21日、南アフリカワールドカップグループリーグG第2節がケープタウンで行われ、ポルトガル(FIFAランキング3位)と北朝鮮(同105位)が対戦した。序盤は格下と見られていた北朝鮮が善戦し強豪相手に互角の戦いをする。試合が動いたのは前半29分。2列目から飛び出したMFラウール・メイレレス(ポルト)がシュートを決め、ポルトガルが先制する。その後は実力に勝るポルトガルが相手を圧倒し後半8分にFWシモン・サブロサ(アトレティコ・マドリッド)がシュートを決め追加点をあげる。ここからはゴールラッシュの幕が開き、さらに5得点を加えたポルトガルが7対0で圧勝した。一方、敗れた北朝鮮はグループリーグ敗退が決定した。

 C・ロナウド、1ゴール1アシストの活躍(ケープタウン)
ポルトガル 7−0 北朝鮮
【得点】
[ポ] ラウール・メイレレス(29分)、シモン・サブロサ(53分)、ウーゴ・アウメイダ(56分)、ティアゴ(60分、89分)、リエジソン(81分)、クリスティアーノ・ロナウド(87分)

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 グループGでは昨日行われた試合でブラジルがコートジボワールを3対1で下し決勝トーナメント進出を決め、残り1つの枠を3カ国が争うことになった。現在グループ2位のポルトガルは前節コートジボワール戦で押し気味に試合を運びながらスコアレスドローとなり、決定力不足が心配されていた。今節は格下と見られる相手に勝ち点を落とすわけにはいかない。次節に勢いをつける為にもいい形で勝利したい。対する北朝鮮はブラジル相手に善戦したものの初戦を落としており、この試合に敗れるとグループリーグ敗退が決定してしまうため、互いに負けられない一戦となった。

 ポルトガルのカルロス・ケイロス監督は前の試合と先発を4人入れ替えた。フォーメーションは4−3−3と変わらないが、前線には高さのあるFWウーゴ・アウメイダ(ブレーメン)と突破力のあるシモンを配置し、怪我の司令塔MFデコに代わってMFティアゴ(アトレティコ・マドリッド)が起用された。

 立ち上がりはポルトガルがFWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリッド)の個人技などでチャンスを作り攻撃を仕掛けた。7分にコーナーキックからDFリカルド・カルバーリョ(チェルシー)のヘディングがバーを叩くなど、惜しいシーンも見られポルトガルのペースで試合は進むかと思われた。

 しかし劣勢が予想された北朝鮮は前節と同じくDFを5人並べ守備的な布陣を敷いてカウンター狙いのサッカーを展開した。

 すると狙い通りの攻撃で北朝鮮がチャンスを作る。18分、FWチョン・テセ(川崎F)が右サイドにパスを出すとFWホン・ヨンジョ(ロストク)がファーサイドへ強烈なシュートを放つ。GKが弾いたボールをMFパク・ナムチョル(鴨緑江体育団)がヘディングでつめるがシュートはバーの上を越える。決定機を逃したものの自分たちのサッカーが通じたことで自信を深めたのか、さらにカウンターから攻撃を仕掛けてチャンスを作る。21分、24分のミドルシュートは枠を外れたもののポルトガル相手にほぼ互角と言える善戦をする。

 試合が動いたのは29分。R・メイレレスが2列目からPA内に侵入するとティアゴがスルーパスを送る。GKと1対1になったR・メイレレスは右足を振り抜く。グラウンダーの強烈なシュートはGKの脇の下を抜けていきゴールネットを揺らしポルトガルが待望の先制点をあげた。得点をあげたR・メイレレスはその後何度も2列目から果敢に飛び出して北朝鮮ゴールを脅かし続けた。

 前半はそのままポルトガル1点リードで折り返す。北朝鮮も先制点は許したもののチャンスを作るなど想像以上の健闘をみせた前半だった。

 しかし後半に入ると流れは実力で勝るポルトガルのものとなる。C・ロナウドがサイドでドリブルを仕掛けミドルシュートを放つなど自由に動く場面が目立つようになっていく。

 追加点が生まれたのは8分、右からのクロスを受けたR・メイレレスがH・アウメイダとワンツーで抜け出すとシモンにスルーパスを送る。GKと1対1になったシモンが落ち着いてGKの股を抜くゴールでポルトガルがリードを2点と広げる。

 さらに11分には、DFファビオ・コエントラン(ベンフィカ)のクロスをH・アウメイダが頭でゴールネットに突き刺し3対0とすると、15分には左サイドからC・ロナウドがセンタリングを入れるとティアゴが冷静にインサイドでゴール右隅に流し込み4点差とする。

 勝敗はほぼ決したがゴールラッシュはまだまだ止まらない。36分にはDFクリアミスを拾った途中出場のリエジソン(スポルティング)が冷静にシュートを決めると42分にはC・ロナウドがスルーパスに飛び出しGKと1対1に。飛び出したGKがボールを弾くもこぼれ球はC・ロナウドの元へ。あとは今大会の主役候補と呼ばれるC・ロナウドが無人のゴールに流し込むだけでよかった。大勝劇のフィナーレは44分にMFミゲウ・ベローゾ(スポルティング)のクロスをティアゴが頭で合わせて、この日2得点目を決める。試合はそのまま7対0のスコアでポルトガルが圧勝した。

 終わってみれば大差で勝利をつかんだポルトガルは、これで勝ち点4としグループ単独2位を守った。最終節ブラジル戦は引き分け以上なら決勝トーナメント進出が決まり、もし敗れてコードジボワールが北朝鮮に勝ち、勝ち点で並んだとしても現時点での得失点差は9点のアドバンテージがあるため、優位は揺るがない。また懸案だった得点力不足という問題は起用されたFW全員が得点をあげたことで解決に向かうだろう。特にエースのC・ロナウドが1得点1アシストの活躍で、次節をこのまま勢いに乗って臨みたい。

 一方の北朝鮮は後半なすすべもなく敗れたが、前半に見せたカウンターサッカーはある程度通用したかに見えた。グループリーグ敗退が決定し、前回出場した66年イングランド大会のベスト8入りのような大波乱は起こせなかったが、最終節はアジアを代表するチームとして90分通したいいサッカーをし、意地を見せて欲しい。

(杉浦泰介)

【ポルトガル】
GK
エドゥアルド
DF
B・アウベス
R・カルバーリョ
ミゲウ
コエントラン
MF
P・メンデス
R・メイレレス
→M・ベローゾ(70分)
ティアゴ
FW
C・ロナウド
シモン
→ドゥダ(74分)
H・アウメイダ
→リエジソン(77分)

【北朝鮮】
GK
リ・ミョングク
DF
リ・ジュンイル
リ・グァンチョン
パク・チョルジン
チャ・ジョンヒョク
→ナム・ソンチョル(75分)
チ・ユンナム
MF
アン・ヨンハ
パク・ナムチョル
→キム・グムイル(58分)
ムン・イングク
→キム・ヨンジュン(58分)
FW
チョン・テセ
ホン・ヨンジョ