当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組『勝負の瞬間(とき)』が8月29日(日)、21:00より放送されます。この番組では毎回、各スポーツから一流たちをお招きし、トップを極めたテクニックと、その思考法に迫ります。これまでのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。今回はF1からインディカーへ活躍の場を移した佐藤琢磨選手をお招きします。
(写真:300キロ超の舞台に挑戦し続ける理由とは!?)
 当サイトでは番組に先駆けて、佐藤選手とのインタビューの一部を紹介します。

二宮: お忙しいところ来ていただき、ありがとうございます。
佐藤: はじめまして。今日はよろしくお願いします。

二宮: F1からインディカーシリーズに参戦されたわけですが、どちらも世界最高峰のレースとはいえ、似て非なる物といいましょうか。最初のうちはかなり違和感があったのではないでしょうか?
佐藤: これはもう、全く違うカテゴリーだと思います。確かに姿形はオープンホイールの、いわゆるフォーミュラカーですが、車のコンセプトそのものが全く異なるんです。そのため車に慣れるまでにある程度時間がかかりますし、それ以上に車を走らせる環境が違います。

二宮: 環境と言うと?
佐藤: インディカーにはロードコースと言われる一般のサーキットとストリートと言われる市街地コース。それともう一つ、楕円形のオーバルがあります。F1と似ているロードとストリートに関しても、道路の状態がF1では考えられないほど凸凹しているんです。F1ではレースの前に綺麗に舗装し直すのですが……。

二宮: モナコなどもそうですね。
佐藤: はい。それでもモナコはF1マシンで走るとバンピーに感じるんです。しかし、インディカーシリーズでアメリカに渡ってからは、モナコの路面でも非常にもスムースな路面と思えるくらいです。インディではとんでもない凸凹やバンクがある。これはどちらがいいとか悪いという話ではなく、とにかく違いがあるということです。そういう環境でマシンを走らせなくてはならないので、僕自身も学ぶものがたくさんありました。
>>この続きは番組をお楽しみ下さい。

 番組では、F1に魅せられた少年時代の衝撃的な出会い、19歳からのモータースポーツへの挑戦、そして時速300キロを超える世界で見える光景について、佐藤選手に熱く語っていただきました。

 2002年にF1デビューを果たした佐藤選手は、04年米国GPで日本人最高位の3位を記録し表彰台に昇りました。今季からは活躍の場を米国インディカーシリーズへと移し、ルーキーイヤーながら存在感のある走りで観衆を魅了しています。

「インディカーとF1は全く別のカテゴリー」。佐藤選手はそう口にします。インディカーのサーキットはロードコースとストリートコース、そしてオーバルの3種類に分けられます。中でも特徴的なものはオーバルです。コンクリートの壁に囲まれた楕円形のサーキットでは平均時速350キロ近い高速バトルが繰り広げられ、最高速度は380キロにも到達します。そのコースを200週近く周回するため、ドライバーにも相当な負担がかかります。「オーバルコースを始めて走った時は目が回りました」と語った佐藤選手。F1で鍛えた体もインディカーに適応するまでに相当な時間と努力を要するのです。それだけ厳しい環境に挑戦する意味は? そこにはドライバーの本能がありました。

「レースは科学」
 佐藤選手はマシンやタイヤのポテンシャル以上を発揮することは不可能だと断言します。しかし、「それでも最後はドライバーのメンタリティー勝負」とも語ります。何百周と周回を重ねるインディカーでは全体を短いスプリントに分け、レースを組み立てていきます。問われるのはレースの構成力と勝利への意志。レーサーはスタートからゴールの瞬間まで、ただ同じようにドライビングをしているのではありません。攻める時は攻め、守るときは守る――。モータースポーツに馴染みのない方にとって、これまでとレースの見方が変わる興味深い55分間です。

 この『勝負の瞬間』は月1回ペースでお届けしています。どうぞお楽しみに!

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