暦のうえでは春だというのに、まだまだ寒い日が続いていますね。北海道の上空には強烈な寒波が押し寄せているとか。今週末も全国的に厳しい寒さになるようですので、皆さん、お出かけの際には暖かくしていってください。

 先日、こんなことがありました。あれは18時から19時の間だったと記憶しています。ふと窓の外を見ると、そこにはとてもきれいな風景が広がっていました。空はすっかり暗くなっていたのですが、遠くに立ち並ぶビルの隙間から、落ち行く夕日の光がもれていたのです。

「Hさん! 見てください! すごくきれいですよ!」
「うわぁ、本当ですね! 私、写真撮ろう」
 そう言ってHさんが、年末に購入したばかりのスマートフォンで撮影し始めました。さすがは「アイフォン5」です。とてもきれいに撮れていました。

「うわぁ、きれいですねぇ」
「ほんと、絵はがきみたい……」
 よく見ると、空にポツンと光っているものが見えます。
「あれ、この光っているのはなんですかね?」
「星かなぁ……UFOだったりして(笑)」

 Hさんと私が騒いでいると、そこへ編集長がスタッフルームに入ってきました。Hさんはすかさず「編集長! 見てください!」と写真を見せに行きました。「おぉ~、本当だ。きれいだなぁ」と編集長。お疲れモードの編集長も癒されていたように感じられました。

 すると突然、Hさんが「編集長、それよりもこれ見てください。UFOですよ! UFO! 私、見たんです!」と言うではありませんか。しかし、さすがは編集長。そこは冷静に「いやいや、UFOじゃないだろう」とひと言。やはり、編集長は騙されませんでした。

 逆に、Hさんの言葉を聞いて椅子から転げ落ちそうになりながら慌て始めたのが、最も若いスタッフのY.S.くん。
「えっ!? それ、本当だったらすごくないですか?」
 立ち上がるや否や、窓の外を見ながら一生懸命にUFOを探し始めました。そこへ、編集長がY.S.くんの肩をポンと叩き、「Y.S.、残念だが、あれはおそらく飛行機だよ」と優しく諭されたのです。

「はぁ、そうですかぁ。そうですよね。飛行機ですよね。アハハハ……」
 UFOではなかったという残念な気持ちと、一人大騒ぎしたバツの悪さからか、Y.S.くんの笑顔は明らかにひきつっていました。

 そんな様子を見て、編集長は「Y.S.! 元気を出せ。オレがカレーをおごってやるから! よし、これでみんなの分のカレーを買ってきてくれ」と言って、1万円札を渡しました。
「はい、ありがとうございます! じゃあ、行ってきます!」
 食べることが大好きなY.S.くんは笑顔を取り戻し、元気よく出て行きました。

(いやぁ、さすがは編集長。スタッフのことをよく考えてくれているんだなぁ)
 と一瞬、感心した私ですが、次の瞬間、思い直しました。いや、そもそも編集長はカレーを買いに行こうとしていたのではないか、と。つまり、うまい具合におつかいに行ってもらうことができたというわけです。

 でも、それでY.S.くんが元気になり、編集長も私たちスタッフも美味しいカレーを食べることができたわけですからね。やはり編集長の「リーダー力」はすごいのだ、と痛感いたしました。

(スタッフS)
 


◎バックナンバーはこちらから