11日(日本時間12日未明)、サッカー日本代表はオーストリアで開催されている3大陸トーナメントでスイス代表と戦い、4−3で競り勝った。後半ロスタイムにFW矢野が決勝ゴール。この結果、日本は2試合合計勝ち点4で3大陸トーナメントの優勝を決めた。

◇9月11日、オーストリア・クラーゲンフルト
スイス代表 3−4 日本代表
【得点】
[ス] マニャン(11分)、エンクフォー(13分)、ジュルー(80分)
[日] 中村俊輔(53、78分)、巻誠一郎(66分)、矢野貴章(90+2分)
 後半に4ゴールを挙げて、壮絶な点の取り合いを制した。

 ドイツW杯ベスト16の強豪スイスとの一戦。日本のシステムはオーストリア戦の4−4−2から変わって、中盤を分厚くした4−5−1。FW巻の1トップで、MF松井(ル・マン)がオシム体制2試合目にして先発に名を連ねた。

 試合は序盤から動いた。前半10分、スイスがゴール前左45度の絶好の位置でフリーキックを獲得。キッカーの主将DFマニャンが左足を豪快に振りぬくと、切れ味の鋭いシュートが左隅のきわどいコースに突き刺さる。GK川口の必死に伸ばした右手も届かず、日本は早速1点のビハインドを負った。

 さらにスイスは畳み掛ける。13分、1点目を叩き込んだマニャンが左サイドをワンツーで突破してクロス。これに飛び込んだエンクフォーと交錯したDF闘莉王が左手にボールを当てて、ハンドをとられてしまう。キッカーのエンクフォーは左隅に落ち着いて沈めて、試合が開始して15分も経たない間にスイスがリードを2点に広げた。

 一方の日本はアーセナル(イングランド)に所属するDFセンデロスを中心に安定感のあるスイスのディフェンスラインを崩すことができない。31分には、右サイドに抜け出した松井が懐の深い切り返しで目の前のDFをかわし、左足で狙ったがシュートはクロスバーの上へ。前半はゴールが遠かった。

 だが、後半に入って日本の目の色が変わる。まずは8分、左サイドで松井が1対1を仕掛けて得たPKをMF中村俊が右上へ決めて、1−2。さらに闘莉王の積極的な攻撃参加からチャンスをつくると、21分、中村俊の左サイドからのFKをFW巻がユニフォームを引っ張られて倒れこみながらも、頭で左隅へ流し込む。2−2。ついに試合を振り出しに戻した。
 
 ここから試合はシーソーゲームの様相を呈してくる。31分、左CKのショートコーナーでファーサイドの巻が引き倒されてPKを獲得。1点目のキッカーを務めた中村俊が再び決めて日本が逆転に成功する。だが、ホームのスイスも負けじとやり返す。35分の右CK、途中出場でピッチに入ってきたばかりのジュルーがマーカーのFW矢野を振りきり、右足インサイドで同点弾。互いの意地がぶつかりあい、試合のボルテージは最高潮に高まっていく。

 どうしても勝ちこし点がほしい日本はMF遠藤に代えてFW佐藤、MF中村俊に代えてMF中村憲をピッチに投入して、ゴールをこじあけにかかる。この采配が吉と出た。3−3になってからスイスに押し込まれる展開が続いていたが、後半ロスタイム、MF山岸が左サイドを突破してマイナス気味のクロス。これを受けた中村憲が右足で狙い、GKがこぼしたところに矢野が待っていた。苦しい体勢ながらも右足で流し込み、4−3。直後に試合終了のホイッスルが鳴り、激闘に終止符が打たれた。

 もう一つのゲームでチリがオーストリアを破ったため、勝ち点4の日本の優勝が決定。試合後、オシム監督は「前半と後半が分かれていてよかった。選手たちは相手をリスペクトしすぎていた。ハーフタイムでは『立ち上がりに気をつけろと言ったのに、気をつけなかったじゃないか』と言った。それで選手たちが修正してくれた。後半は我々がスイスを支配していた」と納得の表情。その一方で「前半は2ゴールですんでよかった。勝ったが、内容はよかったとはいえない。課題は立ち上がりの集中力。それに3ゴールとも奪われ方が悪かった」と釘を刺すことも忘れなかった。

 欧州遠征を終えた日本は10月17日、エジプトと今年最後のテストマッチを行う。

<日本代表出場メンバー>

GK
川口能活
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
駒野友一
加地亮
MF
鈴木啓太
稲本潤一
遠藤保仁
⇒佐藤寿人(87分)
中村俊輔
⇒中村憲剛(89分)
松井大輔
⇒山岸智(71分)
FW
巻誠一郎
⇒矢野貴章(80分)