18日、AFCアジアカップ2011予選Aグループ第4戦が香港スタジアムで行なわれ、日本代表は香港代表と対戦した。前半からなかなか流れに乗れない日本だったが、徐々にペースを取り戻し32分に長谷部誠(ヴォルフスブルク)のミドルシュートで先制点を挙げる。後半には佐藤寿人(広島)、中村俊輔(エスパニョール)らのゴールで追加点をあげ4−0で勝利した。勝ち点3を加えた日本はアジアカップ予選Aグループで3勝1敗とし首位の座を守っている。

 年内最終戦を勝利で飾る(香港ス)
香港代表 0−4 日本代表
【得点】
[日] 長谷部誠(32分)、佐藤寿人(74分)、中村俊輔(84分)、岡崎慎司(89分)
 14日の南アフリカでの親善試合に続き、敵地での試合となった香港戦。結果的に日本は4点を奪い快勝したものの、試合内容は手離しで褒められるものではなかった。

 前半開始から先制点のシーンまではほぼ互角の内容だった。先月行なわれた試合では6点を取られ大敗を喫した香港が地元の声援をバックに出足の鋭い守備や攻撃をみせた。前半10分過ぎにはコーナーキックから度々日本ゴールを脅かし、ゴールを奪う勢いが感じられた。

 一方の日本は、南アフリカ戦では先発出場していなかった中村俊輔(エスパニョール)、松井大輔(グルノーブル)が試合開始からピッチに立った。しかし、序盤は香港の積極的な守備に対し、後方でボール回しに終始するシーンが目立った。サイドから突破を試みるもののクロスの精度は低く、ゴール前でなかなかチャンスを作ることができない。

 先日の南アフリカ戦でも目立ったのがサイド攻撃の脆弱さだ。サイドバックが上がるシーンがあっても、クロスがなかなか入らない。そして、時間をかけてクロスが上がっても精度が低くチャンスに結びつくことができない。サイドバックが上がる場面で周りのサポートが遅く、相手DFを一人かわしてクロスをあげても効果的なものになっていない。そうなれば攻撃は中央に偏り、結局はDFの網にかかるのが関の山だ。

 日本に先制点が入った場面もサイドから崩しにかかっているものの、クロスを上げることができず、中央へ細かいパスをつなぎ最後は長谷部がミドルでゴールに叩き込んだ。W杯本大会では、中央で細かいパスが繋がる可能性は限りなく低い上、長谷部のポジションでノーマークになる選手が出ることは考えられない。前線の岡崎慎司(清水)、大久保嘉人(神戸)はフィジカルの強いタイプではないだけに、サイド攻撃から素早い攻撃を組みたてることで活路を見出さなければ、今後は苦しい。

 後半は日本が3得点を挙げた。流れの中でゴールを決めたのは2点目。29分に途中出場の佐藤寿がヘディングシュートを決めた。この攻撃はカウンターからサイドへ開いた内田篤人(鹿島)が右サイドを駆け上がりシュートを放つ。ボールは惜しくもバーを叩いたが、この日一番の迫力のある攻撃といえるだろう。そのこぼれ球を中村俊が拾い、左サイドから遠藤保仁(G大阪)がクロスを上げ佐藤がヘディングで押し込んだ。

 後半は香港が攻めることができず防戦一方になったため、日本はゴール前で守りを固める相手を攻めあぐんでいた。そんな中でのカウンター攻撃は、香港DF陣に対し非常に効果的なものとなった。

 試合終了間際には右サイドからのフリーキックを中村俊が直接決めて3−0。ロスタイムにはペナルティエリア内で倒された岡崎が自ら得たPKをゴールに突き刺し4点目を決めた。岡崎はこのゴールで09年の代表戦ゴールを15とし、FW争いでは完全にレギュラーの座を掴んだといえる。

 9月から毎月国際Aマッチを行ってきた日本代表。9月のオランダ遠征こそチームの課題を浮き彫りにしたが、今日の試合も含め10月・11月のシリーズでは相手のコンディションの悪さや実力不足のため、評価の難しい戦いに終始した。

 来年6月に開幕するW杯南アフリカ大会の前に設定されているインターナショナルマッチデーは3月3日のみ。この日こそは本当の日本代表の実力が測れる試合を設定する必要がある。これまでマッチメイクの失敗を繰り返しているだけに、W杯で上位進出が見込まれる相手との試合を強く希望したい。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
駒野友一
→徳永悠平(84分)
内田篤人
MF
遠藤保仁
→阿部勇樹(86分)
長谷部誠
中村俊輔
松井大輔
FW
大久保嘉人
→佐藤寿人(59分)
岡崎慎司