当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組『勝負の瞬間(とき)』が2月28日(日)、21:00より放送されます。この番組では毎回、各スポーツから一流たちをお招きし、トップを極めたテクニックと、その思考法に迫ります。これまでのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。今回は先日引退を表明した長野五輪スピードスケート男子500メートル金メダリスト清水宏保さんをお招きします。
(写真:鍛え上げた左右の筋肉を別々に動かす姿に驚愕!)
 当サイトでは番組に先駆けて、清水さんとのインタビューの一部を紹介します。

二宮: 今回、残念ながらバンクーバー五輪には出られなかったんですけど、4大会連続で出られていて、オリンピックのない冬というのは自分の気持ち的にはどうですか?
清水: (代表に)選ばれなかったことに対しては、悔しさはなくはないですが、割とスッキリしているんですよね。実際、僕がこのままオリンピックに行ったとしても、本当に参加するだけになってしまう。勝負できるかって言ったら、実力的にはできない。そこは若手が育ったことに対する喜びであったりとか、若手が行ったほうが勝負できるという状況を認めざるを得ない。客観的に見て、行くべきではないという気持ちがありますね。

二宮: どんなトップアスリートでも、等しく齢を重ねて、ひらたく言えば老いていく。そのところで、自分はまだまだこんなもんじゃない、もっと工夫すれば、まだまだ一線でいけると、葛藤もあったんじゃないかと思うんです。すんなり齢を取っていることを受け入れられるわけでもないと思いますが、その辺はいかがですか?
清水: そういう部分もありましたね。まだこんなもんじゃないっていう自分もいましたけど、トレーニングをしている中で、若い頃だったらある程度のレベルまで追い込めたり、出し切ることができていたのに、その頻度が少なくなって、内容の濃さがなくなっていった。「あれ、もうちょっと動かせる余力が残ってるな」って分かる。「これがたぶん老いているってことなのかな」って薄々感じてはいましたね。

二宮: まだやり残した事があるとか、まだ極めたいものがあるといった気持ちはありますか?
清水: 世界記録は、今34秒03で外国勢の選手が持っているんですが、やっぱり33秒台は出したかったなっていう気持ちはありますね。33秒台の大台は狙っていたんですが、出せなかったという悔しさ、心残りはあります。やはり、タイムというかう記録に対する欲求はありますよね。

二宮: 33秒台の体感って、どんなものなんでしょうね。
清水: それを味わいたかったですね、本当に。
>>この続きは番組をお楽しみ下さい。

 100分の1秒で明暗が分かれるスピードスケート。そのわずかな差を埋めるべく、選手たちはその感覚を最大限に研ぎ澄ませます。「氷は生きている」「スターターのピストルを動かす指の音まで感じ取る」「いい時には足先、指先から微弱電流が走っている」……極めた人間にしかわからない領域には、驚きの連続です。

 身長162センチ、喘息の持病持ちと、スプリント系種目には大きなハンデを背負っていた清水さんは壮絶なトレーニングでトップアスリートにのぼりつめました。「筋肉は植物を育てるのと同じ」と、丹精込めて鍛えた肉体は筋肉のせいで内臓がプレスされてしまうほど。さらには「スケートの姿勢では腸や内臓が邪魔くさい」と、腸を上に上げる作業も試みていました。また「試合前にリラックス状態を作り出すために、指先の末端の神経から緩めていく」といった究極の身体コントロール術も明かされます。

「すごい、すごいです」
 限界を超えた人間の言葉の数々に、多くのアスリートを取材してきた二宮も驚嘆の声をあげるしかありませんでした。シリーズ最高傑作とも言える今回のロングインタビュー。本当に必見です。

 この『勝負の瞬間』は月1回ペースでお届けしています。3月には同じく五輪で金メダルを獲得した柔道家をお招きする予定です。どうぞお楽しみに!

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