プロ野球のレギュラーシーズンが終了し、明日16日からはパ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージがスタートする。第2ステージ進出をかけて対戦するのは大ベテランの知将・野村克也監督率いる2位・東北楽天と、監督就任1年目の秋山幸二監督率いる3位・福岡ソフトバンクだ。レギュラーシーズンでは楽天13勝11敗と、ほぼ互角に渡り合った両チーム。北海道日本ハムが待つ第2ステージにたどり着くのはどちらか。
 何といっても勢いがあるのは、球団設立5年目にしてCS進出を果たした楽天だ。レギュラーシーズン終盤では3、4位争いから抜け出し、一気に2位へ浮上。第1ステージのホーム開催権までも獲得した。その原動力となったのが、岩隈久志、田中将大、永井怜の先発三本柱。CSでもこの3投手の出来がカギを握りそうだ。

 今季のソフトバンクとの対戦成績を見ると、大黒柱の岩隈は2勝1敗、チーム最多の15勝を挙げた田中は2勝0敗1セーブ、永井は最も相性がよく5勝1敗といずれも勝ち越している。しかし、初戦で先発が予想される岩隈は前回対戦した9月29日には5失点を喫するなど5試合に投げて防御率は3.44。特に田上秀則には13打数6安打2本塁打、明石健志には5打数5安打と打たれている。下位打線の彼らを勢いに乗せてしまえば、もともと得点力のある打線が一気に火を噴く恐れもある。それだけに、岩隈にとっては彼らが勝負のポイントの一つとなりそうだ。

 打線は勝負強いリンデンが抜け、少々破壊力の面では落ちるものの、主軸には首位打者を獲得した鉄平や一発のある山崎武司、粘り強さのある草野大輔と手強い打者が並ぶ。ここに渡辺真人ら上位打線が絡んでくれば、得点のチャンスが広がりそうだ。

 懸念材料をあげるとすれば、CS前に勃発した監督退任、リンデンの監督批判問題の影響だ。しかし、それもどうやら直前に選手たちが開いた決起集会でひとまずは落ち着いた感がある。逆にそれらが起爆剤となれば、勢いがますます高まりそうだ。

 一方のソフトバンクは松中信彦が右ヒザの故障で欠場を余儀なくされ、主砲を欠いての戦いに不安の声も上がっている。だが、心強いのはベテラン小久保裕紀の存在だ。岩隈には3割7分5厘、田中には3割6分4厘、永井には4割5分と楽天の三本柱に好成績を残している。短期決戦の経験も豊富なだけに、小久保の奮起に期待したいところだ。また、多村仁志も楽天との対戦打率4割5厘と得意にしているだけに、主軸のバットがチームを勢いづけそうだ。

 ソフトバンクの先発は杉内俊哉、ホールトン、和田毅が濃厚だ。岩隈とのエース対決が予想される杉内はパ・リーグの奪三振王。しかし、今季の楽天戦は1勝1敗、防御率4.22と相性は決してよくない。とはいえ、エースの名にかけて絶対に落とすことはできない。なぜなら、ホームの楽天に初戦をもっていかれれば、ますます勢いが出るのは必至だ。さらに過去5度のうち4度までもが初戦を取ったチームが第2ステージへとコマを進めているのだ。

 果たして楽天が勢いのままに突き進むのか、それとも “5度目の正直”を狙うソフトバンクが意地を見せるのか。明日、クリネックススタジアム宮城で戦いの火蓋が切って落とされる。