4日、サッカー日本代表はスイス・シオンで国際親善試合を行ない、コートジボワール代表と対戦した。前半13分、フリーキックのこぼれ球が田中マルクス闘莉王(名古屋)に当たり、日本はいきなりオウンゴールを献上してしまう。その後は高い位置からプレスをかけるものの、ボールを奪っても攻撃の起点とはならず、前半はいいところなく折り返す。後半開始から中村俊輔(横浜FM)、中村憲剛(川崎F)らを投入したが、状況を打破できず歯がゆい展開が続く。そして迎えた35分、またもフリーキックからコロ・トゥーレ(マンチェスター・シティ)に押し込まれ2点差をつけられる。結局、90分を通して日本にゴールの可能性は感じられることなく、本大会前最後の試合は0対2の完敗に終わった。日本代表は明日、南アフリカへ向かい、14日のカメルーン戦に備える。

 セットプレーからの2失点で完敗(シオン)
日本代表 0−2 コートジボワール代表
【得点】
[コ] オウンゴール(13分)、コロ・トゥーレ(80分)
 4日前にイングランドとの強化試合を行なった岡田ジャパンは、世界ランキング27位のコートジボワールと本大会前の最終戦を行った。日本にとってコートジボワールは「仮想カメルーン」、相手にとって日本は「仮想北朝鮮」と本大会を見据えたマッチメイクとなった。

 日本はイングランド戦と同じメンバーで試合に臨んだ。4日前は4−1−4−1の布陣でアンカーの位置に阿部勇樹(浦和)が入ったが、コートジボワール戦は阿部と遠藤保仁(G大阪)がダブルボランチとなり、長谷部誠(ヴォルフスブルク)がトップ下に入る4−2−3−1。様々な状況でテストしたい岡田武史監督の意図が見えるが、今日の試合を振り返ると、この布陣が本大会で通用するかは大きな疑問が残った。

 先制点を与えたのは前半13分だった。ゴールほぼ正面、30mほどの位置で相手にフリーキックのチャンスを与える。キッカーはディディエ・ドログバ。英プレミアリーグ・チェルシーのストライカーにとって、ここは得意なレンジだ。右足から放たれたシュートは壁に当たりゴール前にこぼれた。リバウンドを狙ったコロ・トゥーレのマークについた闘莉王がボールへ足を伸ばすと、クリアは無情にも日本ゴールに吸い込まれた。セットプレーからの悔やまれる失点。イングランド戦のオウンゴールとは違い、DF陣が崩された場面ではなかっただけに不運な失点だった。このゴールが最後まで日本に重くのしかかることとなった。

 本大会初戦を想定した試合だったが、早い時間に先制したことでコートジボワールは無理に攻めてこなかった。先制直後にドログバが負傷しベンチへ退いたこともあり、サロモン・カルー(チェルシー)やセイドゥ・ドゥンビア(ヤングボーイズ)にボールを預け、個々のスピードでゴールを狙う単調な攻めに終始した。縦パス一本で打開しようとする相手に対しては、日本のDFラインは落ち着いて対応できていた。

 一方、攻撃陣は全くといっていいほど見せ場がなかった。イングランド戦でも流れの中では数えるほどしかゴールへの動きはなかったが、今日の試合では決定機はゼロ。前半39分に本田圭佑(CSKAモスクワ)がPA外からボレーシュートを放つまで日本はシュートチャンスすらなかった。後半は本田、遠藤、阿部に代えて、中村俊、中村憲、稲本潤一(川崎F)をピッチに送りこんだが、状況は全く変わらなかった。
 前線からプレスをかけるのはいいが、ボールを奪ったところで攻撃の起点となれる選手がいない。これは以前から抱える問題だが、コートジボワールのようにフィジカルに勝った相手との試合では、この傾向はさらに強くなる。14日のカメルーン戦でこのような状況になることは避けたい。奪ったボールを素早く前線に供給するためには、阿部をアンカーに置く4−1−4−1の布陣で臨むのがベターな選択となりそうだ。

 後半35分には試合を決定づける2点目を決められた。このシーンも既視感のある光景だ。岡田ジャパンは強豪を相手にすると、後半25分過ぎから一気に運動量が落ちる。昨年9月のオランダ戦に4日前のイングランド戦、そして今日のコートジボワール戦。疲労からディフェンスに入る一歩が遅くなり、ゴール付近でファウルを犯し失点に繋がる。これはチームとして90分間のマネージメントができていない証拠だろう。W杯で対戦する3カ国は日本より格上の相手。1試合を戦い通すための組み立てが何よりも重要だ。チーム力を今から上げることはできない。それならば選手起用を工夫し、少しでも勝ち点を積み重ねられる可能性を思案し、実行していくしかない。

 直前の親善試合で3連敗を喫した岡田ジャパン。この敗北を糧にチームを前進させることはできるのか。勝負の3連戦は14日から始まる。連敗を6に伸ばすことがないよう、南アフリカの地で、岡田監督と23名の選手には最後まで効果的な策を模索してもらいたい。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
長友佑都
今野泰幸
→駒野友一(66分)
MF
阿部勇樹
→稲本潤一(46分)
遠藤保仁
→中村憲剛(46分)
長谷部誠
大久保嘉人
→森本貴幸(64分)
本田圭佑
→中村俊輔(46分)
FW
岡崎慎司
→玉田圭司(54分)