今年の独立リーグ日本一を決定する「日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2008」は17日、第1戦が行われる。対戦するのは四国・九州アイランドリーグを3年連続で制し、連覇を狙う香川オリーブガイナーズと、BCリーグを初制覇した富山サンダーバーズ。2年目を迎えた“もう1つの日本シリーズ”に臨む両チームの戦力を分析する。
(写真:昨年は香川が3勝1敗で初の栄冠に輝いた)
香川オリーブガイナーズ
★今季成績
前期 26勝10敗4分 勝率.722(1位)
後期 20勝16敗4分 勝率.556(3位)

 米国帰りの松尾、ラッキーボーイ金井に注目

「大舞台での経験がウチの強み」
 西田真二監督がそう評する王者・香川の強さが際立ったのは、愛媛マンダリンパイレーツとのリーグチャンピオンシップだ。大混戦の末、悲願の初優勝を果たした愛媛に対し、3勝0敗。まったくスキのない野球で3年連続の年間王者に輝いた。昨年のグランドチャンピオンシップを経験しているだけに、富山との最終決戦も浮き足立つことはないはずだ。

 あらためてチームを眺めると香川は投打のバランス、新人と経験者のバランスがとれている。投げてはサブマリンの塚本浩二が14勝(3敗)をあげ、リーグ2位の防御率1.36をマークした。リーグチャンピオンシップでも1、3戦と愛媛打線を封じ込んで、チームに流れを呼び込んでおり、このチャンピオンシップでも第1戦の先発は濃厚だ。ここに2年目の金子圭太、ルーキーの福田岳洋が2戦目以降の先発要員として控える。

 リードを奪えば、抑えには4年目の橋本亮馬がいる。さらにシーズン終盤、香川には強力な右腕が帰ってきた。ボストン・レッドソックス傘下のマイナーチームから帰国した松尾晃雅だ。米国で身につけたチェンジアップを武器に加え、速球とキレのあるスライダーで勝負する。投手は総勢9名と決して頭数は多くないが、ひとりひとりの質は高い。

 攻撃陣では、昨年のグランドチャンピオンシップMVPの堂上隼人がここにきて調子を上げてきた。リーグ戦では打率.290と3年目で初めて3割を切ったものの、宮崎で行われたフェニックス・リーグではNPB相手に3試合連続で打点をあげるなど、勝負どころを心得ている。4番には2年連続2冠(本塁打、打点)に輝いた丈武が座り、「うちでもナンバーワンの素質を持つ」と西田監督が語る新人の金井雄一郎も中軸を打つ。金井はリーグチャンピオンシップでMVPを獲得し、もっとも波に乗っている選手だ。今回の戦いでも、その打撃に注目したい。

 そのほか31盗塁を決めた笠井要一や洋輔など足の使える野手もそろっている。内外野を守る生山裕人のケガは不安要素だが、育成優先で臨んだ後期シーズンの戦いで、各選手は経験値をアップさせた。誰が出ても見劣りしない戦いができるだろう。
(写真:全試合に出場し、チームトップの81安打を放った洋輔)

 対戦相手の富山には元愛媛の小山内大和、木谷智朗が在籍する。四国での昨年の対戦成績は小山内が4勝4敗、防御率2.31、木谷が勝ち負けなしの防御率2.82。BCリーグで好成績を収めている2人だが、特徴をつかんでいるだけにやりにくい相手ではない。現在、香川はリーグチャンピオンシップも含む短期決戦では06年からホーム5連勝中。ホーム開幕の2連戦をとれば、連続日本一は限りなく近づく。

富山サンダーバーズ
★今季成績(北陸地区)
前期 19勝15敗2分 勝率.559(1位)
後期 16勝12敗8分 勝率.571(1位)

 元愛媛の小山内&木谷がキーマンに

 前後期ともに優勝を果たした富山サンダーバーズは地区チャンピオンシップでは昨季の覇者・石川ミリオンスターズを破り、続いて行われた群馬ダイヤモンドペガサスとのリーグチャンピオンシップでは3連勝を飾ってBCリーグの頂点に立った。

 今季の富山は、井野口祐介(群馬)や宮地克彦(福岡ソフトバンクコーチ補佐)が抜け、主砲の野原祐也もマークが厳しく本塁打数は半減しており、打線は昨季のような破壊力はない。チーム自体も波に乗れず、5月には球団ワーストとなる6連敗を喫したこともある。

しかし、課題だった投手力は勝利数、防御率の2冠に輝いたエースの小山内大和をはじめ、木谷智朗、田中孝次、小園司と先発、リリーフともに安定し、徐々に「守り勝つ野球」がチームに浸透していった。
打線もチャンスでの強さは健在で、ここぞという時に集中打が出るのが強み。シーズンを通して投打のバランスが整ったチームに仕上がった。

 短期決戦のプレーオフに入ってからは、リリーフにまわっている木谷の活躍が大きい。地区、リーグチャンピオンシップでは4試合で7回を投げ、6安打1失点、1勝0敗1セーブという成績を残している。
 なかでも地区優勝を決めた3日の石川戦は、シーズン中、守護神としてチームに貢献してきた小園司が1死も取れないまま降板。その後を受け継いだ木谷が1点差を死守し、勝利の立役者となった。
(写真:小園の働きも短期決戦のカギを握る)

 打線もつながりがいい。プレーオフでは序盤から積極的な攻撃を展開し、早めに先取点を取れていることが、投手への負担を軽減させている。さらに、最後まで諦めない粘りもある。リーグ優勝を決めた11日の群馬戦は、8回まで無失点に抑えられていたが、9回2死から草島諭に起死回生の3ランが飛び出し、土壇場で同点に追いつくと、延長10回に勝ち越しを決めてサヨナラ勝ちを収めた。

 グランドチャンピオンシップはビジターでの2連戦からスタートする。ここで白星をひとつでも取っておけば、残りは地元ファンの後押しを受けられるホームでの3連戦と優勝にグッと近づく。それだけに、絶対的なエース小山内の先発が予想される第1戦が、大きなカギを握りそうだ。

<グランドチャンピオンシップ概要>

【試合日程】
★四国・九州アイランドリーグラウンド
第1戦 10月17日(金) サーパススタジアム 18時
第2戦 10月18日(土) サーパススタジアム 18時

★BCリーグラウンド
第3戦 10月24日(金) 桃山野球場 18時30分
第4戦 10月25日(土) 県営富山野球場 12時
第5戦 10月26日(日) 県営富山野球場 12時
※予備日程 10月27日(月) 宮野野球場 18時30分
※予備日程 10月28日(火) 桃山野球場 18時30分

【チケット】
★アイランドリーグラウンド 大人:1,200円、小・中学生:600円
★BCリーグラウンド 大人:1,500円、小・中学生:800円
※いずれも全席自由、当日券のみ、未就学児は無料

【ルール】
・9回を終了して同点の場合は延長戦を行う。延長戦は原則として決着がつくまで行う。ただし、サーパススタジアムでは9回終了後、21時30分を超えて新しいイニングに入らない。また県営富山野球場は照明設備がないため、日没の場合は9回終了前でもコールドゲームとする。
・先に3勝、またはチャンピオンシップの勝ち越しを決めたチームがグランドチャンピオンとなり、以降の試合は行わない(5試合を終えて2勝1敗2分などの場合も勝ち越したチームが優勝)。
・5試合を終えて、両チームの勝敗が並んだ場合(2勝2敗1分など)は予備日程で1試合を実施し、その試合に勝利したチームを優勝とする。
・予備日も含めて、全日程を消化できなかった場合は、その時点での対戦成績で優勝を決定する(両チームの勝敗が並んだ場合は両者優勝)。