ラグビー日本選手権決勝が28日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、三洋電機ワイルドナイツがトヨタ自動車ヴェルブリッツを22−17で破り、3シーズン連続3回目の優勝を収めた。3連覇達成は新日鉄釜石(78〜84年)、神戸製鋼(88〜94年)、東芝(96〜98年)に続き、史上4チーム目。トヨタ自動車は23年ぶりの優勝を逃した。
 泥まみれの激闘だった。試合前に降り続いた雨の影響で、ぬかるむグラウンドの中、両チームは決勝にふさわしい試合を繰り広げた。

 先制したのはトヨタ自動車。準決勝でトップリーグ覇者の東芝ブレイブルーパスを撃破した勢いそのままに、立ち上がりでペースをつかむ。9分に敵陣内のラインアウトからモールで押し込み、FLホップグッドが相手DFを引きずりながらトライ。14分にはインターセプトに成功し、TB水野弘貴が敵陣内へ駆け込んだが、縦に大きく蹴りだしたボールをインゴールエリアで抑えきれず、追加点の絶好機を逃す。それでも18分には左サイドで三洋守備陣を振り切り、ホップグッドがこの日、2本目のトライ。コンバージョンも決まって、12−0とトヨタ自動車がリードを広げて、試合を折り返した。

「いつも後半で三洋は戦略を変えてくる。惑わされないように、自分たちのやることをしっかりやろう」
 ハーフタイムにそう語っていたトヨタ自動車・石井龍司監督だったが、後半に入って攻勢をしかける三洋に対し、守備の反則が目立つようになる。3分には相手にペナルティーキックを与え、3点を返された。さらに15分過ぎには、前半に2トライをあげているホップグッドがシンビン(10分間の退場)となり、流れが一気に変わる。

 数的優位に立った三洋は左サイドのラインアウトからモールで突進し、途中出場のFW堀江翔太が抜け出してトライ。コンバージョンで2点を加えて10−12と試合の行方は全く分からなくなる。さらに22分にはターンオーバーされたボールをHBトニー・ブラウンが奪い返し、右サイドへ展開。WTB北川智規がタッチライン沿いを独走し、飛び込んだ。この逆転トライで波に乗った三洋は34分にもモールでそのまま押し切って、得点を追加。22−12とほぼ勝負を決定づけた。

 粘るトヨタ自動車も39分にFBイェーツが相手のタックルに倒れこみながらトライをあげたが、時すでに遅し。三洋が3年連続でトップリーグプレーオフ決勝に敗れながら、日本選手権でその雪辱を果たすパターンで日本一に輝いた。飯島均監督は「日本のラグビーのレベルが上がって、どの試合も勝つのは厳しかった」とシーズンを振り返り、「選手を誇りに思うし、讃えたい」と喜びをかみしめていた。