29日から中国・武漢で女子バスケットボールのリオデジャネイロ五輪アジア予選を兼ねたFIBAアジア選手権がスタートする。優勝チームのみがリオへの切符を手にし、2位3位が最終予選に回る。ハヤブサジャパン(バスケットボール日本代表の愛称)は主将のPG吉田亜沙美(JX-ENEOSサンフラワーズ)を中心とした“走るバスケ”で、3大会ぶりの五輪出場を目指す。二宮清純がハヤブサジャパンの司令塔に意気込みを訊いた。
二宮: 昨年11月末に国際バスケットボール連盟(FIBA)から日本バスケットボール協会(JBA)は資格停止処分を科されました。これが解除されない限り、国際試合への出場も認められない。リオ五輪の予選を兼ねたアジア選手権に出場できない可能性もありました。
吉田: 選手としては、正直凄く不安もありました。代表の活動が始まっても五輪予選に出られない状態でしたので、解除され時はホッとしました。これで目標に向かってすっきりとした気持ちになれたので、よかったかなと思いますけど。

二宮: 女子は2004年アテネ五輪を最後に予選突破できていません。吉田選手は高校3年から代表に入り、代表歴は約10年。ロンドン五輪予選では、あと一歩届かなかった。
吉田: 選手である以上は五輪に出場したいという気持ちは強い。特に今年はなんとしても出たいですね。

二宮: 世界選手権、アジア選手権など代表の中でも経験豊富ですが、一番印象に残っているのはどの大会でしょう?
吉田: やはり13年のアジア選手権のベスト5に入ったことですかね。アジア選手権で優勝したのは、私が全日本に入って初めてだったんで、すごく嬉しかったです。1人1人にとってもそうですが、チームにとってもすごく自信に繋がる結果でした。やり切ったという思いもありましたし、それが形になってベスト5に選んでもらえたっていうのは、非常に良かったなと思っています。

二宮: 日本がアジア選手権で優勝したのは43年ぶりでした。それまでは韓国と中国になかなか勝てなかった。
吉田: そうですね。09、11年は中国が連覇していました。

二宮: その中国に久しぶりに勝って優勝したのには達成感ありましたか?
吉田: アジアで優勝するのがこんなにも嬉しいのかという思いがありました。表彰式で国家を歌っている時に、連覇をしている中国の強さを改めて感じました。日本もそういう存在になっていかなければいけないとも。

二宮: 今回、リオ五輪に出るためには韓国や中国がライバルになってくると?
吉田: はい。中国は高さもありますし、最近はアウトサイドのシュートもある。韓国も巧さがありますね。日本は走る、アップテンポのバスケットをすることと、ディフェンスを頑張って、それをファーストブレイクでどれだけ点を取れるかが課題になってくると思います。

二宮: 開催地は中国の武漢です。敵地ということで、アウェイのプレッシャーもあると思います。
吉田: そうですね。やはりタフなゲームになると思いますし、その中でも自分たちから崩れないように我慢が必要になる。最後まで諦めないというメンタルが結果に繋がってくると思うので、しっかりと気持ちをつくっていけたらなと思います。

二宮: 中国にとっては地元ですし、前回、日本に負けているので今度は目の色を変えてやってくるでしょうね。
吉田: そこで受け身になるのではなく、自分たちは挑戦者なんだという気持ちで相手に向かっていくことが大事になってくる。日本らしいバスケットをしていれば、自ずと結果は付いてくると思います。

二宮: サッカーのなでしこジャパンだったら、連動性とテクニック。ハヤブサジャパンの強みは?
吉田: やはりどの選手も走れるというのが日本の強みだと思います。ガードもセンター陣も走れる足の速さがある。ディフェンスからプレッシャーをかけて、オフェンスもディフェンスも攻める。それが日本の良さだと考えています。中国などはだいたいスローペースで試合を展開すると思うので、そこに合わせるのではなく自分たちのアップテンポの速いバスケットをしていきたいですね。

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