6日から17日にかけて、日本代表は2010年南アフリカW杯アジア最終予選の3連戦に臨む。昨年9月からスタートした最終予選も10カ月の戦いを経て、クライマックスを迎える。6日にタシケントで行われるウズベキスタン戦で勝利すれば4大会連続のW杯出場が確定するが、日本がグループ首位で本大会に駒を進めるためには3連戦で全勝することが必要だ。
 現在、アジア最終予選A組で首位に立つのは勝ち点13でオーストラリア。日本は勝ち点11で2ポイント差の2位につけ、以下、バーレーンが勝ち点7、ウズベキスタンとカタールが勝ち点4で続く。A組の現況は“2強3弱”。グループ2位以上がW杯出場権を獲得するため、日本はウズベキスタン戦で勝ち点3を上積みすれば南アフリカへの切符を手にすることとなる。これは前回ドイツ大会と同じく世界最速での出場権獲得だ。

 前回のウズベキスタンとの戦いを振り返ってみよう。昨年10月に埼玉スタジアム2002で行われた試合では、前半27分、右サイドからのクロスをマクシム・シャツキフ(ディナモ・キエフ)にゴール前で合わせられ先制を許した。日本は前半終了間際、玉田圭司(名古屋)のゴールで追いつき同点で折り返す。日本は後半もペースを握りシュートを打ち続けたが、守りを固めたウズベキスタンを相手に追加点を奪うことはできず引き分け。互いに勝ち点1を分け合った。

 ウズベキスタンはここまで6戦し1勝4敗1分。グループ3位ならば大陸間プレーオフに進出する可能性が残されるため、6日のホーム戦では必勝を期してくる。前回の対戦で先制点を奪ったシャツキフは調子が上がらず代表から外れているが、カタール戦でハットトリックを達成したFWファルホド・タジエフ(パフタコール)、昨年度のアジア最優秀選手MFセルヴェル・ジェパロフ(ブニョドコロル)らがチームを支える。ホームゲームだけに10月の対戦のように、完全に引いてくることはないはずだ。

 相手が前に出てくれば日本の攻撃チャンスは広がる。6日に予想される布陣は4−2−3−1。玉田のワントップに攻撃的中盤が3枚。中盤の底には遠藤保仁(G大阪)、長谷部誠(ヴォルフスブルグ)が入り、守備陣はCBに中澤佑二(横浜FM)、田中マルクス闘莉王(浦和)、両SBに内田篤人(鹿島)、長友佑都(F東京)が構える。

 ウズベキスタン戦でのポイントは“攻撃的MFの3に誰を配置するか”だ。これまでの最終予選では左から松井大輔(サンテティエンヌ)、田中達也(浦和)、中村俊輔(セルティック)と並ぶパターンが多く、もしくは大久保嘉人(ヴォルフスブルグ)がトップ下や左サイドに位置してきた。しかし、今回は田中達が左太もも負傷のため代表招集されていない。松井はウズベキスタンからチームに合流しているものの、リーグ戦でも出場機会が減っており、コンディションに疑問符がつく。中村俊は先日行われたキリンカップベルギー戦でもまずまずの動きをみせているが、これまでの先発のうち2枚は入れ替わる公算が高い。

 中盤には直前のキリンカップでアピールに成功した選手が3名いる。2試合に先発し3ゴールを挙げた岡崎慎司(清水)。強烈な左足から得点機を演出した本田圭佑(VVVフェンロ)。そして、トップ下のポジションで攻撃陣を組み立てた中村憲剛(川崎F)だ。中盤の3つのポジションに彼らをどのように配置するかで、岡田監督が目指す攻撃の形が見えてくる。

 たとえば、左から本田、岡崎、中村俊と配置した場合。オランダ2部リーグで16得点を挙げ、リーグMVPにも輝いた本田の決定力を前面に押し出すことになる。2列目からの飛び出し岡崎の出番。気持ちを全面に出すプレーで泥臭くゴールを狙う。

 または、左から岡崎、中村憲、中村俊。真ん中に中村憲が入ることにより、中村俊、遠藤から供給されることが多かったパスの出し手が1つ増える。中村憲がタメを作ることによって、長谷部の攻撃参加の機会も増えるだろう。ただ、このケースではサイド攻撃に活路を見出しにくく、右には中村俊ではなく本田を、左には岡崎ではなく矢野貴章(新潟)を配置するのも面白い。両サイドにドリブルで突破できる選手を置くことで、攻撃に厚みが増す。玉田が右足首に故障を抱えているため、岡崎をワントップに据える可能性もある。

 岡田JAPANは以前からチームの完成度を高めるために固定メンバーで戦う傾向が強かった。キリンカップでは、対戦相手が万全の状態ではなかったとはいえ、様々な実験ができたことは収穫だ。田中達の負傷欠場がチームの新しい持ち味を引き出してくれることを期待したい。

 日本は10日にカタール戦(ホーム)、17日にオーストラリア戦(アウェー)を控えている。「本大会でベスト4」という目標を本気でクリアする心づもりがあるならば、1位で最終予選を通過しなければ話にならない。オーストラリアとの勝ち点差を考えても、3連勝することが岡田JAPANの目標最低ラインといえるだろう。

 岡田監督には、本大会で世界に通じるサッカーとはどういうものなのか、その形を残り3試合でサポーターに提示する義務がある。現在の岡田監督の中にある理想形を示し、本当に世界に通用するサッカーを披露することができるのか。それを披露してW杯出場を決めてもらいたい。

(大山暁生)