17日、東京・有明コロシアムでbjリーグ08−09ファイナルが行われ、琉球ゴールデンキングス(沖縄)が東京アパッチを下し、初優勝に輝いた。MVPには前日のカンファレンス ファイナルでリーグ史上最多の50得点をマークし、ファイナルでも唯一フル出場したFジェフ・ニュートンが選ばれた。ニュートンは過去3年間は大阪エヴェッサで優勝しており、初年度から4年連続でチャンピオンとなった。3位決定戦では浜松・東三河フェニックスが攻守ともに圧倒し、大阪エヴェッサを下した。
(写真:チャンピオンに輝き喜び合う沖縄)

◇ファイナル
 沖縄が逃げ切って初優勝!
琉球ゴールデンキングス 89−82 東京アパッチ
【第1Q】25−18【第2Q】21−20【第3Q】22−24【第4Q】21−20

 1年前の雪辱を果たそうと、2年連続でのファイナルに臨んだ東京。だが、それが気負いとなったのか、1Qの前半、東京が挙げた得点はFティッソ・ジョンソンの2PとGジョン・ハンフリーの3Pの2本のみと苦しいスタートとなった。一方の沖縄は軽快な動きを見せ、G澤岻直人、Cクリス・エアーを中心に次々とシュートを決めた。後半、ようやくエンジンがかかった東京は必死の追い上げを見せるが、沖縄もG菅原洋介が効果的に3Pを決めるなどし、7点のリードを奪って1Qを終えた。この差が最後まで響き、勝敗を分けることになる。

(写真:東京も粘りを見せるが……)
 2Qは「東京が優勝していたら間違いなくMVPだった」とジョー・ブライアントHCからも称賛の声が聞かれるほど、前日から調子の良さを見せていたFデミオン・ベーカーがチーム最多の10得点をマークする活躍もあり、東京は引き離されないようにと必死で食らいつく。続く3Qも一進一退の攻防が続き、試合が進むにつれてブースターの声援も選手たちのプレーもヒートアップしていった。

 沖縄6点リードで迎えた最終クオーター。序盤に9連続得点をマークし、ますます勢いに乗る沖縄に対し、東京は残り6分のところでSG城宝匡史がファイブファウルで退場。さらにオフィシャルタイムアウト明けには岩佐が大事なフリースローを2本とも外してしまった。

 この状況を打開しようと奮闘したのは、やはりベーカーだった。一人で立て続けに6得点を挙げ、追い上げを図る。ところが、そのベーカーが残り3分を切ったところで左足のアキレス腱を断裂し、負傷退場となった。追い上げムードだっただけに、東京にとってはあまりにも痛いアクシデントだった。

 それでもベーカーの代わりに出場したCジュリアス・アシュビーが活躍。さらにはフリースローの汚名返上とばかりに岩佐が2本の3Pを決め、東京は粘りを見せる。最後はファウルゲームに持ち込み、逆転を狙ったが、沖縄がフリースローをほぼ完璧に成功させ、逆にリードを広げていった。結局、スタートでつかんだ試合の主導権を一度も離すことのなかった沖縄が初の栄冠に輝き、有終の美を飾った。

◇3位決定戦
 浜松、多彩な攻撃で大阪を下す
大阪エヴェッサ 85−91 浜松・東三河フェニックス
【第1Q】14−26第2Q】20−19【第3Q】15−26【第4Q】36−20

 4連覇を逃し、初めて3位決定戦にまわった大阪は、まだ前日の敗戦を受け入れられていないのか、いつもの攻撃力が影を潜めてしまった。スタートからイージーなシュートミスが目立ち、チームの歯車が合わない。特に確実性のあるプレーに定評のあるFライアン・ブラックウェルがことごとくリングに嫌われた。1Q、大阪の得点はGナイル・マーリーの3P1本、Fリン・ワシントンの2P1本以外は、フリースローでの得点だった。一方、浜松は前日よりもいい動きを見せた。FCスタンリー・オシティなどの3P、そしてインサイドではC孫明明が“つまさきダンク”を決め、大阪に12点もの差をつける。

 大阪は2Qにはマーリーが13得点、3Qに入るとワシントンが10得点を叩き出す活躍を見せ、なんとか巻き返しを図ろうとする。だが、孤軍奮闘の大阪に対し、速いパス回しからシュートチャンスをつくり、多彩な攻撃を見せた浜松の勢いを止めることができず、逆に22点とその差を広げられてしまう。
(写真:今野のシュートをブロックするガーデナー)

 それでも4Qはようやくブラックウェルが息を吹き返し、マーリーとともに猛攻を見せたものの時すでに遅し。最後はフリースロー合戦となったが、浜松もG大口真洋、C太田敦也、G藤田弘輝の日本人選手が確実に入れ、大阪の追撃を許さなかった。

「選手よりも自分自身が昨日の敗戦から立ち直ることができず、選手たちに十分なエネルギーを送り込むことができなかった。今日の敗戦は100%、自分の責任」と大阪の天日謙作HC。初めての屈辱に指揮官からはため息しか聞こえなかった。

 なんとか3位を確保し、詰め掛けたブースターの期待に応えた浜松の中村和雄HCは、「大阪はF波多野和也とG仲村直人がいなかったので2−3のゾーンが成功した」と勝因を述べた。さらに昨晩は一睡もせずにコーチ陣と来シーズンの構想を練っていたという中村HCは、この試合で13得点をあげた孫に対して「7:3くらいの割合でカットを考えていたが、今日、昨日の活躍を見ると、(来シーズンも)残るかどうかは五分五分になった」と含みをもたせるコメントをした。果たして236センチの超長身センターを来シーズンもbjリーグのコートで見ることができるのか。オフの動向も気になるところだ。