30日、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第2戦が行われ、Jクラブ対決となった名古屋グランパスと川崎フロンターレとの一戦はホームの名古屋が3−1で勝利し、2戦合計4−3で準決勝進出を決めた。名古屋はアルイティハド(サウジアラビア)−パフタコール(ウズベキスタン)の勝者と10月21日、28日に準決勝を戦う。

 ケネディ、ベスト4決定弾!(瑞穂陸)
名古屋グランパス 3−1 川崎フロンターレ
【得点】
[名古屋]小川佳純(26分)、吉田麻也(34分)、ケネディ(87分)
[川崎F]鄭大世(37分)
 1週間前の第1戦は川崎が2−1で勝利。この結果、川崎は勝つか引き分けで準決勝進出が決まる。一方の名古屋が無条件で勝ち抜くためには、2点差以上の勝利が求められた。名古屋が1点差勝利の場合は、アウェーゴールの勝負となり、初戦に敵地で1点をあげている名古屋は1−0ならベスト4進出、3−2以上なら川崎が進出、2−1なら延長戦に突入する条件の下、試合はキックオフした。

 立ち上がりに主導権をつかんだのは川崎。前半10分には、サイド攻撃からDF森勇介が鋭いシュートを放つが、これはGKががっちりキャッチ。先制ゴールを奪うことができない。

 対するホームの名古屋は徐々にペースを取り戻し、玉田圭司、ケネディの2トップを軸に分厚い攻撃をしかける。何度もセットプレーのチャンスを迎えたものの、川崎の守りも固く、こちらもゴールをこじ開けられない。

 均衡が破れたのは26分。ハーフライン付近でボールを持った名古屋MF小川佳純がドリブルで右サイド中盤を突破する。そのままペナルティエリア付近まで進むと、川崎ディフェンス陣の寄せの甘さを逃さず、右足を振り抜いた。無回転のミドルシュートは、そのままゴール右隅へ。鮮やかな得点で名古屋が先制する。

 対する川崎は直後にFWジュニーニョの右クロスに谷口博之が頭で合わせようとしたがヒットしない。第1戦では谷口のヘッドからジュニーニョのゴールにつながったが、その再現はならなかった。

 すると34分、名古屋は右サイドでFKを得る。キッカーはMF三都主アレサンドロ。川崎DFの背後にボールを放り込むと、DF吉田麻也がゴールに背を向けながら頭を合わせる。背中に当たったボールは川崎GK川島永嗣が懸命に手を伸ばしたものの、ゴールマウスに吸い込まれた。これで2−0。待望の追加点で名古屋に逆転でのベスト4進出が見えてきた。

 だが、川崎も簡単には引き下がらない。名古屋の歓喜の瞬間からわずか3分後、MFレナチーニョが相手の守りを中央から切り裂く。ゴール前に素早く縦パスを供給すると、FW鄭大世は右足を振り抜きシュート。ワンチャンスをものにして川崎が1点を返す。2戦合計の得点は3−3となり、まったく勝負の行方はわからなくなった。

 後半も試合の主導権はリードしている名古屋が握った。後半6分には右クロスからケネディがヘッドで合わせ、12分にはクリアボールを拾ったMF中村直志がシュートを放つが、いずれも得点には至らない。19分にもMFマギヌンから前線のケネディへボールが渡ったが、オーストラリア代表FWの左足は日本代表GKの左手に阻まれた。時間が経つにつれ、重苦しい雰囲気に包まれ始めたスタジアム。延長戦も予想される展開になってきた。

 そんな膠着状態を振り払ったのが、第1戦でもゴールを決めたオーストラリアの助っ人だ。後半42分、左サイドからのクロスに、まずマギヌンがシュート。こぼれたところに待ち構えていたのがケネディだった。「その時、その瞬間、そこにいただけ。マギヌンがハードワークをしてくれたおかげ」。謙遜しつつも、目の前にころがった獲物を冷静に仕留め、名古屋にベスト4行きの切符をもたらせた。

 名古屋は公式戦で10試合連続未勝利の天敵をここ1番で破ってのベスト4。「この日をずっと待ち焦がれていた。川崎には勝たなくてはいけなかった。相手よりいいサッカーをしてくれた」。勝ったドラガン・ストイコビッチ監督は選手たちを称えた。Jクラブ同士でのつぶし合いの結果、日本勢で生き残ったのは名古屋だけになった。「ここで止まりたくない。次の敵を倒して上に行くのが目標」。JクラブのACL3連覇に向け、早くも指揮官は次なる戦いを見据えていた。