4月3日(土)
◇決勝
 エース島袋、198球の力投で完投
興南(沖縄)    10 = 000014000005
日大三(東京)    5 = 021002000000 (延長12回)
【本塁打】(日)平岩、大塚
 勝てば1971年以来、39年ぶり2度目の全国制覇となる日大三と、初の決勝進出で初優勝を狙う興南との試合は、決勝戦らしい激しい攻防戦が展開された。
 昨秋の公式戦、防御率0.00をマークし今大会屈指の左腕として注目された興南の島袋洋奨(3年)。甲子園でも準決勝まで安定したピッチングを見せていた。しかし、独特な決勝戦の雰囲気にリズムを崩したのか、序盤は制球が定まらず苦しいピッチングとなった。それに連鎖反応するかのようにバックにもミスが相次いだ。

 2回表、先頭打者を四球で出すと、次打者の送りバントを興南の三塁手が一塁へ悪送球。さらに四球で無死満塁のピンチをつくった。しかし、ここで島袋が本領を発揮。伸びのあるストレートで2者連続で内野フライに打ち取った。ところが、ここで思わぬミスが出る。島袋が一塁へ牽制すると、ランナーと重なった一塁手がボールを見失ってしまう。この間に2走者が返り、日大三がノーヒットで2点を先制した。
 さらに3回裏には3番・平岩拓路(3年)に一発が出て、日大三が3点をリードした。

 しかし、中盤に入ると日大三エースの山崎福也(3年)を興南打線がとらえ始めた。5回表に1点を返した興南は、6回表には見事な集中打を見せた。先頭打者の3番・我如古盛次(3年)がヒットで出塁すると、すかさず盗塁を決め、二塁へ進む。中軸が倒れて2死となるも下位打線が奮起した。まずは6番・山川大輔(3年)のタイムリーで1点を返すと、続く7番・伊礼伸也(3年)は死球で出塁し、一、二塁とした。打席には力投を続ける島袋。果たしてエース同士の対戦は、島袋に軍配が上がった。アウトコースのストレートをジャストミートし、センターへ運ぶ。これが走者一掃となる勝ち越し2点タイムリーとなった。さらに9番・大城滉二がセンターへヒットを放つと、二塁から島袋が一気にホームを狙う。センターからの返球はタイミング的にはアウトだったが、島袋はタッチにきたキャッチャーをうまくかわし、5点目のホームを踏んだ。

 しかし、日大三も負けてはいない。その裏、正捕手ながらケガでマスクをかぶれず、途中からファーストとして出場した大塚和貴(3年)が高めに甘く入ったストレートをライトスタンドへ運んだ。キャプテンの意地の一発で1点差とした日大三は、この回スクイズで1点を追加し、試合を振り出しに戻した。
 8回以降は両エースが互いにヒットを許さない好投を見せ、試合は決勝では21年ぶりとなる延長戦となった。

 11回裏、無死から大塚が四球で出塁する。なんとかランナーをスコアリングポジションに進めようと、鈴木、1番・小林亮治(3年)が送りバントを試みるも、島袋が見事なフィールディングで二塁へ送球し、進塁を阻止した。そして最後は2番・荻原辰朗(3年)に対し、全球直球勝負で空振り三振にしとめた。

 すると12回表、日大三に痛恨のミスが出た。1死から4番・真栄平大輝(3年)の当たりは平凡なファーストゴロに。ところがベースカバーに入った山崎が落球してしまう。ここで日大三は山崎から2番手・吉沢翔吾(3年)にスイッチした。その吉沢が2者連続の四球で満塁のピンチを招いた。
 続く安慶名舜(3年)の当たりはボテボテのサードゴロに。しかし、これを三塁手がホームへ悪送球。2走者が返り、興南が待望の勝ち越し点をあげた。さらに島袋、大城とこの試合当たっている下位打線にもタイムリーが出て、興南がその差を5点に広げた。

 その裏、日大三は1死から4番・横尾俊健(2年)が二塁打を放ち、粘りを見せた。しかし、島袋は山崎をショートゴロに打ち取ると、最後は吉沢を198球目、伸びのあるストレートでレフトフライに仕留め、同校初の全国制覇を果たした。