22日、東京・有明コロシアムでbjリーグ09−10ファイナル4が行われ、ウエスタンでは大阪エヴェッサが琉球ゴールデンキングス(沖縄)を、またイースタンでは浜松・東三河フェニックスが新潟アルビレックスBBをそれぞれカンファレンスファイナルで破り、明日のファイナル進出を決めた。敗者の沖縄と新潟は3位決定戦に臨む。
◇ウエスタン・カンファレンス ファイナル
 大阪、昨年の雪辱果たす
大阪エヴェッサ 93−87 琉球ゴールデンキングス
【第1Q】23−17【第2Q】20−16【第3Q】22−16【第4Q】19−16

 屈辱的な敗戦から1年、大阪がレギュラーシーズン1位の意地を見せ、沖縄を下して2年ぶりにファイナル進出を決めた。
 因縁の相手、さらに今シーズンのレギュラーシーズン4勝4敗の五分とまさにライバル関係にある両チームだけに、会場は熱気と緊張感に包まれていた。それがコート上の選手にも伝わったのか、互いにシュートが入らず、スロースタートとなった。均衡を破ったのは大阪の司令塔・Gナイル・マーリーだった。相手のファウルから得たフリースローを2本とも確実に決めると、今度は自らインサイドに切り込み、ドライブシュートを鮮やかに決めた。

 一方、沖縄はアウトサイドからシュートを放つもことごとくリングに嫌われ、3分以上も得点できずに苦しんだ。この状況を救ったのが途中から出場したCジョージ・リーチだった。次々とシュートを決め、追い上げを図る。大阪もまた、ベンチプレーヤーが救世主となった。なかなかエンジンがかからないFライアン・ブラックウェル、Fリン・ワシントンにかえて、天日謙作HCはFデイビッド・パルマーとCジェイソン・クロッツを投入。パルマーが内外からシュートを決めると、守備では207センチの長身クロッツがリバウンドを制した。

 2Q、沖縄はG菅原洋介、G与那嶺翼がスリーポイントを決め、なんとか食らいつこうとする。だが、いつものスピーディなバスケットが見られず、大阪のゾーンディフェンスに対して、チグハグさが否めない。翻って大阪は前日の会見で天日HCが今シーズンの勝因と語っていた「プレーヤーローテーション」をしながら、リズムを取り戻していった。3Qではエースのワシントンが爆発。自らドライブで切り込んでシュートを決めると、今度はアウトからスリーポイント。一人で連続8ポイントを奪い、沖縄を圧倒した。沖縄はインサイドを攻め、相手のファウルを誘ってフリースローで得点を重ねるも、やはりアウトサイドからのシュートが決まらず、こぼれたボールはことごとく大阪に拾われた。

 16点差で迎えた4Q、遠路はるばる応援にかけつけたブースターのためにも一矢報いたい沖縄だったが、フリースローさえも入れることができず、約2分間は無得点。それでも菅原のスリーポイントを口火に外国人勢が奮闘。Fブライアン・シンプソンがスチールから豪快なダンクを決めると、今度は負けじとFアンソニー・マクヘンリーも鮮やかなダンクを決めた。
 しかし、ここで立ちはだかったのが、ワシントンだった。残り2分を切ったところでフリースローを4本確実に決めると、マーリーがおとりになってディフェンスをひきつけたところで完全にフリー状態になったワシントンが大阪の勝利を決定づけるダンクシュート。最後まで沖縄を寄せ付けることなく、大阪がウエスタンの王者に返り咲いた。

「完敗でした。今日は40分間通して、全くうちのチームバスケットができなかった」
 試合後の会見で開口一番、桶谷大HCはこう言って、悔しさを露にした。試合前に選手に伝えた「インサイドにボールを集め、アウトサイドへというシンプルなバスケット」はほとんど見ることができなかった。得意のディフェンスについても「足が動かせていなかった。相手に対して威圧感がなかった」と反省の言葉しか出てこない。それでも「明日は応援に来てくれたブースターや沖縄のためにも気持ちを切り替えて沖縄のバスケットを見せたい」と3位決定戦での勝利を誓った。
 一方、2年ぶりにファイナル進出を決めた大阪の天日HCは勝因について次のように述べた。「シーズンからずっとゾーンディフェンスを練習してきた。レギュラーシーズンでは集中せず、ミスもあったが、今日はみんな集中してほとんどミスなくやれた」。明日のファイナルではリーグトップの平均得点を誇る浜松と対戦する。

◇イースタン・カンファレンス ファイナル
 大口、10本の3P含む35得点の活躍
浜松・東三河フェニックス 102−75 新潟アルビレックスBB
【第1Q】24−20【第2Q】12−22【第3Q】29−19【第4Q】37−14

 昨シーズンのセミファイナルの再現となったこの試合はG大口真洋の独擅場となった。1Qはスタートから激しい攻防戦となり、12個ものファウルが計上されるほどのエキサイティングな展開に会場は一気にヒートアップ。最後はスリーポイントの応酬となり、新潟のSG小菅直人が決めて2点リードを奪うと、浜松はG/Fジャメイン・グリーン、大口が連続で決め、浜松が4点リードを奪う。
 しかし、2Qに入ると新潟が試合の主導権を握った。スタートからSF/PFアントニオ・パークス、PG齋藤崇人、パークスと立て続けにスリーポイントを決め、逆転に成功した。浜松も大口のスリーポイントで猛追するも、新潟の厳しいディフェンスにインサイドを攻めることができず、6点ビハインドで前半を終えた。

 だが、これで終わる浜松ではなかった。イースタン・カンファレンス1位の意地を見せ、3Qの序盤は外国人勢が奮闘。グリーンがダンクを決めると、エースのG/Fウェンデル・ホワイトがスリーポイントを決めた。そして残り5分を切ったところでホワイトがスリーポイントシュートを打とうとしたところでファウルを受け、3本のフリースローを得た。全て決めれば2点差に迫る大事な場面。ところが、ホワイトはこれを全て落とす。これで流れは再び新潟へ傾くかと思われたが、これを帳消しにしたのがG/Fウィリアム・ナイト、そして大口の連続スリーポイントだった。そしてC/Fジャーフロー・ラーカイがバスケットカウントで得たフリースローを外すも、このリバウンドをグリーンが拾い、豪快なダンクシュート。これで逆転に成功した浜松は、G/F岡田慎吾、大口のスリーポイントでリードを広げ、4点差で4Qへ突入した。

 勢いに乗ったら止まらない浜松は内外から次々とシュートを決めていく。逆に新潟はスタミナが切れ、足が動かなかった。攻撃でもシュートがことごとくリングから嫌われ、時間だけが無情にも過ぎていった。なんとか打開しようと最後はファウルゲームに持ち込むも、浜松にフリースローをほぼ完璧に決められ、逆にリードを広げられた。結局、浜松は4Qだけで37得点をあげ、新潟に快勝。初のファイナルへとコマを進めた。

「(チーム発足前の)2年前、この有明でファイナルを見た。そして『この舞台に選手を立たせてあげられたらどんなに幸せか』と思った。そこに明日は選手を立たせ、そして自分も立つことができる。本当に幸せなこと」と感無量の中村HC。念願のファイナル進出に喜びを隠せない様子だった。しかし、気持ちは決して緩んではいない。
「大田は最高だった。あんなにうまくいくことはない。だけど問題は明日。安心していいことはない。だから大田には試合後すぐに『今日のことは忘れろ。今から心の整理をしろ』と言った」
 明日は3度の優勝を誇る大阪との対戦。ファイナルの戦い方を熟知している相手だけに、ベテランの中村HCも警戒心を募らせた。各カンファレンスのトップ同士の王者決定戦。大阪が再び王者に返り咲くのか、それとも浜松が新王者となるのか。いよいよ明日、5代目のチャンピオンが決定する。


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