いよいよ2日後に迫ったバンクーバー冬季五輪。今大会は最多7競技86種目が行なわれる。また、参加する国・地域数も前回トリノ大会より2カ国増の82となり、冬のオリンピック史上最多となりそうだ。日本選手は今月に入って続々と現地入りし、本番の会場などで最終調整を行なっている。7日には橋本聖子団長率いる日本選手団本隊もバンクーバーに到着。「目標は長野大会のメダル10個」とこちらも気合い十分だ。
 今回は主な競技のみどころを紹介したい。
 浅田、トリプルアクセルが金メダルのカギを握る! 〜フィギュアスケート〜

 今大会、アイスホッケーを除く6競技に参加する日本。その中で国民が最もメダル獲得を期待しているのが女子フィギュアスケートの浅田真央(中京大)だ。今シーズンは不調に陥り、グランプリファイナルにも進出することができなかった。しかし、五輪出場権がかかった日本選手権で見事復活。1月に行なわれた四大陸フィギュアスケート選手権でもショートプログラム(SP)3位からの逆転優勝で本番に弾みをつけた。
浅田の武器は今大会出場選手で彼女しかできないトリプルアクセル。これをバンクーバーではSP、フリーともにプログラムに入れることも示唆しており、この大技が表彰台へと導くカギとなりそうだ。
他にもともに2大会連続出場の高橋大輔(関西学院大)、安藤美姫(トヨタ自動車)など、表彰台を狙える実力者が揃っている。全選手が好調を維持しているだけに、史上初の複数メダルへの期待は膨らむばかりだ。

 お家芸復活! 男子500メートル長島に金メダルへの期待 〜スピードスケート〜

 スピードスケートの長島圭一郎(日本電産サンキョー)も本番を前にして順調な仕上がり具合を見せている。上下動のブレがなく、低い姿勢をキープしたままのフォームは今や世界一美しいとさえ言われ、長島の最大の武器となっている。昨年11月のW杯では、2本ともに好タイムをマーク。五輪方式である2本の合計タイムでは、強豪の韓国勢を抑えて長島がトップだった。さらに本番と同じリンクで行なわれた8日の記録界では日本勢最高の3位と好調をキープしている長島。1984年サラエボ大会以来、6大会連続メダルの記録を途絶えさせた4年前の屈辱を果たし、98年長野大会の清水宏保以来の金メダルを狙う。

 上村、悲願の五輪表彰台を狙う! 〜フリースキー・モーグル〜

 長野、ソルトレークシティー、トリノに続いて、4大会連続出場を決めた上村愛子(北野建設)に注目が集まっている。07−08年シーズンは初のW杯総合優勝、昨季は世界選手権2冠をとるなど、上村はこの4年間で着実に力をつけてきた。今や名実ともに日本のエースである。今季はW杯で未勝利に終わったが、表彰台に2度上がるなど、世界のトッププレーヤーとして誰もが認める存在だ。7位(長野)、6位(ソルトレークシティー)、5位(トリノ)と3大会連続で入賞の上村。目指すはオリンピックでの表彰台しかない。

 初戦の米国戦がカギを握る! 〜カーリング〜

「クリスタルジャパン」という名称で人気を博しているのがカーリング代表のチーム青森だ。1998年長野大会で正式種目となり、トリノ五輪での躍進によって今や高い注目を浴びている。加えて、今回は斎藤寛之日本カーリング協会会長が「最強のチーム」と絶賛するほど、世界の強豪と戦う力を要している。
 世界選手権の成績によってつけられた五輪ランキングでは、出場10チーム中最下位。昨年同選手権を逃したことが大きく響いた。しかし、実績は十分にある。今大会の前哨戦となった1月の欧州遠征では8戦中6戦で決勝トーナメントに進出。準優勝1回、8強
1回と好成績を挙げており、今大会も表彰台は決して夢ではない。
 カギとなるのは序盤戦だ。後手にまわり、後半戦で善戦したものの決勝トーナメントに進出できなかった4年前を見ても、やはり序盤で勢いをつけたいところ。開幕戦は1月の欧州遠征で1勝1敗と互角に渡り合った米国だ。第2戦、第3戦は2007、08年と世界選手権を連覇し、地元の声援を受けるカナダ、さらには09年覇者の中国と続くだけに、米国戦は必ずとりたいところ。後の試合を占う意味でも初戦は見逃せない。