13日、アジア王者をかけて行われるアジアシリーズが東京ドームで開幕する。出場は埼玉西武、SKワイバーンズ(韓国)、統一ライオンズ(台湾)、天津ライオンズ(中国)の4チームで、いずれも各国・地域の覇者だ。過去3回は日本のチームが優勝しているが、各国・地域ともに年々レベルが高くなっているだけに、決して楽観視はできない。特に韓国の成長は著しく、北京五輪では韓国代表が世界の頂点に立った。また、SKは前回のアジアシリーズで中日を破っている。日本のチームとしてはこれが唯一の黒星となった。パ・リーグ、クライマックスシリーズ、日本シリーズに続いて4冠に挑む西武だが、一筋縄ではいかないようだ。
 4年ぶりに日本一に輝いた西武の初戦の相手は、強敵SKだ。同チームには韓国を代表する若きエース、キム・グァンヒョンをはじめ、北京五輪で3番を張ったチョン・グンウ、同じく北京五輪準決勝の日本戦で貴重な同点タイムリーを放ったイ・ジンヨンと3人の北京五輪代表選手が所属している。

 特に“日本キラー”の異名をもつキムは手強い相手だ。北京五輪では一次予選で5回1/3を投げて3安打無失点。準決勝は8回を投げて6安打2失点と好投し、日本戦での強さを示した。また、昨年のアジアシリーズでは初戦の中日戦に先発し、7回をわずか3安打無失点に抑え、同大会において日本チームに初めて土をつけさせた。今季も16勝(4敗)、防御率2.39の好成績をおさめ、チームを2年連続での韓国シリーズ制覇に導いた。今大会でも初戦での先発が濃厚だ。西武打線がいかにこのサウスポーを攻略するかがこの試合のみならず、大会を制する上でも大きなカギとなりそうだ。

 第2戦では昨季に続いて台湾球界を制した統一ライオンズと対戦する。このチームの大黒柱はエースの潘威倫だ。今季はチームで唯一の2ケタ、12勝(2敗)をあげ、これで2ケタ勝利は6年連続となった。7月には台湾球界史上6人目のノーヒットノーランを達成すると、北京五輪では2試合に登板し、防御率0.93という抜群の安定感を示した。前回は中日戦に登板し、6回2失点の好投を披露。今大会も西武戦での登板が予想される。
 後ろには豊富な中継ぎ陣と守護神・林岳平が控えている。打線は台湾野球らしい積極的な攻撃が身上だ。潘のピッチングによっては、番狂わせが生じる可能性もあるだけに、早めに潘をマウンドからひきずり降ろしたい。

 第3戦は天津ライオンズだ。前回まで選抜チーム“チャイナスターズ”として参加していた中国だが、今大会は初めて単独チームを送り込んできた。北京五輪に向けた強化策によって、それだけ国内のレベルが向上した証だろう。北京五輪ではエースの呂建剛が中国にとって国際試合初勝利となる台湾戦で勝ち投手となり、国際大会での自信を深めた。また、抑えには社会人のヤマハでプレー経験のあるベテラン、李家強が健在と投手陣は安定している。とはいえ、経験、実力ともに西武が一枚も二枚も上。自分たちの野球さえすれば十分に勝てる相手であることに変わりはない。第1、2戦に勝利することが大前提となるが、この中国戦に快勝し、西武は16日の決勝戦に弾みをつけたいところだ。

 今回は外国人勢、中島裕之、細川亨と多くの主力を欠く西武。投手陣も日本シリーズで多投した涌井秀章、岸孝之には負担はかけられず、戦力的に不安を抱える。だが、片岡易之、栗山巧の1、2番コンビ、主砲の中村剛也、一発のある後藤武敏、日本一を決めた一打を放ったベテランの平尾博嗣、そしてキャプテンの赤田将吾と打線はまだまだ層が厚い。あとは初戦に先発予定の帆足和幸をはじめ、小野寺力や大沼幸二ら中堅の投手陣の踏ん張りに期待したいところだ。

 2006年のワールド・ベースボール・クラシックでは日本が、北京五輪では韓国が世界の頂点に立つなど、近年の国際大会ではアジア勢の強さが目立っている。今やアジアの野球は世界のトップレベルに達しつつあるといっても過言ではない。こうした中、アジア王者を意味するこのシリーズでの優勝は価値の高いものといえるだろう。果たして西武はアジアNo.1の座を継承し、栄誉をつかむことができるのか。

 〜アジアシリーズ2008 スケジュール〜

13日(木) 統一ライオンズ vs. 天津ライオンズ(12:00〜)
      SKワイバーンズ vs. 埼玉西武ライオンズ(18:00〜)

14日(金) 天津ライオンズ vs. SKワイバーンズ(12:00〜)
      埼玉西武ライオンズ vs. 統一ライオンズ(18:30〜)

15日(土) 天津ライオンズ vs. 埼玉西武ライオンズ(12:00〜)
      統一ライオンズ vs. SKワイバーンズ(18:00〜)

16日(日) 上位2チームでの決勝(14:00〜)