北京五輪に出場する野球日本代表メンバー24選手が17日、発表される。「(予選を戦った)みんなで北京で会いたい」。昨年12月のアジア予選後、星野仙一監督はそんな希望を述べていた。しかし、上原浩治(巨人)を筆頭に予選の代表メンバーが不調や故障で相次いで戦列離脱。メンバーの最終決定は当初の予定より1カ月近くもずれ込んだ。16日のスタッフ会議では選手の絞込作業が行われたが、最終決定は発表ギリギリまでもつれこみそうな状況だ。そこで各ポジションごとに代表選手を予想してみたい。
<投手>
 左腕不足で帆足が代表入り急浮上
 
 当初は先発4〜5名、中継ぎ・抑えで6〜7名、計11選手を選ぶ予定だったが、野手に故障者が多いこともあり、ここにきて10選手に枠を減らす可能性が出てきた。
 先発として確実なのは、ダルビッシュ有(北海道日本ハム)、川上憲伸(中日)の2人。残りの枠を予選でも先発した成瀬善久(千葉ロッテ)、両リーグ最多の12勝をマークしている岩隈久志(東北楽天)、サウスポーの和田毅、杉内俊哉(いずれも福岡ソフトバンク)が争っている状況か。サブマリンの渡辺俊介(千葉ロッテ)も可能性がある。唯一、10代で最終候補入りした田中将大(東北楽天)は、このところの調子をみると選出は難しそうだ。
 
 中継ぎ・抑えでは、藤川球児(阪神)、岩瀬仁紀(中日)の2投手がほぼ確定。予選ではクローザー役を務めた上原も、不調ながら首脳陣の信頼が厚く、代表に名前を連ねるだろう。ルーキーの久米勇樹(福岡ソフトバンク)もリリーフとして代表入りしておかしくない成績を残している。

 と選手を絞り込んだ上でネックとなるのが、サウスポー不足だ。先発要員としては成瀬、和田、杉内らの名前が挙がるが、リリーバー左腕は岩瀬くらいしか見当たらない。リリーフも可能な左腕が1枚欲しいところだ。そこで急浮上してきたのが、1次候補に追加されていた帆足和幸(西武)。最終候補からは外れていたものの、過去にリリーフ経験があることから逆転で代表入りするかもしれない。

<捕手>
 アジア予選同様の3人体制

 順当にいけば、アジア予選で代表入りした阿部慎之助(巨人)、里崎智也(千葉ロッテ)、矢野輝弘(阪神)の3名だろう。矢野は今季、野口寿浩との併用で試合を欠場することも多いが不安はない。限られた首脳陣の中で、第3の捕手にはブルペン担当としての役割もある。リードに定評のある細川亨(西武)、前回大会出場の相川亮二(横浜)ら他の候補選手はいるが、無風のポジションと見られる。

<内野手>
 外野も守れる森野が代表入りへ

 キャプテンの宮本慎也(東京ヤクルト)、今季、日本人トップの本塁打を放っている村田修一(横浜)、走攻守3拍子揃った川崎宗則(福岡ソフトバンク)の3名は予選に続き、日の丸のユニホームに袖を通しそうだ。腰の痛みを訴え、16日のヤクルト戦を欠場した4番候補の新井貴浩(阪神)も、回復を見込んでメンバー入りするだろう。

 問題は故障を抱える予選出場組と、好調な予選不出場組の中から誰を選ぶか。前者は井端弘和(中日)、後者は小笠原道大(巨人)、中島裕之(埼玉西武)だ。井端の守備力は接戦が予想される一発勝負には必要不可欠。とはいえ故障箇所が足だけに不安は残る。一方の小笠原、中島は攻撃面でも期待がもてるだけに、ふるいにかけるのは困難を極めそうだ。

 投手、捕手との兼ね合いで野手は内外野合わせて10〜11名に限定されることが予想される。控えに余裕がないため、内外野を守れるユーティリティープレーヤーはひとりでも多いほうがいい。その代表格は荒木雅博(中日)。加えて、もうひとり最終候補から外れた森野将彦(中日)の代表入りも検討されている。左足肉離れのため、2カ月間実戦から離れていたものの、復帰後はいい働きをみせており、メンバーに滑り込む確率は高い。

<外野手>
 代表に入れておきたいG.G.佐藤

 予選で3番を張った青木宣親(東京ヤクルト)、足の使える赤星憲広(阪神)の星野ジャパン入りは有力だろう。右でん部の張りを訴えている稲葉篤紀(北海道日本ハム)は指名打者としての起用もにらみつつ、リストに残りそうだ。

 バランスを考えると、外野の枠は4〜5名。残りの1〜2議席の争いは熾烈だ。高橋由伸(巨人)、和田一浩(中日)、サブロー(千葉ロッテ)、G.G.佐藤(埼玉西武)が最終候補に残っているが、誰が選ばれても不思議ではない。ただ、今季の状態をみればG.G.佐藤はぜひメンバーに加えておきたい。打率.313、20本塁打の打撃もさることながら、昨季から失策がひとつもない守りも買いだ。