07年10月21日、東京・お台場にて行われたトライアスロン日本選手権東京港大会。女子は、06年ドーハ・アジア大会銀メダルの上田藍(シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター)が初優勝を飾った。観客の声援を背に、笑顔で優勝のゴールテープを切ると「狙っていた大会で優勝できて嬉しい」と喜びを語った。
 北京五輪での活躍にも期待がかかるトライアスロン界の“藍ちゃん”に二宮清純がインタビュー。トライアスロンへの思い、今後の意気込みを語ってもらった。(後編)
(写真:日本選手権を初制覇し、北京五輪代表入りへ弾みをつけた上田藍選手)
二宮: 現在の世界ランキングは?
上田: オリンピックランキングで24位です。日本人選手では、庭田清美さんの18位が最高ですね(※06年12月時点)。ポルトガルの選手がすごく強い。あとはオーストラリアの選手も強いですね。

二宮: 北京五輪に出場したら、本番ではやはりランでの勝負を予想していますか?
上田: はい。まずは得意のランをもっと強化したいと思っています。でもやはり、ランが速くなったとしても、北京五輪はタフなコースなので、バイクも力をつけていかないと、ランの前に足が疲労してしまう。バイクもさらに力をつけなければいけない、と山根コーチとも話しています。

二宮: 暑さの中でのレースになることが予想されますが、そのあたりは大丈夫ですか?
上田: むしろ暑い方がいいですね。海外の選手は暑さがあまり得意ではないので、後半のランで落ちてくる選手が多いんです。そこで自分さえ粘れば、順位は上げられる、と。

二宮: タフなコースの方がいいわけですね。
上田: そうですね(笑)。スイムに関しては、まだパワーが足りなくて波が高いコースに弱いので、タフじゃない方がいいんですけど……。でも北京のスイムのコースはダムなので、イメージはできています。

二宮: 上田さん、インタビューの中で「本番力」という言葉を使っていますが、本番には強い?
上田: 波はありますけど、強い方だと思っています。今年は石垣島のW杯とアジア選手権、世界選手権、北京のW杯、日本選手権の5本のレースで結果を残す、というイメージで練習してきました。その中で納得のいく結果を残すことができている。本番では絶対に力を出して結果につなげられる、という自信にもつながっていますね。

二宮: レース前にイメージトレーニングをやったりするんですか?
上田: イメージトレーニングはやっています。今は特に、北京五輪に出ている自分をイメージしています。W杯で実際に北京五輪と同じコースを走っているので……。今までも、「ここで結果を出そう」というレースは長いスパンでイメージしているので、失敗が少ないというのもあるかもしれないですね。

二宮: 出場しているレース数が多いのは、練習の意味合いも強いわけですね。
上田: はい。自分が結果を残したいレースの前に、経験を積むための実践トレーニング、という部分もあります。W杯が最良の練習になっていますね。

二宮: 早ければ、4月のアジア選手権で優勝すれば北京五輪の代表に決まる、と。どのように持っていこうと?
上田: まずは4月のアジア選手権までにどれだけ練習が積めるかが、一番の自信になると思います。アジア選手権で一早く(北京五輪代表を)決めて、また練習したいですね。でも6月(バンクーバー世界選手権)まで延びた場合も、対応はしていけると思っています。

<2月5日号(1月20日発売)の『ビッグコミックオリジナル』(小学館)二宮清純コラム「バイプレーヤー」にて、上田藍選手のインタビューが掲載されます。そちらもぜひご覧ください!>