24日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第2戦が行われ、ホームでアルカラマ(シリア)と対戦したガンバ大阪は2−0で勝利し、準決勝進出を決めた。
 また、埼玉スタジアムにアルカディシア(クウェート)を迎えた浦和レッズも2−0で快勝し準決勝へ駒を進めた。その結果、準決勝はJリーグクラブ同士の顔合わせとなった。
 アウェーでアデレード・ユナイテッド(豪州)と対戦した鹿島アントラーズは、1−0で敗れ、準々決勝で姿を消した。
 終盤の2得点で快勝、初のアジア4強(万博)
ガンバ大阪 2−0 アルカラマ
【得点】
[G大阪]山崎雅人(83分)、ロニー(85分)

 17日に行われたアウェーでの初戦を2−1で勝利しているガンバは、勝ちか引き分け、または0−1の敗戦でも準決勝に進出できる優位な立場で試合に臨むこととなった。

 前半はガンバが主導権を握り相手ゴールに迫るが得点を挙げられなかった。特に前半30分にはMF寺田紳一とFW播戸竜二のシュートが2度ゴールバーを叩いた。攻め込みながらも1点が遠く、45分間を終え同点のまま試合を折り返す。

 後半も攻めながらも得点を奪うことができず、後半18分に播戸に替えて第1戦で決勝ゴールを決めたFW山崎雅人を投入する。この試合はドローでも準決勝進出が決まるが、あくまで勝ちを収めるべく、フレッシュなFWを投入し、得点を狙いにいった。

 そして、ガンバがついにゴールを奪ったのは後半38分。点を入れたのは山崎、見事に西野朗監督の期待に応えた。PA内の左サイドで山崎が粘り、角度のないところからシュートを放ち、相手のゴールネットを揺らした。山崎はACLで2戦連発となり、ラッキーボーイが出現した。

 さらに、2分後にもFWロニーがMF二川孝広との見事なワンツーから抜け出し、豪快に相手ゴールへシュートを叩き込んだ。準決勝を決定的なものとする2点目が入り、シリアの強豪の息の根を完全に止める一発となった。

 このまま試合は終了し、2試合合計4−1でガンバがクラブ史上初のACLベスト4に進出した。Jリーグでは苦戦しているガンバだが、過去にはね返されてきたアジアの壁を突破し、クラブ初のベスト4に進出した。山崎のようにクラブに勢いを与える存在がいることは心強い。このままアジアの頂点にまで駆け上る可能性も大いにあるだろう。

 ホームの大歓声を背に完勝、ガンバとの準決勝へ(埼玉)
浦和レッズ 2−0 アルカディシア
【得点】
[浦和]相馬祟人(29分)、田中マルクス闘莉王(52分)

 前回大会の覇者浦和は、準々決勝からのACL出場となった。アウェーでの初戦は敗れたもののエジミウソンの2得点で2−3というスコア。2つのアウェーゴールを上げており、ホームでの第2戦を勝利すれば準決勝進出の可能性が高くなっていた。

 リーグ戦でのさいたまダービーから中2日の強行日程で試合に臨む浦和だったが、ホームの大声援を受けて疲れを感じさせず、立ち上がりから主導権を握る。MFポンテらを中心にボールをキープしながら試合を組み立て、好機を数多く作っていった。

 浦和に待望の先制点は入ったのは、前半30分だった。ポンテからの左サイドコーナーキックが一旦DFにクリアされる。しかし、PA少し外からクリアボールをMF相馬祟人が左足でダイレクトにボレーシュート。アルカディアGKナワフ・アルハルディは一歩も動けず、ゴール左隅にボールが吸い込まれていった。勝ちが必要な浦和にとって喉から手が出るほど欲しかった先制点を前半のうちに奪い、優位に試合を進めていく。その後も攻撃を仕掛けるレッズだったが、得点は挙げられず1−0のまま試合を折り返す。

 後半も主導権を握った浦和は後半17分に追加点を奪う。決めたのはやはり“あの男”だった。

 右サイドからゴール前に上がったFKを、冷静に胸でトラップしながらDFを交わし、右足で豪快にシュートを蹴り込んだのはDF田中マルクス闘莉王だ。第1戦の敗退を誰よりも悔しがった男が、一週間前の鬱憤を晴らすような強烈なゴールでレッズの準決勝進出を大きくたぐり寄せた。

 その後、アルカディシアの鋭いカウンターで危ないシーンも作られたが、最後まで得点を与えず2−0で試合終了となった。2試合合計4−3で浦和が勝利し、昨年に続き2度目のベスト4進出。30分前に試合を終えていたガンバ大阪と準決勝で対戦することになった。

 試合後、浦和ゲルト・エンゲルス監督は「激しい試合だったが、勝つことができてよかった。(ガンバとの準決勝について)決勝に日本のクラブが行けることが決まったからすごくいいこと。お互いに相手のことをよく知っている。いい試合になると思う」と語り、日本勢同士の戦いでの健闘を誓った。

 攻めて作れずアウェーで完敗、ベスト4ならず(アデレード)
アデレード・ユナイテッド 1−0 鹿島アントラーズ
【得点】
[アデレード] ロバート・コーンスウェイト(72分)

 鹿島は準々決勝第1戦をドローで終えており、G大阪、浦和よりも苦しい立場での戦いを強いられていた。初戦は1−1ながらも鹿島の上げた得点はオウンゴールのみ。先日、MF小笠原満男が重傷を負い、経験豊かな大黒柱を欠く布陣で豪州に乗り込むこととなった。

 試合は立ち上がりからホームのアデレードが主導権を握る。チーム全体でタテへ動く攻撃の意識が高く、鹿島は相手に何度か決定機を許してしまう。相手のシュートが精度を欠き、ゴールは割られなかったものの、守備に割く時間が多くなる展開となった。

 攻撃陣はカウンターを中心に反撃を試みた。前半42分にはFW興梠慎三がDFラインの裏を突いてスルーパスを受ける。ゴール前でシュートを試みるがアデレードDFの必死のクリアで得点を上げることはできなかった。前半45分はあまり攻め手がないまま、0−0で終了する。

 試合が動いたのは、後半27分だった。後半開始から攻勢に出ていたアデレードが左サイドから突破し、ゴール前にクロスボールを上げる。そこに飛び込んできたのはDFロバート・コーンスウェイトだった。長身DFから放たれた強烈なヘディングシュートは地面に叩きつけられ、GK曽ヶ端準が必死のセーブを試みるも及ばず、鹿島ゴールに吸い込まれた。

この時点で鹿島は延長戦に突入させるために、どうしても1点を取らなければならなくなった。だが、必死に攻撃の形を作ろうとするが、小笠原不在の影響からか中盤で試合を組み立てることができない。

 それでも残り10分を過ぎるとアデレードDFの足も止まり始め、鹿島が一方的に攻勢に出る。DF岩政大樹を前線に上げ、パワープレーで1点を奪いにいく。もう一歩のところまで迫りながら得点を奪うことはできず90分を経過する。ロスタイムは4分。この時間は鹿島の攻撃ばかりが目立った。しかし、それでもアデレードゴールをこじ開けることができず、0−1で試合終了。2試合合計1−2となり、準々決勝敗退。クラブ史上初のアジアベスト4進出はならなかった。

 ガンバ大阪と浦和レッズが対戦する準決勝は10月8日、22日にホーム&アウェー方式で行われる。史上初のJクラブ同士の対決で、どちらがアジア王者に王手をかけることができるのか。アジアの舞台で日本を代表する両雄がどのような激戦を見せてくれるのか、白熱した一戦を期待したい。