28日、日本サッカー協会(JFA)は9月5日(土)と9日(水)に行われるオランダで行なわれる国際親善試合に出場する日本代表22名を発表した。イタリア・セリエAで活躍中のFW森本貴幸(カターニャ)を初招集し、DFでは岩政大樹がおよそ1年半ぶりに復帰した。またオランダで開幕戦から4試合連続ゴール中の本田圭佑(VVVフェンロ)も選出され、中盤のレギュラー争いに加わる。岡田JAPANは31日に日本を出発し、合宿をしたのち5日に地元のオランダ代表と、9日にアフリカの強豪・ガーナ代表と対戦する。
 南アフリカW杯まであと9カ月あまり。本番に向けてチームを作り上げたい岡田武史監督にとって、08年1月の就任以来初となる世界一線級の相手への挑戦が始まる。欧州遠征の相手は、世界ランク3位のオランダと35位のガーナ。今回の遠征は世界トップレベルの相手に、自分たちの力がどこまで通じるのかを試す絶好の機会だ。南アフリカで上位進出を果たすためにも、勝ち負けだけでなく内容や日本の通用する部分としない部分をしっかりとチェックする必要がある。

 今回の選手メンバーを見ると、オランダでの試合ということもあり、欧州組の中村俊輔(エスパニョール)、稲本潤一(レンヌ)ら5名が選ばれている。その中でも注目すべきは、代表初選出の森本だ。これまでクラブでの試合を優先する旨の発言を繰り返し、代表には興味を示してこなかった森本。09−10シーズンでも開幕戦のサンプドリア戦でゴールをあげ、カターニャファンの心をがっちりと掴んでいる。岡田監督の戦術が全員に守備を求めるだけに、イタリアで純然たる点取り屋として振舞う森本がいかにフィットするか、ここがポイントとなる。この招集を機に、森本が代表でどのようなプレーを見せるか見てみたい。

 また守備偏重のスタイルにフィットするのかを問われると、本田のプレーぶりにも注視したい。オランダリーグで開幕戦から4戦連続でゴールを決めており、自身は絶好調だ。ただ、本田もこれまでの岡田JAPANの試合では定位置を確保していない。トップ下かサイドでの起用となるだろうが、守備に奔走し、攻撃の持ち味をそがれる本田の姿はあまり目にしたくない。森本、本田という個性豊かなタレントを、これまで築き上げてきたチームと、どのように融合させるのか。岡田監督の手腕が問われる9月の2連戦となりそうだ。

 新たな要素が加わり楽しみな攻撃陣と対照的なのは守備陣だ。特に楢崎正剛(名古屋)が左手を骨折し戦線を離脱しているGKは都築龍太(浦和)と川島永嗣(川崎F)の2人のみが選出された。これまでの最終予選でも大半の試合は楢崎がゴールを守ってきただけに不安がないといえば嘘になる。だが、楢崎の負傷は都築、川島にとって大きなチャンス。相手はオランダ、ガーナという強豪国だけに、零封するようなことがあれば評価は一気に上がることになる。これまで控えとしてチームを支えてきただけに、このチャンスをモノにし南アフリカへの道をこじ開けたい。

 田中マルクス闘莉王(浦和)が不振のDFラインには、2008年の東アジア選手権以来となる岩政が復帰を果たした。鹿島の最終ラインを統率する岩政は1対1にも強いタイプだ。対戦する2カ国ともに身体能力が非常に高いチームだからこそ、岩政の当たりに強い守備は大きな武器となる。中澤佑二(横浜FM)、闘莉王に続くセンターバックがなかなか現れなかっただけに、岩政にかかる期待は大きいものがある。

 敵地に赴いて行われる貴重なアウェー2連戦。岡田監督は現段階で最強と考えるメンバーを選んだに違いない。この2戦で南アフリカへのチームがどこまで出来上がっているのかが判明する。9カ月後に大きな成果をあげるためにも、大切な欧州遠征でしっかりとした手応えを掴んで帰ってきたい。

<日本代表メンバー22人>

GK
都築龍太(浦和レッズ)
川島永嗣(川崎フロンターレ)
DF
中澤佑二(横浜F・マリノス)
田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)
駒野友一(ジュビロ磐田)
阿部勇樹(浦和レッズ)
岩政大樹(鹿島アントラーズ)
今野泰幸(FC東京)
長友佑都(FC東京)
内田篤人(鹿島アントラーズ)
MF
中村俊輔(セルティック)
橋本英郎(ガンバ大阪)
稲本潤一(レンヌ)
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
長谷部誠(ヴォルフスブルグ)
本田圭佑(VVVフェンロ)
FW
玉田圭司(名古屋グランパス)
大久保嘉人(ヴォルフスブルグ)
岡崎慎司(清水エスパルス)
興梠慎三(鹿島アントラーズ)
森本貴幸(カターニャ)

<国際親善試合>
◇9月5日(土)
オランダ代表 × 日本代表
FCトゥヴェンテスタディオン(オランダ・エンスヘーデ)

◇9月9日(水)
日本代表 × ガーナ代表
ハルヘンバールトスタディオン(オランダ・ユトレヒト)