24日、第91回全国高校野球選手権大会決勝戦が阪神甲子園球場で行われ、春夏通じて県勢初の決勝に挑む日本文理を振り切った中京大中京が通算7回目の全国制覇を達成した。
◇決勝
 日本文理、県勢初の準優勝
日本文理(新潟)     9 = 011000115
中京大中京(愛知)   10 = 20000620×
【本塁打】(日)高橋隼
       (中)堂林
 初回、中京打線が日本文理の先発・伊藤直輝(3年)の立ち上がりを攻めた。先頭の山中渉伍(3年)がセンター前安打で出塁すると、次打者の送りバントで二塁へ。3番・河合完治はレフトフライに倒れるも、4番・堂林翔太(3年)が高めに浮いたスライダーをライトスタンドへ。エース自らの一発で中京が2点を先制した。一気にたたみ掛けたい中京は、2死ながら一、三塁とする。しかし、7番・柴田悠介(3年)がレフトフライに倒れ、追加点を奪うことができなかった。

 なんとか最少失点に抑えた日本文理は2回表、すぐさま反撃する。先頭の4番・吉田雅俊(3年)、5番・高橋義人(3年)の連続二塁打で1点を返した。そして続く3回表には2番・高橋隼之介(2年)が同点アーチを放ち、試合を振り出しに戻した。

 中京は3回表、1死満塁と絶好のチャンスをつかんだ。だが、日本文理のエース伊藤直が6番・伊藤隆比古(3年)、柴田を連続三振に打ち取った。さらに中京は5回表にも無死二、三塁としたが、5番・磯村嘉孝(2年)、伊藤隆が空振り三振、柴田は内野ゴロに倒れ、またもランナーを返すことができなかった。

 一方、4、5回と安定したピッチングを見せていた堂林だったが、6回表、安打と死球で無死一、二塁とした。ここで中京の大藤敏行監督は堂林を外野に下げ、森本隼平(2年)にスイッチした。森本はスコアリングポジションにランナーを抱えながらも、なんとかこの回を0点に抑える。

 2年生ピッチャーを援護したい中京は6回裏、打線が爆発する。2死満塁の場面で打席には先制の本塁打を放った堂林。堂林は内角寄りの変化球をうまく腕をたたんでレフトへ。打球はフェンスを直撃し、勝ち越しの2点タイムリーとなった。2死満塁からは日本文理の守備の乱れで1点を追加した中京は、さらに柴田が走者一掃のタイムリーで3点を挙げ、この回一挙6得点。これで完全に試合の主導権を握った。

 終盤、日本文理も粘りを見せた。7回表には無死から怒涛の3連打で1点を返すと、続く8回表には中京の守備の乱れを突いて、1点を追加した。しかし、中京も7回に2点を追加し、その差はなかなか縮まらなかった。

 結局、中京6点リードで最終回を迎えた。マウンドにはエース堂林が上がった。堂林は先頭打者を三振に切って取ると、続く打者をショートゴロに打ち取り、43年ぶりの優勝まであとアウト一つと迫った。だが、勝利の女神はそう簡単には微笑んではくれなかった。

 2死無走者から、日本文理が驚異的な粘りを見せた。1番・切手孝太(3年)が四球で出塁すると、暴投で二塁へ進む。ここでこの試合4打数3安打と当たっている高橋隼が左中間を破るタイムリーを放ち、1点を返した。さらに3番・武石光司(3年)にもタイムリーが出ると、吉田は死球で出塁した。

 エースで締めくくりたい中京だったが、大藤監督はここで再び森本をマウンドに上げた。その森本も制球が定まらず、四球を出し、満塁としてしまった。ここから6番・伊藤直、さらには新潟大会から通じて初の打席となる代打・石塚雅俊(3年)にもタイムリーが出て、とうとう5点差から1点差にまで詰め寄った。

 甲子園球場は異様な雰囲気に包まれた。スタンドが騒然とする中、続く若林が目の覚めるような鋭い打球を放つ。一瞬、抜けたと思われたが、打球はサード河合の真正面へ。河合のグラブへ勢いよく白球が収まった瞬間、中京の43年ぶり7度目の優勝が決定した。

 負けはしたものの、県勢初の決勝で存分に力を発揮した日本文理。最終回で見せた脅威の粘りは見事で、甲子園のスタンドからもあたたかい拍手が送られた。最後は苦戦したものの、「中京大中京」と改称後、初の全国制覇を成し遂げた中京。これで夏の優勝回数は7回となり、史上最多となった。

 指導者として初優勝を達成した大藤監督は喜びのコメントを次のように語った。
「最後は追い詰められましたが、子どもたちがよく我慢をしてくれた。初戦からずっと苦しい戦いが続いたが、ここまでよく頑張ってくれた。(河合)完治が打てなければ、堂林。堂林が打てなければ、磯村と、つないでつないでよく点を取ってくれた。(甲子園前には)堂林がケガをして満足に投げられない時期が2カ月ほどあったので、愛知県大会を通じて心配をしていたが、彼一人ではなく、みんなで野球ができたと思う」

 閉会式の最後には大会歌にあわせて、メダルを胸にした両校の選手たちが球場を一周。スタンドからのあたたかい拍手とともに、激戦の幕が閉じられた。


【Jリーグ】

 最下位・大分、3戦連続無得点で3連敗(九石ド)
 大分トリニータ 0−2 ヴィッセル神戸
【得点】
[神戸]大久保嘉人(33分)、吉田孝行(51分)