日本サッカー協会は14日、理事会を開き、一度は辞退の意向を示していたコパ・アメリカ(南米選手権)について、日本代表が参加することを承認した。協会は開催国のアルゼンチンサッカー協会から辞退を再考するよう求められ、これを受けて開かれた12日のJ1実行委員会、13日のJ2実行委員会で、各Jクラブから代表派遣に向けて条件付きの協力を約束されたため、翻意する形となった。ただ、海外クラブ所属選手の招集が難航すれば、最悪の場合、再度出場を辞退する可能性も残っている。
(写真:「コパ・アメリカにふさわしいチームを作りたい」と語る田嶋副会長)
 理事会後の会見に出席した田嶋幸三協会副会長は、コパ・アメリカについて「日本サッカー協会として出場するということで結論を出しました」と話し、「これから速やかに南米連盟に出場するという意向のレターを書いて出すところ」と現状報告を行った。

 協会は当初、コパ・アメリカ出場に関して、出場を辞退する方向で進めていた。東日本大震災によるJリーグの日程変更で、大会の開催時期とJリーグの開催が重なること。招待出場の日本代表には選手の拘束力がないため、海外組の招集が困難なこと。この2つの大きな壁により、満足な代表編成ができないと判断したためだ。

このような状況下で、一転、出場の意向を表明したのは、開催国であるアルゼンチンサッカー協会の熱意によるものだった。辞退を伝えようと現地を訪れた小倉純二会長は、逆に日本には是非出場してほしいとのラブコールを受けた。さらに南米サッカー連盟が中心となって、海外組の招集に向け、FIFAに協力を要請することも約束した。これを受け、協会は12日、13日のJリーグの実行委員会で、各クラブにこれまでの経緯を説明し、代表派遣への協力を求めた。各クラブは海外クラブ所属選手の一定数の招集と、各クラブ若手1名という条件付きで、協力を受諾。この結果、協会は、辞退を覆すこととなった。

 しかし、コパ・アメリカ参加へのハードルはいまだに高い。今後はアルベルト・ザッケローニ監督と協議し、招集メンバーを決める作業に移る。ザッケローニ監督が選んだメンバーが、満足に揃うという保証はまだない。特に海外組に関しては、田嶋副会長は「我々が各クラブにお願いしたうえで、必要があれば南米連盟にお願いすることはあるかもしれない」と話したものの、結果として南米連盟頼みの感は否めない。南米連盟の働きかけによって、FIFAの内規が変更され、海外組の拘束力が生まれないかぎりは、どこのクラブもそう易々と招集には応じないだろう。海外組の多くが揃わないことには、Jリーグの協力条件は満たせない。

 田嶋副会長は「我々が外に出ていくことで、日本が頑張っている姿を見せたい」と代表招集に最大限の努力をする考えだが、現実問題としては、いまだ不確定な部分が多く、本当に参加できるかどうかは現時点では分からない。ただ、日本サッカーとしては、南米の強豪とアウェーで真剣勝負ができる機会は滅多になく、是が非でも参加したい大会だ。協会は、招集する選手の所属クラブ、リーグを説得することができるのか。その交渉力がこれからのカギを握りそうだ。