大相撲名古屋場所は24日、14日目を迎え、横綱・白鵬が大関・日馬富士をすくい投げで破って連勝を46に伸ばした。これは昭和以降では横綱・大鵬の45連勝(1968年秋場所〜翌春場所)を超え、単独3位。今場所の成績も14戦全勝となり、千秋楽を待たずして3場所連続15度目の優勝を決めた。千秋楽の大関・把瑠都戦に勝てば、年6場所制になった1958年以降では初の3場所連続全勝優勝となる。
 場所前から大揺れに揺れた相撲界も、土俵の主役は変わらなかった。朝青龍の不祥事による引退で一人横綱になって3場所目。その間、白鵬はひとつも星を落としていない。一身に背負う重圧すら力に変えて連勝街道を突き進む。

 今場所は決して目の前の土俵に集中できる環境ではなかった。夏場所中に発覚した野球賭博問題で大関・琴光喜らが解雇となり、10人の関取が謹慎で休場。白鵬自身も花札で賭け事をしたとして、記者会見で謝罪を行った。NHKが場所の中継を取りやめたため、快挙の瞬間をリアルタイムで観られたのは会場に詰め掛けたファンだけだった。

 しかも協会が優勝力士への天皇賜杯などを辞退したため、横綱・輪島を抜いて史上6位となる節目の優勝も寂しいものとなりそうだ。「自分たちの手で国技をつぶす気か」。場所前には“協会批判”ともとれる発言が飛び出した。せっかくの連続Vと記録更新も喜び半分といった感じだ。

 白鵬の「鵬」はもちろん、大鵬からとったものだ。尊敬する大横綱の連勝記録を抜き、次なる目標は横綱・千代の富士(現九重親方)の53(1988年夏場所〜九州場所)。その先には双葉山がもつ不滅の69連勝(1936年春場所〜39年春場所)が待っている。もうすっかり第一人者としての風格が漂っているが、まだ年齢は25歳。横綱の品格とは「心技体の充実」と語る白鵬の強さは増すばかりだ。目立ったライバルも不在の中、連勝はまだまだ伸びそうな気がする。