転職総合サイト「DODA」では今月より、スポーツを通してビジネスを語る連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論」がスタートしました。スポーツの観点から取り上げられたエピソードをもとに、ビジネスマンとしての心得や転職活動の方法について、二宮清純が語ります。激しい競争世界で生き抜いてきたアスリートたちから学ぶことは多いはず。二宮清純がこれまでの取材で得た彼らの思考法、成功例をビジネスにあてはめて紹介します!
CHAPTER1.組織は「何ができるか」を問う

 プロ野球の監督たちが、選手に求める第一のポイントは「何ができるか」ということである。
 たとえば「足の速さだけなら誰にも負けない」というルーキーがいたとする。こういう選手は使いやすい。
 一番困るのは「何でもそこそこ」というタイプの選手である。「そこそこできる」ということは逆に言えば「そこそこしかできない」ということである。
 この手の選手は誰かの代役を務めることはできてもレギュラーにはなれない。業界でいうところの「便利屋」で終わってしまう可能性が高い。

 メジャーリーグでは何球団も渡り歩く選手のことを「ジャーニーマン」と呼ぶ。肩も足も守備もバッティングもそこそこだが、突出したものがない。主力の抜けた穴埋めとして声がかかることが多い。
 これはビジネスの現場においても同じことが言えるのではないか。全てのスキルが高水準であるなら言うことはないが、「そこそこ」では大事な仕事は任せられない。
 それならば「これだけは負けません」というものをひとつ持っておいてくれた方が適した仕事を与えやすいし、安心して任せることもできる。
「こういうことをやりたい」と言われても、ほとんどの会社は「実験」を許容するだけの余裕がない。「願望」は社員の「権利」ではないのだ。

 最も困るのは「ここでスキルアップしたい」とか、「ここで勉強したい」とか、あたかも会社をキャリアデザインのステップボードのように位置付けている者だ。それは会社にとっては“迷惑な情熱”である。
 第2章では「何ができるか」を突破口にして、二流から一流にのし上がったアスリートの例を紹介しよう。


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