10日、サッカー日本代表と南アフリカ代表の親善試合が南アフリカ・ポートエリザベスで行われた。前半から日本がボールを支配するものの、決定機を作りだすことはできず無得点で折り返す。後半14分にはベンチスタートだった中村俊輔(エスパニョール)がピッチに送りこまれるが、なかなか決定機を作り出すことはできない。合計で5枚の選手交代カードを使ったものの最後までゴールが生まれることはなく、貴重な本大会の地での親善試合はスコアレスドローに終わった。

 ポゼッションで上回るも無得点(ネルソン・マンデラ・ベイ)
南アフリカ代表 0−0 日本代表
 来年6月からW杯本大会が行われる地での貴重な親善試合はスタジアムに地元ファンが多く駆けつけ、完全アウェーの一戦となった。先発には本田圭佑(VVVフェンロ)や大久保嘉人(神戸)が名を連ね、強行日程で南アフリカに入った中村俊はベンチスタートとなった。

 試合は前半から日本がボールをキープし流れを掴む。中盤で遠藤保仁(G大阪)、本田が試合を組み立て、細かいパスをつなぎながら全体を押し上げる。中村俊、中村憲剛(川崎F)が不在の中、遠藤が普段よりも前目にポジションを置き、下がり目に位置した稲本潤一(レンヌ)がチーム全体のバランスをとっていく。

 前半10分には長谷部誠(ヴォルフスブルグ)がミドルシュートを、15分には左サイドから突破した岡崎慎司(清水)が左足でシュートを放つが、惜しくもゴールを奪うことはできない。

 対する南アフリカはFWベニ・マッカーシー(ブラックバーン)に縦パスを送りながら日本ゴールに向かう。最終ラインでは田中マルクス闘莉王(浦和)が体を張り、マッカーシーを厳しくマークする。その甲斐あって、危険なストライカーに自由な働きは許さず守備陣は大きな破綻をすることなく、45分を終える。

 立ち上がりこそ、パスを繋ぎながら相手ゴールに迫った攻撃陣だが、前半20分過ぎからはラストパスの精度が低くチャンスを生み出せず。両サイドバックが敵陣深くまで上がってくるものの、クロスボールが上がらずゴール前のFWにボールが渡らない。ボールを保持しながらも攻め手を欠き、スコアレスで前半を終了した。

 後半もボールを保持するものの、相手に脅威を与えるまでには至らない。岡田武史監督はこう着状態を打破すべく、14分に中村俊と松井大輔(グルノーブル)を投入した。中村俊が入ったことで遠藤が低めのポジションに下がり、交代以前よりもスムーズなパス回しが可能となった。だがそれでも前線へ効果的なパスを供給することはできず、時計の針は進んでいく。

 35分には岡崎が難しい態勢からミドルシュートを放つものの、GKの好セーブでゴールならず。途中出場の松井もヘディングでゴールに迫ったがゴールに押し込むことはできず、無得点のまま試合は終了。南アフリカ遠征は0−0のスコアレスドローに終わった。

 日本がW杯本大会で対戦する可能性のある国の中で、南アフリカは間違いなく実力の低い部類に入る。その相手にスコアレスドローという結果はもの足りない。特に攻撃面では決定機と呼べるシーンが一度もなかった。ここ数試合のゴールラッシュに沸いた日本だったが、本大会出場国との試合ではこのレベルの戦いというのが現状だ。このスコアレスドローを岡田監督以下チームスタッフがどう判断し、いかにして今後につなげていくか。この作業が本番へ向けて非常に重要なものとなるだろう。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
駒野友一
→今野泰幸(78分)
内田篤人
→徳永悠平(71分)
MF
稲本潤一
→松井大輔(59分)
長谷部誠
遠藤保仁
本田圭佑
→中村俊輔(59分)
FW
大久保嘉人
→興梠慎三(71分)
岡崎慎司