31日(現地時間)、テニスの全米オープンがニューヨークのビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターで開幕する。4大大会としてはシーズンのラストを飾るこの大会、注目はやはりロジャー・フェデラー(スイス)だろう。直前の大会ではアンディ・マレー(英国)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)といった、フェデラーを追随する若手にストレート勝ちを収めて優勝している。心身ともに万全の体勢で臨むフェデラーが今大会の覇者になる可能性は非常に高い。そうなれば、ビル・チルデン(米国)以来、実に48年ぶりとなる大会6連覇を達成することになる。また、女子では全豪、ウィンブルドンを制し、絶好調のセリーナ・ウィリアムズ(米国)が連覇を目指す。
 今年6月、日本人選手初のワイルドカードを得て13年ぶりにウィンブルドンのコートに復帰したクルム伊達公子。全米オープンでも彼女の姿が見られることを期待していた日本のテニスファンも少なくなかっただろう。しかし、残念ながら伊達は予選2回戦でウィンブルドン同様、足に痙攣を起こし、姿を消した。

 痙攣というアクシデントが大きな要因となったとはいえ、伊達に競り勝ったのが“瀬間姉妹”の姉、瀬間友里加だ。3回戦ではアンナ・タチシビリ(グルジア)に逆転勝ちを収め、初の4大大会の出場権を手にした。1カ月間の欧州遠征が瀬間をひと回りもふた周りも成長させ、それが最高のかたちで表れたようだ。

 本戦1回戦の相手は、WTA世界ランキング68位のアナ・チャクエタゼ。2年前の全米ではベスト4に進出するなど、ロシアの若手有望選手の一人だ。WTA世界ランキング170位の瀬間にとっては高いハードルだが、予選で見せた粘り強さを遺憾なく発揮すればチャンスはある。特に初戦はどの選手も緊張し、なかなか実力を出せずに苦戦するものだ。だからこそ、予選上がりの選手の勢いは武器となる得る。ぜひ、“ユリカ・セマ”の名を世界にアピールしてもらいたい。

 そのほか女子は4大大会出場記録更新中の杉山愛が、今年の全豪でベスト4のサマンサ・ストザー(豪州)と、4大大会初勝利を目指す森田あゆみは今年の全仏ベスト8のソラナ・シルステア(ルーマニア)と初戦で対戦する。

 杉山を除けば、4大大会における日本人選手は昨年1月の全豪オープンの森上亜希子を最後に、初戦敗退が続いている。それだけに森田、瀬間の白星は個人的な快挙にとどまらず、日本女子テニス界にとっても大きな一歩となるはずだ。

 大会初日には早速、ディフェンディングチャンピオンのフェデラーとセリーナ、さらには杉山愛、瀬間が登場する。今年の全米オープンも初日から見どころ満載である。