28日、欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝がロンドン・ウェンブリースタジアムで行われ、バルセロナ(スペイン)とマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)が対戦した。試合は1−1で迎えた後半9分、バルセロナがリオネル・メッシのゴールで勝ち越しに成功。さらに24分に1点を追加し、3対1でマンチェスターUを下して、2シーズンぶり4度目の欧州制覇を達成した。

 2年前の雪辱ならず、再び完敗
◇5月28日 、ロンドン・ウェンブリースタジアム
バルセロナ 3−1 マンチェスター・ユナイテッド
【得点】
[バ] ペドロ・ロドリゲス(27分)、リオネル・メッシ(54分)、ダビド・ビジャ(69分)
[マ] ウェイン・ルーニー(34分)
 2シーズン前の決勝の再戦となったこのカード、イングランドサッカーの聖地と呼ばれるウェンブリースタジアムで、歓喜に沸いたのはスペイン王者だった。その圧倒的な攻撃力で、イングランド王者を返り討ちにした。
 試合序盤は苦しんだ。バルセロナは、執拗にロングボールを放り込まれ、守備陣の裏を狙われる。それがマンチェスター・ユナイテッドにとっての高いラインを形成するバルセロナに講じた策だった。しかし、ジェラール・ピケを中心とした守備陣が、それを凌ぎ切る。すると、落ち着いたボール回しで、バルセロナがペースをつかんだ。

 試合が動いたのは、27分。この日、キャプテンマークを巻いたシャビ・エルナンデスが、PA近くまでドリブルで持ち込むと、右足のアウトサイドで絶妙なスルーパスを送る。それを受けたペドロ・ロドリゲスがボールをコントロールすると、ゴール右に落ち着いて流し込んだ。スペイン代表コンビの活躍でバルセロナが先制点をあげる。

 これでバルセロナの一方的な試合になるかと思われたが、マンチェスターUも意地を見せる。34分、右サイドでボールを持ったルーニーが、PA内で待っていたライアン・ギグスにパスを出す。ギグスからのリターンパスを受けたルーニーは、ダイレクトでシュートを放ち、ゴール左に叩き込んだ。エースの得点で、試合を振り出しに戻す。

 スコアはイーブンになったが、バルセロナはメッシ、シャビ、アンドレアス・イニエスタを中心としたパスサッカーで圧倒し、試合の主導権は渡さなかった。特にメッシは、1人で相手ディフェンスを数人引き付けて、味方にスペースをつくり、マンチェスターU守備陣を脅かし続けた。

 後半に入ると、その輝きはさらに勢いを増す。9分、シャビ、イニエスタとつないで、ボールは中央のメッシへ。それを受けたメッシは、PA付近で左足を一閃。強烈なミドルシュートは、ゴール右に突き刺さり、バルセロナが勝ち越しに成功した。

 さらに24分には、右サイドでボールを持ったメッシが、ドリブル突破し、PA内に侵入。相手DFに阻まれ、こぼれたボールをセルヒオ・ブスケツが拾い、ダビド・ビジャにつなぐ。PAのわずか外、ゴール正面で待っていたスペイン代表のストライカーは、ゴール右隅を狙った。綺麗な弧を描いたシュートが、ネットを揺らし、リードを2点に広げた。

 対するマンチェスターUも、ナニやポール・スコールズを投入し、反撃を試みたが及ばず、試合終了。ボールを支配し、試合を掌握し続けたバルセロナが3対1で制した。バルセロナは指揮官ジョゼップ・グアルディオラが就任してからの3シーズン、リーガ・エスパニョーラ3連覇。CLも今回で2度目の優勝だ。圧巻のパスサッカーは見るものを魅了し、今や世界最強クラブの名にふさわしいドリームチームと言えるだろう。果たして黄金期に突入したバルセロナを止めるチームは現れるのか。そんなテーマを残し、今シーズンの欧州サッカーが幕を閉じた。