20日、AFCアジアカップ2011カタール大会予選グループA第1戦が熊本KKウイングで行われ、日本代表はイエメン代表と対戦した。前半7分、コーナーキックからMF岡崎慎司(清水)が先制点を挙げる。後半開始直後にセットプレーから失点するものの、19分にFW田中達也(浦和)が勝ち越し点を決め、2−1で試合終了。日本が実力で大きく上回る相手との年明け初戦を快勝した。岡田JAPANは1週間後の28日(水)にアジアカップ予選第2戦でバーレーンと敵地で対戦する。

 シュート25本を放つも2点止まり(熊本)
日本代表 2−1 イエメン代表
【得点】
[日] 岡崎慎司(7分)、田中達也(65分)
[イ] ファリド・アルファズリ(47分)
 南アフリカW杯最終予選がクライマックスを迎える2009年。その最初の公式戦は、日本代表戦史上初めて熊本で開催された。今回の代表には海外組やクラブW杯から天皇杯まで過密日程だったガンバ大阪組が外れ、MF谷口博之(川崎F)、乾貴士(C大阪)の初招集の選手を含む、若手主体のメンバー構成になった。岡田武史監督は「このメンバーで勝てる試合をしてほしい」と新鮮な顔ぶれとなった代表に期待をかけた。

 試合開始早々から主導権を握った日本は、前半7分に早くも先制する。右ショートコーナーからサイドへ上がった田中達がクロスボールを挙げる。ゴール前で低いボールに合わせたのは岡崎、フリーで右足のシュートを放ち1−0とする。岡崎は5試合目で嬉しい代表初ゴールとなった。

 先制点後も攻勢に出る日本は、MF中村憲剛(川崎F)を中心にイエメンゴールに迫っていく。16分にはDF内田篤人(鹿島)がミドルシュート、25分にはMF青木剛(鹿島)がヘディングを放つが追加点を奪うことはできない。前半30分過ぎからは幾度かチャンスを作るものの決定機を作ることはできず、前半はこのまま日本の1点リードで折り返す。

 後半開始2分、日本に落とし穴が待っていた。イエメンが右サイドからのフリーキック。ゴール前にいいボールが入り、上がってきていたDFファリド・アルファズリがヘッドで合わせ日本のゴールネットを揺らす。これまで日本守備陣を支えてきた中澤佑二(横浜FM)、田中マルクス闘莉王(浦和)が不在の試合。代役の寺田周平(川崎F)と高木和道(G大阪)は結果を残したかったが、ワンチャンスで失点を喫した。結局、イエメンが放ったシュートはこの1本のみ。セットプレーからの失点とはいえ、課題を残す1点となった。

 立ち上がりの失点はあったものの、試合のペースを握り続けたのは日本だった。5分にはDF駒野友一(磐田)からのクロスにゴール前の岡崎が競り、あわやオウンゴールかと思わせる際どいプレーも飛び出す。終始押し気味の展開で追加点が入るのは時間の問題だった。

 そして後半20分。右サイドのコーナーキックから中村憲がゴール前に上げたボールに、岡崎がヘッドで合わせファーサイドへ落とす。そこへ飛び込んだのが田中達だった。低いボールに対し屈みながらヘディングシュート。泥臭いゴールながら、確実にシュートを枠内に運び待望の勝ち越し点を奪った。

 試合はこのまま終了し2−1で日本が勝利した。日本は25本のシュートで2得点。多くのシュートを放ちながら、枠内に飛んだのは8本だった。年が明けても日本のフィニッシュでの精度の低さは相変わらずだ。

 そんな日本の攻撃陣で目立ったのは1ゴール1アシストの岡崎だ。代表初ゴールを決めただけでなく、シュートがポストを叩く場面が2回ほどあった。もう少しシュートが内側に飛んでいれば、ハットトリックもあり得たかもしれない。「先制点は達也さんがいいボールをくれたので、流し込むだけだった。チャンスはあったのに外してばかりだったので、決めていればもっといい試合になりました」と試合後には悔しさを滲ませていた。しかし、岡田監督にアピールするには十分な出来だった。2月11日(水・祝)のW杯最終予選豪州戦でも出番が巡ってくるかもしれない。

 28日のアジアカップ予選バーレーン戦(アウェー)、2月4日のフィンランドとの親善試合で少しでもシュートの精度を上げ、得点力不足の課題を克服できるか注目したい。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
寺田周平
高木和道
内田篤人
駒野友一
MF
青木剛
中村憲剛
岡崎慎司
香川真司
→金崎夢生(86分)
田中達也
→乾貴士(79分)
FW
興梠慎三
→巻誠一郎(60分)