「セイコー・スーパー陸上競技大会2007ヨコハマ」は30日、横浜市の日産スタジアムで行われ、男子100メートルは今夏の世界陸上大阪大会金メダルのタイソン・ゲイ(米国)が10秒23で優勝した。2位はチュランディ・マルティナ(オランダ)で10秒48、3位には10秒51で塚原直貴(東海大)が入った。朝原宣治(大阪ガス)は10秒64で7位だった。
(写真:男子100メートル決勝。左から朝原、タイソン・ゲイ、塚原)
 最終種目の男子100メートル、雨と気温の低さで記録は低調に終わったものの、貫録を見せて優勝を果たしたゲイは「気象条件を考えると、今日の結果には満足している。今シーズン、とても長いシーズンで、疲れたが、良いレースができたと思う。雨と寒さには苦しめられたが、観客の皆さんからとても力をもらった」と振り返った。
 パウエルが9月9日に世界記録を更新したことについて振られると「ぜひ私も彼のように世界記録を出したい。そのためにはベストなコンディションを作ることが必要。肉体的にも技術的にも向上させていきたい」と意気込んだ。
(写真:記者会見で日本のファンへの感謝の気持ちを語ったタイソン・ゲイ)

 9月9日、イタリアで行われたリエティGPの男子100メートルで9秒74の世界新記録を出したアサファ・パウエル(ジャマイカ)は200メートルに出場したが、脚を痛めて途中棄権。同種目はジョシュア・ジョンソン(米国)が20秒64で制し、タイラー・クリストファーが2位、斎藤仁志(筑波大)が3位に入った。
 パウエルは序盤からスムーズな加速でトップに立ったが、コーナーの終盤で左太ももを痛め、無念の途中棄権に終わった。
 昨年大会では、100メートルでフライングによる失格に終わっているパウエルは「昨年は100メートルがダメだったので、今年は記録を残したかった。来年は必ず、100メートル、200メートルの両方でリベンジしたい。日本の大会は大好きです。しかし、今日は寒すぎた。最初は良い調子だった。200メートルの前半のスピードが速すぎた」とコメントを残した。

 男子400メートル障害は、05年世界陸上ヘルシンキ大会金、今夏の大阪大会では準決勝敗退に終わったバーショーン・ジャクソン(米国)が優勝、序盤から積極的なレース運びを見せた成迫健児(ミズノ)が49秒92で2位に食い込んだ。3位は杉町マハウ(日本ウェルネス)、大阪世界陸上を制したケロン・クレメント(米国)は5位だった。
 世界陸上のメダリスト2人を抑えた成迫は、準決勝で惜しくも敗退した世界陸上の悔しさから「前半に置いていかれて勝負できなかったので、今までの自分を払しょくし1歩前に進むため、先行逃げ切りで行った」とレースの組み立てについて語り、「今後は新たなスタイルで行きたい」と意欲を見せた。

 実力者が揃った男子ハンマー投げは、イワン・チホン(べルラーシ)が77メートル55で優勝、2位はリボル・ハルフレイタグ(スロバキア)、3位プリモジュ・コズムス(スロベニア)と世界陸上大阪大会のメダリストが表彰台を占めた。室伏広治(ミズノ)は74メートル31で4位にとどまった。

 男子走り高跳びはリーナス・トーンブランド(スウェーデン)が2メートル21で優勝、醍醐直幸(富士通)が2メートル18で2位に入った。世界陸上大阪大会を制したドナルド・トマス(バハマ)は2メートル18を3回失敗に終わり、2メートル15で4位に終わった。
 男子棒高跳びは沢野大地(ニシ・スポーツ)ら出場者全員が記録なしに終わった。
 
 女子走り幅跳びは世界選手権で同種目を制したタチアナ・レベデワ(ロシア)が6メートル63で優勝、池田久美子(スズキ)は6メートル41で2位だった。
 池田は100メートル障害にも出場、サリー・マクレラン(オーストラリア)が優勝し、池田は2位に食い込んだ。

 女子400メートルはサーニャ・リチャーズ(米国)が50秒27で優勝、51秒台のベスト記録を持つ丹野麻美(福島大)は52秒94で3位だった。

 雨と気温の低さなど悪コンディションの中、全体的に記録は低調に終わった。