22日、東京・有明コロシアムでbjリーグ2010−2011ファイナルが行なわれ、浜松・三河フェニックスが琉球ゴールデンキングスを下し、連覇を達成した。MVPにはレギュラーシーズンに続いてFジェフリー・パーマーが選ばれた。また、3位決定戦では大阪エヴェッサが新潟アルビレックスBBとの接戦を制した。
(写真:「価値あるファイナルだった」と語る浜松・中村HC)
◇ファイナル
 パーマーがMVPに輝く
浜松・東三河フェニックス 82−68 琉球ゴールデンキングス
【第1Q】13−17【第2Q】18−6【第3Q】21−21【第4Q】30−24

 決勝のカードは今シーズン、一度も対戦のなかった浜松・東三河フェニックスと琉球ゴールデンキングス。20日の会見で河内敏光コミッショナーが「3位決定戦でもいいから、個人的に一番見たい」と熱望していた組み合わせとなった。しかし、両チームともに緊張からか、1Qの序盤は全くシュートが入らない。約1分半の間、スコアが全く動かなかった。均衡を破ったのは沖縄のG小菅直人。ゴール下でパスを受け、すばやくゴールに押し込んだ。待望の先取点を奪った沖縄は、続けざまにFカルロス・ディクソンがスリーポイントを決め、5点差とした。

 ここで浜松は「いるだけで安心してゲームを任せられる」と指揮官が全幅の信頼を寄せるG大口真洋を投入した。これが功を奏し、リズムが出てきた浜松はFレイ・ニクソンのスリーポイントで逆転に成功した。しかし、中盤に入ると、またも浜松の攻撃が停滞する。その間、沖縄は内外から多彩な攻撃で得点を重ね、最大9点差をつけた。その後、浜松の猛追を振り切り、4点リードで1Qを終えた。
 だが2Qは、逆に沖縄のシュートがリングに嫌われ、6点のみにとどまる。一方、息を吹き返した浜松は、G岡田慎吾が躍動感あふれるプレーでチーム最多の7得点を挙げるなどして逆転。最後は40度の熱を出しながらもプレーし続けたGウェイン・アーノルドのスリーポイントが決まり、浜松は8点のリードを奪った。

(写真:MVPに輝いたパーマー。華麗なプレーで観客を魅了した)
 続く3Q、前半は沖縄がG与那嶺翼のスリーポイントを皮切りに次々と得点を奪い、浜松との差を縮めていく。そして小菅のスリーポイントで41−40と再びリードする。これで沖縄が一気に流れをつかむかと思われたが、逆に浜松の反撃にあい、8点のビハインドをおう。そして迎えた4Qは両チームともにそれまでの鬱憤を晴らすかのように、激しい点の取り合いとなった。沖縄はFアンソニー・マクヘンリーが爆発。豪快なダンクを決めたかと思えば、相手ファウルを受けて得たフリースローを冷静に決め、得点を重ねていった。小菅、G志村雄彦の日本人選手も奮闘し、必死に追い上げをはかる。だが、なかなかその差は縮まらなかった。その最大の要因は、浜松の驚異的な集中力にあった。終盤、沖縄はファウルゲームに持ち込むも、ニクソン、Fジェフリー・パーマー、アーノルドに完璧にフリースローを決められ、逆にその差を広げられてしまった。結局、残り1分で11本ものフリースローを決めた浜松が、14点差をつけて2連覇を達成。MVPにはレギュラーシーズンと同じ、パーマーが選出された。

 2年ぶりの王者返り咲きを達成することができなかった沖縄の桶谷大HCは「優勝に近い所にあったと思う。負けはしたが、浜松との力の差はあまり感じられなかった」とし、悔しさをにじませた。一方、前年に続いて有明の地で宙を舞った中村和雄HCは、「ゲームとすれば、最悪な内容だった。しかし、ファイナルのプレッシャーがある中で、前半の終盤、踏ん張って得点を伸ばしてくれた。これが大きかった」と2Qでの粘りが勝因になったと語った。また、体調を崩しながらも最後まで戦い続けたアーノルドに対し、「感動した。東北にも彼のプレーが伝えられたのではないかと思う。そういう意味では価値あるファイナルだった」と述べ、東日本大震災の復興支援へのゲームとしても一つの役割を果たしたのではないか、と述べた。

 大阪エヴェッサ以来の連覇を達成した浜松は、来シーズンはその大阪と並ぶ3連覇に挑む。だが、「今年もそうだったが、また新しい気持ちで戦うだけ」と中村HCに気負いは全く感じられなかった。果たして、来シーズンはどんなチームをつくりあげてくるのか。今年71歳となる闘将からますます目が離せなくなりそうだ。


◇3位決定戦
 日本人選手の活躍で好ゲームに
 新潟アルビレックスBB 75−85  大阪エヴェッサ
【第1Q】20−20【第2Q】20−22【第3Q】18−21【第4Q】17−22

 新潟アルビレックスBBと大阪エヴェッサとの3位決定戦は、1Qから一進一退の攻防戦が繰り広げられた。先制したのは大阪。Fウィリアム・ナイトがオフェンスリバウンドを拾ってそのままゴールに押し込んだ。新潟もすぐさまG根東裕隆がスリーポイントで逆転するも、そこからなかなか追加点を奪えずに苦しんだ。その間に大阪はCウェイン・マーシャルにボールを集め、着実に得点を重ねていった。しかし、徐々に新潟のシュートが決まり出す。特に前日、廣瀬昌也HCが望んでいた通り、日本人選手が積極的にシュートを放ち、大阪との差を縮めていった。終盤、G小松秀平のスリーポイントなどで同点に追いつくと、その後はどちらも譲らず、20−20で1Qを終えた。
(写真:スタートから激しい攻防戦が展開された)

 2Qで最初に主導権を握ったのは新潟だった。開始早々、小松がスリーポイントを決めると、一時は同点に追いつかれるもC/PFザック・アンドリュースの豪快なダンクなどで5点のリードを奪った。しかし、大阪は果敢にインサイドを攻めたG今野翔太が、フリースローを得ると、これを5本連続で決め、再び試合を振り出しに戻した。その後、再び一進一退の攻防となり、大阪2点のリードで折り返した。

 3Q、マーシャルの連続得点で流れをつかんだ大阪は、今野やG高田紘久の活躍などもあり、徐々にリードを広げていった。新潟も2度のスチールから自分たちの得点につなげ、さらにはアンドリュースの2度のダンクシュートなどで必死に追い上げを図った。だが、終盤にはインサイドを攻める大阪の外国人選手に対してファウルを犯し、フリースローで大阪に得点を奪われた。

 大阪5点リードで始まった4Qは、新潟が開始3分半後に小松のスリーポイントで同点に追いついた。しかし、大阪はFリン・ワシントンのスリーポイントで再び引き離す。新潟がフリースロー3本で追いつくと、大阪はマーシャルのシュートでリード……と終盤まで試合はもつれ、残り2分半で73−73となった。ここで大阪はマーシャル、今野の連続得点でリードする。新潟もC/PFジュリアス・アシュビーのシュートで1ゴール差としたが、残り1分間、シュートを決めることができない。その間、大阪はフリースローで得点を重ね、終わってみれば10点差をつけての勝利となった。昨年に続いて有明で白星を挙げることができなかった新潟だが、廣瀬HCは「日本人選手が頑張ってくれたことには納得している」と笑顔を見せた。また、大阪のライアン・ブラックウェルHCも「今野がガッツあふれるプレーをしてくれたことが、チームに勢いをつけた」と語り、日本人選手が奮起した一戦に会場からも温かい拍手が送られた。

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