27日、日本サッカー協会(JFA)は9月4日に横浜・日産スタジアム、7日に大阪・長居スタジアムで行なわれるキリンチャレンジカップに出場する日本代表23名を発表した。南アフリカW杯後、初めての国際Aマッチとなる今大会では本田圭佑(CSKAモスクワ)、長谷部誠(ヴォルフスブルク)ら海外組8名を含む15名のW杯メンバーが名を連ねた。一方、細貝萌(浦和レッズ)がA代表に初選出され、乾貴幸(セレッソ大阪)、橋本英郎(ガンバ大阪)などJリーグで好調なプレーを見せる選手が選出された。次期監督が決定していない日本代表は原博実強化担当技術委員長を監督代行に据え、世界ランク15位のパラグアイと119位のグアテマラとの対戦に臨む。
(写真:監督代行として2戦の指揮を執る原委員長)
 南アフリカW杯から2カ月。新生日本代表の対戦相手は決勝トーナメント1回戦でPK戦の末敗れたパラグアイだ。パラグアイ代表にはロケ・サンタクルス(マンチェスター・シティ)、ルーカス・バリオス(ボルシア・ドルトムント)、フスト・ビジャール(バリャドリード)らW杯メンバーが10名選出されており、さながらW杯のリマッチの様相を呈している。

 23名のメンバー発表に先立って、原強化担当技術委員長からコーチ陣の発表が行われた。これまで名前の上がっていた前川崎フロンターレ監督の関塚隆氏がコーチとしてベンチ入りし、これまで岡田ジャパンでも監督を補佐した小倉勉氏も引き続きコーチを務める。ただし、2名のコーチ就任は9月の2試合のみの暫定的なものであり、新監督との契約を結び次第、正式にA代表コーチへと就任する運びだ。

 原監督代行、コーチ陣を中心に選出された23名には、15名のW杯戦士が含まれている。今回のメンバー招集について、原委員長は「短い期間でチームとしてまとめるためには、ある程度慣れているメンバーをベースに考えた。移籍が絡んで海外へ行っている阿部(勇樹)、矢野(貴章)以外では、現在のコンディションがよくフレッシュなメンバーを選出した」と語った。

 初選出となる細貝について、原委員長は「浦和で中盤の守備で力を発揮している。阿部のいないポジションで力をみせてほしい」とボランチでの働きに期待した。また、好調・清水を牽引する藤本については「短い時間でも決定機を作っている。代表でも特徴を出しやすい選手」と評価した。

 4日のパラグアイ戦、7日のグアテマラ戦と並行して、ヤマザキナビスコ杯準々決勝が1日、8日にホーム&アウェー形式で行われる。本来ならば、30日から代表合宿が行われ、代表優先となる日程が組まれる予定だったものの、新監督の決定が遅れたため、代表チームの集合は2日となった。

 9月に入るとはいえ、暑い最中で行われる2試合は選手にとって大きな負担だ。さらに監督選任が遅れたことで、1日のナビスコ杯準々決勝に出場した選手が4日、7日の試合にも出場できるため、超過密日程が組まれることとなった。

 Jリーグで日本人最多得点の10ゴールを記録している平井将生(ガンバ大阪)の代表初招集はなかった。監督代行が指揮を執るため、大胆な若手へのシフトチェンジが見送られた格好だ。「現状のベスト」と評された布陣は、岡田ジャパンをベースにしたメンバーだけに、ホームでどのような戦いを仕掛けるのか。W杯では“守備的”な戦いが効を奏したものの、ホームゲームで同様の戦い方をするとは考えにくい。もともと攻撃的なサッカーを好む原委員長はどのような采配を見せるのか。4日までに新監督が決定すれば、スタンドから代表戦を観戦することになる。4年後のブラジルへ向けた一歩は指揮官不在だが、選手たちが南アフリカで得た経験をピッチ上で表現してほしい。

<日本代表メンバー23名>

GK
楢崎正剛(名古屋グランパス)
川島永嗣(リールセ)
DF
中澤佑二(横浜F・マリノス)
田中マルクス闘莉王(名古屋グランパス)
駒野友一(ジュビロ磐田)
岩政大樹(鹿島アントラーズ)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
長友佑都(チェゼーナ)
槙野智章(サンフレッチェ広島)
内田篤人(シャルケ04)
MF
橋本英郎(ガンバ大阪)
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
松井大輔(グルノーブル)
今野泰幸(FC東京)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
藤本淳吾(清水エスパルス)
細貝萌(浦和レッズ)
本田圭佑(CSKAモスクワ)
乾貴之(セレッソ大阪)
香川真司(ボルシア・ドルトムント)
FW
岡崎慎司(清水エスパルス)
森本貴幸(カターニャ)

<キリンチャレンジカップ2010>
◇9月4日(土)
日本代表 × パラグアイ代表
日産スタジアム(横浜)

◇9月7日(火)
日本代表 × グアテマラ代表
長居スタジアム(大阪)