東京ヤクルトスワローズの青木宣親といえば、日本代表の3番を任されるほどの巧打者である。足も速く、口にこそ出さないが、本人はメジャーリーグでのプレーも視野に入れているようだ。
 早大時代から俊足巧打の外野手として鳴らしたが、まさかここまでの選手になるとは思わなかった。大学時代の評価は阪神でプレーする鳥谷敬のほうがはるかに上で、彼が自由獲得枠で入団したのに対し、青木はドラフト4位だった。
 1年目はファーム暮らし。1軍の試合ではたった3本しかヒットを放っていない。それでもファームで打率3割7分2厘をマークし、首位打者に輝いたことで手応えをつかんだ。
「来年こそ勝負!」

 青木は心に誓った。さて、どうするか。
 青木はある行動に出た。監督の若松勉(当時)に出す年賀状に自らの思いをぶつけたのだ。
<今年は僕を使ってください。絶対チームのために貢献します>
 普通の選手なら、せいぜい書いても<今年も頑張ります。よろしくお願いします>という程度だろう。しかし、青木は違った。「オレを使ってくれ!」と事実上の直訴に及んだのだ。

<この原稿は「ビッグトゥモロー」2010年8月号に掲載されました>
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