10日、バレーボールV・プレミアリーグ女子ファイナルが東京体育館で行われ、東レアローズがJTマーヴェラスを0−3のストレートで下し、3連覇を果たした。初優勝を狙ったJTは、第1セットを接戦の末に落とすと、第2、第3セットでは守備の乱れから思ったような攻撃ができず。一矢報いようと必死でくらいつくも、初の栄冠にあと一歩のところで届かなかった。

東レ 3−0 JT
(28−26、25−21、25−16)
 第1セットは両者の優勝にかける思いがそのまま試合にあらわれ、序盤から激しい攻防戦が展開された。最初にリードを奪ったのはJTだった。8−8からS竹下佳江がツーでポイントを奪うと、キャプテンのWS位田愛のサービスが決まり、10−8とした。さらに、WS谷口雅美がバックアタック、MB山本愛がサービスエースを決め、徐々に試合の主導権を握った。

 一方の東レも全日本代表のWS木村沙織、MB荒木絵里香を中心に得点を重ね、ジワジワと追い上げを図った。一時はJTが3点のリードを奪うも、中盤に追いつかれ、再び一進一退の様相を呈した。最後は互いに何度もゲームポイントを凌ぎ、26−26となった。ここでJTに痛恨のミスが出た。サーブレシーブが敵陣に入り、それをダイレクトに決められる。そして最後もサービスレシーブのミスからの失点を喫し、このセットを落とした。

 これで勢いに乗った東レは、第2セットも序盤から次々とポイントを奪い、最大8点差をつけ、主導権を握った。しかし、JTも最後に粘りを見せた。相手のゲームポイントを迎えると、そこから4連続ポイントを奪い、3点差にまで迫った。しかし、最後は代わったばかりのWSシンシア・バルボッサのバックアタックが決まり、JTが連取する。

 そして迎えた第3セット、ここでも東レが先行する。逆にJTは第2セットから崩れた守備をこのセットでも立て直すことができず、攻撃も第1セットには機能していたセンター線が影を潜めたままとなった。東レは木村、荒木のほか、この試合絶好調だったWS迫田さおりが終盤に次々と決めた。最後はこの試合でもチーム最大の得点力として活躍したキムのアタックがむなしくもラインを割り、東レの3連覇が決まった。

 偉業を果たした東レは、エースの木村が次のように試合を振り返った。
「JTには今シーズン、レギュラーラウンド、セミファイナルをあわせて1勝しかできなかった。そのJTに勝つためのポイントは最終的な決め球が上がるヨンギョン。サーブやアタックでヨンギョンを狙うようにして、彼女が攻撃するまでにボールを触る回数を多くすることをチームとして工夫した。それが優勝という結果になったと思う」

 一方、最後は栄冠を逃したJTは「東レに何か変化があったということではなく、セミファイナルまでできていた自分たちのパフォーマンスができなかったことが最大の敗因」
 司令塔の竹下、位田キャプテンがそう口にする中、今シーズンから新指揮官としてチームを快進撃に導いた石原昭久監督は次のように述べた。
「はじめこそ、うちのサーブが走り、サーブレシーブもうまくいったことで相手の攻撃を狭められた。しかし、途中から相手の優勝への気迫がサーブというかたちで打ち込まれることでパスが乱れ、2セット、3セットもそれが続いた。
 最後に優勝できなかったことは非常に残念で悔しい。しかし、決して悪いシーズンではなかった。通算で29勝。それができるチームになった」

 栄冠には届かなかったものの、今シーズンのJTの快進撃は見るものを魅了した。入れ替え戦でなんとか残留を決めた昨季とはうってかわって、レギュラーラウンドでは25連勝を含む26勝2敗というダントツのトップで1位通過を決めると、セミファイナルでも3戦全勝でファイナル進出を果たした。それでも最後の1勝は遠かった。この悔しい経験をどのように糧とし、チームの再建を図るのか。そして東レは4連覇を目指し、どのようにチームを構築していくのか――。来シーズンのV・プレミアリーグに注目したい。