哨戦である女子バレーボールワールドグランプリ決勝リーグが横浜アリーナで行なわれ、日本は世界ランキング2位のイタリアと対戦。第1、第2セットを連取した日本は、第3セットも逆転で制し、2004年アテネ五輪世界最終予選以来の白星を飾った。
(写真:頼れるエースのWS栗原)

日本 3−0 イタリア
(25−23、25−22、26−24)
 第1セット、序盤から一進一退の攻防が続き、手に汗握る接戦となった。しかし、中盤以降は日本がサイド、センター線ともにフル稼働。まさに全員バレーで徐々にリズムをつかみ始める。一度ついた勢いはとどまるところを知らず、6ポイントもの差をつけてセットポイントを迎えた。
 ところが、ここからまさかの4連続失点を喫し、24−23と1点差に迫られる。それでも最後はWS栗原恵がスパイクを決め、日本がイタリアから第1セットを先取した。

 第2セット、イタリアはエースのWSタイマリス・アゲロを投入した。しかし、日本はアゲロを徹底マークし、ほぼ完璧に抑える。サイド攻撃を封じられ、リズムを取り戻せないイタリアはサーブ、レシーブ、さらにはスパイクがラインを割るなどミスを連発。
 逆に日本は攻守ともに全てがうまくかみ合い、試合の主導権を握った。第1セットに続いてWS栗原が最後をしっかりと決め、2セット連取した。

(写真:チーム一のスパイク決定率をマークしたWS木村)
 第3セットは日本の連続ミスで頭一つ抜け出したイタリアが、終盤までリードする展開となった。だが、この日の日本は、忍耐強かった。終盤まで集中力を切らすことなく、イタリアを追い、ついにはMB杉山祥子の連続得点で23−23と並ぶ。

 最初にセットポイントを奪ったのはイタリアだった。チーム最多得点をマークしたMBサラ・アンツァネロのクイックで24点目を入れる。しかし、日本はすぐにMB杉山のクイックで同点とすると、約60%のスパイク決定率を誇ったWS木村沙織のスパイクがライン際に決まり、マッチポイントを迎えた。

 勝てば、イタリアから4年ぶりの白星。さらには1996年アトランタ五輪世界最終予選以来のストレート勝ち――。会場は緊張感に包まれた。

 案の定、このピンチにイタリアはエースのWSアゲロにボールを上げた。望みを託されたアゲロは渾身の力を込めて右腕を振り切った。しかし、このアゲロの前に立ちはだかったのがMB荒木絵里香だった。完璧なブロックでアゲロのスパイクを止め、日本がイタリアを倒す大金星をあげた。

 勝因は数字を見れば一目瞭然だった。エースのWSアゲロのスパイク決定率は5割を切り、もう一人の攻撃の要、WSフランチェスカ・ピッチニーニは4割にも届かないほどの低さ。これは日本がブロックでワンタッチを取り、そのボールを拾ってイタリアの攻撃をことごとく断ち切ったことにあった。

 得点源2人が仕事をさせてもらえず、守備にも乱れが生じたイタリア。一方、守備でつかんだリズムを攻撃にもつなげ、理想通りのバレーを展開した日本。バレーボールにおいて、いかに守備が重要であるかが示された試合だった。

 ようやく連敗から抜け出した日本は、明日の第4戦で同じアジア勢の中国と対戦する。アテネの王者を相手に、どんな試合を見せるのか。柳本ジャパンの真の強さが試される。