全国高等学校体育連盟(高体連)は22日、東京都内で理事会・評議員会を開き、毎年12月に京都で行われている全国高校駅伝の最長区間である1区(男子10キロ、女子6キロ)で、男女とも外国人留学生の起用を禁止し、「1区を除く区間で、1人」に変更したことを発表した。「終盤まで競り合いを続けるための措置」で、来年12月の同大会から適用される。
 93年大会では、仙台育英(宮城)が男女各2人のケニア留学生を擁し男女アベック優勝を果たし、外国人留学生の起用について論議を呼んだ。高体連では95年から、高校総体で留学生の出場上限をエントリー数の2割前後と制限し、高校駅伝では男女とも1校につき1選手としたが、起用区間についての制限はなかった。

 高校駅伝は男子7区間42.195キロ、女子5区間21.0975キロで行われ、そのうち1区は男子10キロ、女子6キロでともに最長区間となるため、各校ともエース級の選手をそろえ“花の1区”と呼ばれる。
 近年、この1区でケニア人留学生が日本人選手を大きく引き離す展開が目立ち、また1区に起用した高校による優勝争いが多いことから、大会の意義を問う声や、国内選手の育成という観点から規則変更を求める声が、関係者や一般ファンからあがっていたという。

 そうした声を受けての今回の措置だが、「国籍で区別するのは教育上良くない」等、疑問視する声もあがっている。また、留学生を1区に起用したからといって、そのチームが終盤までリードを保てるとは限らない。1区での留学生のリードを、他のチームの2区以降の日本人選手たちが少しずつ縮め、終盤の競り合いへとつながるパターンもある。

 ケニア出身の留学生を擁して男子3連覇を果たした仙台育英高校の渡辺高夫監督が「留学生は3区での起用でもいい。3区でリードできれば、ゴールまでの距離が少ないので勝敗を決定的にできる」(5月23日付朝日新聞)とコメントしているように、今後、1区の次に長い3区(8.1075キロ)を中心とする中間区での留学生起用が主流となれば、逆に終盤の競り合いが生まれにくくなることも懸念される。

「終盤まで競り合いを続けるための措置」とはいうものの、今回の規則により新たな問題が出てくることも十分考えられそうだ。高体連では今後、統括する全競技でも外国人留学生の実態を調査し、7月末から開催される全国高校総体までにまとめる方針だという。

※外国人選手の起用については、毎年元旦に開催されているニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)では各チームで出場1選手、また最長区間の2区(22キロ)と、5区(15.9キロ)の起用を認めていない。箱根駅伝では、外国人留学生の起用はチームで1選手という規則がある。