2日〜10日にファイナル4進出をかけて開催されるカンファレンス セミファイナル。2、3日にはウエスタン・カンファレンス2位、4連覇を目指す大阪エヴェッサと、2シーズンぶりのファイナル進出を目指す同3位の高松ファイブアローズが対戦する。果たして、どんな戦いが繰り広げられるのか。2チームのヘッドコーチ(HC)に意気込みを訊いた。

「速攻がチームのエネルギーに」(大阪エヴェッサ/天日謙作HC)
 今季はトレードやカットなどで選手の入れ替わりが激しく、地区3位という成績が続いていました。しかし、最後には高松ファイブアローズとの2位争いに僅差で勝ち、セミファイナルのホーム開催の権利を得ることができました。また、高松戦最終戦を連勝で締めくくり、対戦成績を4勝4敗と五分にもってこれたこともチームにとっては良かったですね。これで選手たちは高松に対して負い目を感じずに、セミファイナルに臨むことができます。

 ここまでこれたのは主力メンバーはもちろんですが、G今野翔太、F堀川竜一、C早川大史といったベンチメンバーが成長したことが要因にあげられます。また、昨年12月にライジング福岡からトレード移籍したG仲西淳が加入してすぐにチームにフィットしてくれたことも大きかったですね。特に終盤はG仲村直人、F波多野和也と主力の相次ぐ故障で苦しい試合が続きましたが、翔太や淳がいつも以上に積極的にオフェンスリバウンドに行ったり、ディフェンスでもヘルプに行ったりと、自ら仕事の幅を広げてやってくれました。

 一方、今季加入した外国人選手の奮闘も欠かせません。練習でも試合でもチームを牽引してくれているのがGナイル・マーリーです。「リードでもディフェンスもリバウンドも、全ての面で期待している」という私の言葉を聞いて本人は笑っていましたが、それほど全幅の信頼を置いている選手です。

 また、「バスケットIQが高く、サイズのある選手」という希望の下に獲得した途中加入のFライアン・ブラックウェルは、期待していた以上の活躍を見せ、チームに好影響を与えてくれています。例えば、以前はリンとナイルの2人だった主な得点源が、ライアンが加入したことによって3人となり、相手にマークを絞りにくくさせることができました。また、得点能力だけでなく、彼はパスも出せるし、ディフェンスでは相手チームの大柄な選手のマークを任せることができます。チームリーダーのリンとの相性もよく、彼の加入が今季の大阪を支えてくれた要因の一つとなったことは間違いありません。

 さて、セミファイナルで対戦する高松はオフェンスに優れ、1Qで30点以上取ることができるほどの爆発力をもっているチームです。その高松を止めるためには、2つほどポイントがあります。具体的には言えませんが、連勝した高松との最終戦ではそれができたからこその勝利でした。セミファイナルでもそのことを改めて全員に意識づけ、徹底させたいと思っています。

 一方、大阪としては積極的にディフェンスをしかけ、ファーストブレイク(速攻)の多い、スピード感あるゲーム展開にしたいですね。というのも、ファーストブレイクは会場を盛り上げ、チームにエネルギーをもたらしてくれます。相手にとってこれ以上嫌なことはありません。これもホームチームのアドバンテージ。ブースターの皆さんに大阪のバスケットを存分に魅せたいと思います。


「バランスのよさが勝利を呼ぶ!」(高松ファイブアローズ/青木幹典HC)
 今季は開幕から4連勝を飾り、開幕前に感じていた通りチームはいい状態でスタートを切ることができました。しかし後半は、主力のCジョージ・リーチが今季絶望の大ケガをしたのに続き、PFゴードン・ジェームス、Fマット・ギャリソンを故障で欠き、苦しい試合が続きました。それでも日本人選手の頑張りもあって、なんとか踏ん張ることができました。

 なかでもPG中川和之はコートの内外でリーダーシップを発揮してくれました。彼はプロ意識が非常に強く、やるべきことをきちんとやりこなす選手です。そうした姿勢が他の選手の模範となり、チームにいい影響を与えてくれました。また、彼は英語が話せますので、外国人選手と日本人選手の意思疎通を図る“橋渡し”の役もこなしてくれました。

 私は3年前、チームスタートと同時にHCとなり、今季で3年目を迎えました。就任以来、ずっとこだわり続けてきたのが、戦力のバランスです。外国人選手にばかりこだわるのではなく、日本人選手も主戦として活躍するようなチームづくりを目指してきました。現在では日本人選手のレベルはリーグでトップクラスにあると自負しています。

 日本人選手の得点力がアップしたことで、アウトサイドとインサイドのオフェンス力におけるバランスもうまく取れています。インサイドに強いジェームスやCババカ・カマラにマークが集中すれば、SG岡田優や中川といった日本人選手がアウトからどんどん3Pを狙うことができますし、逆にアウトへのマークが厳しくなれば、今度はインサイドでの攻撃が楽になります。こうのような引き出しの多さが、攻撃力アップにつながっているのです。

 さて、セミファイナルでは目下3連覇中の大阪エヴェッサとの対戦です。正直なところ、昨季は“強豪”というイメージが強く、自分たちが最高の状態を維持しながら、高い得点率をもってしないと勝つことはできない、少しもミスはできないという気持ちで臨んでいました。しかし、今季はオンザコート3というルール改正に加え、リン・ワシントン選手以外の外国人選手は今季加入した選手ばかり。そのため、それほどプレッシャーを感じずに試合に臨むことができました。その結果、昨季は1勝5敗と大きく負け越しましたが、今季は4勝4敗という五分の成績にもっていくことができました。

 とはいえ、最後の直接対決は左手親指の靭帯を断裂し手術したジェームスが欠場、加えてギャリソンも故障明けということもあり、連敗してしまいました。1勝でもすればホーム開催権が獲得できる2位が見えてきたのですが……。しかし、この連敗が選手の気持ちを引き締め、セミファイナルではプラスとなって働いてくれることを期待しています。

 そのセミファイナルでのポイントは前述したオフェンスのバランスを保ち、高松らしいバスケットができるかどうかにあります。というのも、負けるときはたいていこのバランスが崩れたときなのです。

 例えば、大阪との最終戦での3Pの成功率は23.5%、レギュラーシーズン最終戦で福岡に1点差で敗れた試合でも3Pは27.3%でした。これだけアウトからの攻めが崩れてしまえば、インサイドで勝負するしかありません。そうすれば、当然相手は中をガチガチに固めてくる。これでは攻撃の糸口をつかもうにもつかむことはできません。こうした苦い経験を、ぜひセミファイナルにいかしてもらいたいですね。

 大舞台では選手たちの気持ちがどれだけ結束しているかも重要です。そのためにもチーム内でのコミュニケーションは欠かせません。そのことを痛感させられたのが昨季のプレイオフでした。私たちは昨季、ワイルドカードでレギュラーシーズンでは10ゲーム差もつけていたライジング福岡に、まさかの敗戦を喫してしまったのです。その時に一番に感じたのがコミュニケーション不足でした。

 特に何が起こるかわからない短期決戦では、レギュラーシーズン以上のチームワークを必要とします。そのためにはコート上の5人だけではなく、ベンチにいる選手も含めて全員で戦うという姿勢を見せなければいけません。そして個人個人がチームのために自分が何をすべきなのかを考えること。一人でも自己中心的な考えをもっていては、大舞台を戦っていくことはできません。

 今季は試合後に必ずミーティングをし、選手の気持ちの統一化を図ってきました。シーズンで経験したことを糧に、最後に選手たちがどういう気持ちでプレイオフに臨んでくれるのか。もちろん、私は選手たちを信じています。ブースターの皆さんにもぜひチームの一体感を感じながら共に戦ってほしいと思っています。

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