8日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦が行われた。ガンバ大阪がホームに浦和レッズを迎えた一戦はお互いに譲らず1−1で引き分けた。また、もう一方の準決勝ではジーコ・元日本代表監督が率いるクルブチ(ウズベキスタン)はアデレード・ユナイテッド(オーストラリア)に0−3で破れ、決勝進出は厳しい状況となった。

 ガンバが攻め続けるも、勝ち越しならず(万博)
ガンバ大阪 1−1 浦和レッズ
【得点】
[G大阪]遠藤保仁(80分)
[浦和]細貝萌(22分)
 今年のACLはベスト4のうち2つがJリーグ勢となった。その2クラブが準決勝で激突、初のベスト4進出で勢いに乗るガンバ大阪と2大会連続の決勝進出を狙う浦和レッズの対決だ。

 G大阪はACLを順調に勝ち上がってきた。グループリーグを4勝2分で突破し、準々決勝でもアルカラマ(シリア)に連勝。無敗で準決勝まで駒を進めた。Jリーグでも最近4試合負けなしと波に乗ってきている。

 試合の鍵を握るのは、準々決勝2試合で連続ゴールをあげたFW山崎雅人だ。トーナメント方式のACLで勝ち上っていくためには、チームに勢いをつけるラッキーボーイが必要。準々決勝2試合では試合途中から出場し得点を挙げている山崎の活躍は、まさにスーパーサブの働きだった。今日の準決勝第1戦では先発出場し、播戸竜二と2トップを組んだ。山崎、播戸の二人が自由に動き回る時間を多く作れれば、ホームのガンバが準決勝の主導権を握ることになる。

 対する浦和は前回王者の優遇措置でグループリーグは免除され、準々決勝からの登場だった。アルカディシア(クウェート)との対戦では、アウェーでの第1戦で2−3と敗れたものの、ホーム・埼玉での第2戦では2−0で快勝し、昨年に続き準決勝への切符を手にした。Jリーグではここ3試合勝ち星を挙げていない浦和だが、前回王者のプライドをかけ、敵地・大阪に乗り込んできた。

 レッズのキーマンはDF阿部勇樹だろう。DF田中マルクス闘莉王が足首の負傷により今日の試合は欠場した。阿部は闘莉王の穴を埋めるべく守備だけでなく、攻撃面でもこれまで以上の働きをしなければならない。無念の欠場を余儀なくされた闘莉王ためにも奮起したいところだ。

 前半立ち上がりから積極的に前へ出てきたのは、ホームのガンバだった。播戸、山崎やMF二川孝広を中心とした攻撃陣がレッズゴールに襲いかかる。前半17分には二川がPA内で強烈なシュートを放つが、阿部が懸命のクリアに入り得点を挙げることはできなかった。

 しかし、前半22分に先制点を決めたのはそれまで攻撃の形をほとんど作ることができなかった浦和だった。

 コーナーキックからのボールを相手DFにクリアされたが、こぼれ球を拾ったMF相馬祟人が左サイドをドリブルで突破する。PA内に切り込んでシュートを放つが、懸命の守備でガンバがクリア。そのクリアボールを、PA少し外からMF細貝萌が右足を鋭く振りぬきシュート。豪快なミドルシュートがガンバゴールに突き刺さり、浦和が先制する。アウェーゴールとなる1点を奪い、準決勝を優位に進めることとなった。

 ガンバも25分にMF遠藤保仁がFKで直接ゴールを狙ったが、シュートは惜しくも外側の右サイドネットへ。その後、両チームともゴールに迫るも点は入らず、0−1で試合を折り返す。

 後半に入り勢いのある攻撃をみせたのはガンバだった。圧倒的にボールを支配し、レッズ陣内で厚い攻撃を繰り返す。後半20分には山崎がPAからシュートを放つが、わずかにゴール左に外れる。21分に再び山崎が相手DFをうまくかわしシュートを放つが、これは力なくGKの元へ。攻撃の形は作るものの、なかなかレッズゴールを割ることはできない。対するレッズはほとんどを自陣で守備に追われ、攻撃の形を作りだせない。

 攻め込みながらも点を奪えないガンバに、ビッグチャンスが訪れたのは後半33分。ゴール前のスルーパスに反応した播戸がDFラインの裏に走りこみ、相馬に倒されPKを獲得した。キッカーはもちろん遠藤だ。GK都築龍太の飛ぶ方向を落ち着いて見極め、キーパーとは真逆の右サイドネットに冷静に蹴りこみ1−1の同点となった。

 追いついたガンバは、かさにかかって攻撃を仕掛ける。MF明神智和のミドルシュートなどでレッズゴールを脅かし続けた。しかし、ゴール間際で踏ん張りを見せたレッズ守備陣からゴールを奪えずに1−1で試合は終了し、第2戦の埼玉スタジアムで雌雄を決することとなった。

 スコア上ではアウェーゴールを奪った浦和が優位に立っているように思われる。しかし、圧倒的に攻め続けたガンバの勢いは侮りがたい。また、レッズは守備に大半の時間を使った後半に細貝、相馬、都築がイエローカードを受けホームでの第2戦で出場停止となった。地元サポーターの大声援が控えているとはいえ、主力の3人が欠場するという厳しい状況に立たされた。

 試合後、ガンバ西野朗監督は「前半は逃げのポゼッションだったが、後半はリスクを背負いながらも積極的な攻撃を仕掛けることができた。パスを回せても得点が入らなければ本来のガンバのサッカーではない。本来のサッカーを第2戦で見せたい」と敵地での攻撃陣の奮起を期待した。

 一方、レッズのゲルト・エンゲルス監督は「いい試合だった。前半は我々、後半は向こうがよかった。3人が出場停止になるが、これは控えの選手にとってはチャンスだ。彼らにチャンスを掴んでほしい。準決勝はまだ前半が終わっただけ。アウェーゴールに頼らずに、埼玉スタジアムでは勝って決勝に進みたい」とホームでの必勝を誓った。

 決勝進出をかけた第2戦は10月22日(水)に埼玉スタジアムで行われる。