大相撲の元序の口力士、時大山(ときたいざん、本名・斉藤俊さん)が6月、けいこ後に急死した問題で、愛知県警は師匠の時津風親方や兄弟子らが暴行を与えていた疑いが強まったとして、傷害および傷害致死の各容疑で立件する方針を固めた。時津風親方(元小結双津竜)、兄弟子ともに暴行を認めているという。
 時大山は6月26日、犬山市の同部屋での稽古中に倒れ、搬送先の病院で虚血性心疾患により急死した。
 県警が関係者から事情聴取を行ったところ、死亡前日、部屋を逃げ出そうとした時大山へ親方がビール瓶で額を殴り、負傷させていたことが発覚した。

 さらに、その後、兄弟子数人が時大山に対して、数十分にわたり、殴る蹴るの暴行を加えていた。
 死亡当日、時大山は朝の稽古に遅刻し、ぶつかり稽古を30分程度行ったところで土俵上に倒れた。ところが、すぐに119番通報されず、1時間近くも通路に放置されていた。

 親方は「暴行ではなく教育の一環だった」とも語っているが、今後、遺体の検査で死亡と暴行の因果関係が認められれば、刑事事件に発展する可能性が出てきた。

 大相撲の世界では、親方や兄弟子によるしごきが日常的に行われている。しかし、遺族の話によれば、時大山の遺体は無数の外傷やあざがみられたという。昭和の大横綱・双葉山が創設した名門部屋に何が起こったのか。捜査の進展とともに、日本相撲協会の早急な対応が待たれるところだ。